冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

盗賊?の正体

騎士たちは尋問した。
 盗賊?達は必死に話した。苦しすぎたから。
 盗賊?は男女どちらもいた。
その光景は悲惨だった。
 体中が何だかわからない液体だらけになり、汚い。


 「ラウール、サクラ、ありがとう! おかげで助かった。」
サワーは2人に近づき頭を下げた。


 「いえ・・・。申し訳ありませんでした。護衛を引き受けたのに、怪我を負った人もいて・・・。」
そういってラウールは頭を下げた。


 「そんなこと言うなよ~。さすがに俺たちは騎士だぜ。そんなことを言われたら、俺たちの立場がないぜ! 助かったよラウール。」
ウツカはそう言ってラウールの肩を叩いた。


 「そうよ。私をみんなが守てくれた。傷ついたけど、みんなを治してくれた。ラウールは無頓着だけど、街で回復魔法をかけてもらうのって高いのよ。ヒールでも高いのにハイヒール・・・、そしてラウールのハイヒールは効果が強いのよ。この前も思ったけど、欲がなさすぎ。」


そうだったのか・・・。国民皆保険・・・。みんながある程度のお金で治療してもらえると言う意識が消えない。


 「たぶん、そのハイヒールだけで、教会の大司教以上になれると思うよ。もしかしたらその上も狙えるかも。代々の貴族の位置には行けないけど?狙ってみる?」
そう笑顔を向けてきた。その顔は、その気はないでしょ?と言うように。


 「嫌ですね~。僕は冒険者で、旅がしたい。一か所に今は留まる気はないです。」


 「そうでしょ。だから言ったのよ。」
キソ様は嬉しそうだ。


 「ラウールは欲がない顔をしている・・・。」


 僕はちょっと恥ずかしかった。


 ~~~~~~~~


 尋問を終えた騎士がキソ様に報告をしている。
その報告を僕にも教えてくれた。言えない部分もあるだろうけど。


 盗賊?はやはり貴族に雇われていた。
ロムビドの街ではない街の大司祭だった。
その大司祭がもっと上の立場になりたいと考えた時、邪魔になるのがポルフォ家の人々。
ポルフォ家は、キソ様だけでなく、全員が街の人々、特にはじかれた人に対しての施策を積極的に考えている人みたいだ。


この国ではまれに欲にまみれた人物が上に行こうとしていつようだ。
しかし世襲以外で上り詰める立場に行ける人は、本当に聖職者と言える人物と言う。
あとは善意の押し付けでこじれるような人はいるが、全ては良かれと思って行動する人がほとんどという説明を受けた。
しかし、下の立場になると、今回の騒動を起こした貴族の予備軍はいるようで、どこの世界も子悪党が一番めんどくさいようだ。


 ~~~~~~~


 「証拠もたくさんあったし、【黒猫】とも仲良くなれたし、いい旅だったよ。」


もうすぐ首都ニジュールに到着する。
キソ様は感慨深げに声をかけてきた。


 「僕もキソ様と仲良く慣れてよかったですよ。少しはこの街にいようと思えましたし。」


そう言うとキソ様は目を輝かせた。


 「じゃあもう少しこの街にいる?もう少しお話ができるの?」


そうキソ様が言うとサクラが、


 「もう少しいるってラウールが言うなら、めんどくさいことが起きなきゃいると思うよ。」


 「そうなの?めんどくさいことって?」


 「僕は偉そうにしている人は嫌いだ。偉いと周りに言われる人は好きだけど。だから、偉そうにしている人が僕に絡んでくると、その街からは早く出たいと思ってるよ。」


キソ様は顎に手を当てた。何か考えている。


・・・・・・


「私たちはいいでしょ?それに私が言うのも変だけど、私の家族もみんな私みたいな感じよ! だから、この街にいる時は、時々会ってくれないかな?」


キソ様が不安そうに聞いてきている。


・・・・・


「【黒猫】の2人は、キソ様の友達と名乗ってもいい存在ですか?「もちろん!!」」


 予想外にかぶせてきた。


 「では友達だね。じゃあこの街でもわかばに泊まってるから、何かあったら声をかけてよ。冒険者ギルドでもいいよ。僕が話しておくから。」


 「わかった。じゃあ何かあったら、私にも声をかけてね。私はここにも家があるから、用事がある時はここにきてね。」
そう言って地図と、メダルを手渡された。ポルフォ家の紋章が刻まれている。


 「ラウールとサクラの事も執事に教えておくから~。」


ラウール達は首都ニジュールの門に到着した。
そして貴族の門から街に入った。


ここまで来るとキソは、一度貴族の娘に戻らなければいけない。
 一度は家に戻って説明をする必要がある。
ポルフォ家の本宅はロムヒドにあるが、侯爵ともなれば、街を行ったり来たりする必要があるようだ。
 侯爵にはあったことがない。
そして重要なこと・・・。


ラウールは聞いた。今まで一度も出てこなかった名前を。
 「お父上様の名前は?」


 「テイセキ・ポルフォです。」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品