冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
面倒ごとは早めに
日が沈み、暗くなってきたころ、ラウールとサクラはまだ街の中にいた。
 冒険者ギルドでの騒ぎがあり、しばらくフクネさんと話し込み、その後は冒険者ギルドにある本の続きを読んでいた。
 最近はニャンの者騒ぎがあり、冒険者ギルドには生き難かった。しかし、入ってしまったからには、めったに見ることのできな本の続きが気になっていたからだ。
 日が沈んだ頃にフクネさんが声をかけて来て、時間が遅くなったことを教えてくれるまで、集中してしまっていた。
そしてフクネさんも今から帰るので、一緒に食事でもどうかと誘われ、店に移動しているところだった。
 「フクネさんのおすすめのお店はどんなところですか?ラウールと私も好きなものがあるかな~?」
 「どうでしょう。私がよく寄るお店で、色々なメニューがありますよ。」
 「へ~僕は何でも食べられるけど、サクラは何が食べたいの?」
そう言いながら、ゆっくりと人が良く通る表通りを歩いていた。
しばらくして、
 「ラウールさん、サクラさん、もう少しですよ。」
そうフクネさんが言った瞬間、
 「まて!! 俺様の話を聞け!!」
そう後ろから声が聞こえてきた。
 一瞬無視して行こうかなと思ったが、一応あの貴族の声だったから、3人は振り返った。
 「「げっ!」」
 「げっ!とはなんだ俺様に向かって!! 俺様はそこの2人、黒猫に用事があるんだ!!」
ばれるのが早かったな・・・。やっぱり黒髪の2人組は目立つかな?
それでも冒険者ギルドでは何も言われなかったし、誰かに聞いたのか?
そう考えながらもラウールは話しかけた。
 「申し訳ございません俺様。私たちにご用事があるようですが、いったい何のご用件ですか?」
 「お前ら、ドブンたちを嵌めただろ!!お前が捕まって、ドブンたちを開放させるんだ!!ドブンを襲ったのは僕達ですって憲兵に言ってこい!!」
 僕は虚をつかれた・・・。
そんな理不尽な・・・。
 「フクネさん?これって貴族の権利ですか?」
 「さすがにそんなことがあるわけないでしょラウールさん。貴族は、街の治安をただすときや、相手自身に重大な過失や被害を与えた時は、直接その場で処罰される場合があります。よく言われる無礼打ちもその範囲です。けれども、何もしていない庶民を罰することなど、貴族でもできませんよ。」
 「さすがにそうですよね。他の国でもそんな理不尽な法律はありませんし、この国の法律も、本を読む限りは理不尽なものはありませんでしたし。」
 「何をごちゃごちゃ言っている!! 早くいってこい!!」
そう、ウオルフ・ゼンダー男爵はわめいている。
 「私たちは丸腰のところを襲われたんだし、何にも悪くないわよ! あいつらがいきなり襲ってきたから、返り討ちにしたまでよ!! ちょっと怪我をさせたままダンジョンに忘れてきたけど・・・。ついでに報告も忘れるところだったけど・・・。」
 「お前たちが悪い!!」
そう言い放ち、ウオルフは街の中で剣を抜いた。
 「さすがに街中で、こんなにみんなに見られている状況では、言い逃れはできませんよ。私も副ギルドマスターとして、正式に教会に抗議します!」
そう言われたウオルフはサクラに向かって走り出した。
しかしその動きに切れはなく、すぐにラウールが反応し、駆け寄った。
 「いやいや、そんな動きではサクラは切れませんよ?」
 「そこは、サクラは僕が守る! でしょ!!」
 「そんな! サクラを守るほど、男爵の動きは鋭くないでしょ?」
 「それはそうだけど、ここは女の子に男を見せて。」
 「サクラは僕が守る! でいい?」
 「何をじゃれあってるんだ!!」
 目の前の男爵はラウールがサクラの前に立つと動きを止めていた。
そして、結局はフクネさんに向かって剣を振り下ろそうとした。
 「もう引き返せませんよ。」
そう言ってフクネさんは、ウオルフにだけ威圧を飛ばしたようだ。
 「くっ!! 俺もここまで来たら引けないんだ!! 俺とドブンたちでいくら稼いだと思ってる!! そのお金で今の地位まで登ってきたのに!! ここで俺は稼ぐ方法をなくせないんだ!!」
ラウールはあちゃ~と、手を額に当てた。
 言っちゃったよ・・・。この大衆の前で・・・。ある意味大物だね。
あっ、誰かがウオルフの後ろから近付いている。
 憲兵?いや違うな。あれは教会の人間かな。
ウオルフはまだ気づいていないな。大告白大会が続いている。
 「だから俺の言う事を聞け!!」
そう言った時、後ろから来た人間がウオルフに声をかけた。
 「ウオルフ。そこまでにしろ。どちらにしてもお前は終わりだ。」
そう言われたウオルフは険しい表情で振り返った。そして剣を落とした。
 「・・・、いえ、何でもありません。私は何もしていません・・・。」
 「もう無駄。お前はこの時点で貴族ではない。そして、ダンジョンで冒険者を襲っていた盗賊の共犯で、処刑が決まった。」
 「・・・・、いえ違います、お『だまれ。』」
もう何も言わせないと言う気迫を感じた。そしてウオルフは跪いて項垂れた。
 「こいつを連れて行け。」
そう男が言った後に2人の男が現れ、ウオルフを連れて行った。
 ~~~~~~~~~~~
 「この度は申し訳ありませんでした。ウオルフの暴走で、教会は冒険者ギルドと敵対することは考えていません。お許しいただけますか?」
 「冒険者ギルドといたしましては、もともとウオルフ元男爵個人への罰を下しただけで、教会と対立するとは、考えておりません。」
そう、2人は話し始めたが、正式な謝罪と話し合いは、後日冒険者ギルドで行うという事にしていた。
 目の前の男、オーハン・グルギサ伯爵は、この街の教会の司祭で、ウオルフの上司にあたるようだ。
グルギサ伯爵は、ラウールとサクラにも丁寧に頭を下げ謝罪した。
そして賠償は、これもまた後日という事になった。
 ~~~~~~~~~~~
 後日冒険者ギルドで正式に伯爵から謝罪を受け、金銭をいただいた。
そして撃退したわけでもなかったので、【黒猫】2人のランクアップはなかった。
なんとなくケチが付いたと思ってしまったラウールは、そろそろ次の町に行こうかと考えていた。 
 冒険者ギルドでの騒ぎがあり、しばらくフクネさんと話し込み、その後は冒険者ギルドにある本の続きを読んでいた。
 最近はニャンの者騒ぎがあり、冒険者ギルドには生き難かった。しかし、入ってしまったからには、めったに見ることのできな本の続きが気になっていたからだ。
 日が沈んだ頃にフクネさんが声をかけて来て、時間が遅くなったことを教えてくれるまで、集中してしまっていた。
そしてフクネさんも今から帰るので、一緒に食事でもどうかと誘われ、店に移動しているところだった。
 「フクネさんのおすすめのお店はどんなところですか?ラウールと私も好きなものがあるかな~?」
 「どうでしょう。私がよく寄るお店で、色々なメニューがありますよ。」
 「へ~僕は何でも食べられるけど、サクラは何が食べたいの?」
そう言いながら、ゆっくりと人が良く通る表通りを歩いていた。
しばらくして、
 「ラウールさん、サクラさん、もう少しですよ。」
そうフクネさんが言った瞬間、
 「まて!! 俺様の話を聞け!!」
そう後ろから声が聞こえてきた。
 一瞬無視して行こうかなと思ったが、一応あの貴族の声だったから、3人は振り返った。
 「「げっ!」」
 「げっ!とはなんだ俺様に向かって!! 俺様はそこの2人、黒猫に用事があるんだ!!」
ばれるのが早かったな・・・。やっぱり黒髪の2人組は目立つかな?
それでも冒険者ギルドでは何も言われなかったし、誰かに聞いたのか?
そう考えながらもラウールは話しかけた。
 「申し訳ございません俺様。私たちにご用事があるようですが、いったい何のご用件ですか?」
 「お前ら、ドブンたちを嵌めただろ!!お前が捕まって、ドブンたちを開放させるんだ!!ドブンを襲ったのは僕達ですって憲兵に言ってこい!!」
 僕は虚をつかれた・・・。
そんな理不尽な・・・。
 「フクネさん?これって貴族の権利ですか?」
 「さすがにそんなことがあるわけないでしょラウールさん。貴族は、街の治安をただすときや、相手自身に重大な過失や被害を与えた時は、直接その場で処罰される場合があります。よく言われる無礼打ちもその範囲です。けれども、何もしていない庶民を罰することなど、貴族でもできませんよ。」
 「さすがにそうですよね。他の国でもそんな理不尽な法律はありませんし、この国の法律も、本を読む限りは理不尽なものはありませんでしたし。」
 「何をごちゃごちゃ言っている!! 早くいってこい!!」
そう、ウオルフ・ゼンダー男爵はわめいている。
 「私たちは丸腰のところを襲われたんだし、何にも悪くないわよ! あいつらがいきなり襲ってきたから、返り討ちにしたまでよ!! ちょっと怪我をさせたままダンジョンに忘れてきたけど・・・。ついでに報告も忘れるところだったけど・・・。」
 「お前たちが悪い!!」
そう言い放ち、ウオルフは街の中で剣を抜いた。
 「さすがに街中で、こんなにみんなに見られている状況では、言い逃れはできませんよ。私も副ギルドマスターとして、正式に教会に抗議します!」
そう言われたウオルフはサクラに向かって走り出した。
しかしその動きに切れはなく、すぐにラウールが反応し、駆け寄った。
 「いやいや、そんな動きではサクラは切れませんよ?」
 「そこは、サクラは僕が守る! でしょ!!」
 「そんな! サクラを守るほど、男爵の動きは鋭くないでしょ?」
 「それはそうだけど、ここは女の子に男を見せて。」
 「サクラは僕が守る! でいい?」
 「何をじゃれあってるんだ!!」
 目の前の男爵はラウールがサクラの前に立つと動きを止めていた。
そして、結局はフクネさんに向かって剣を振り下ろそうとした。
 「もう引き返せませんよ。」
そう言ってフクネさんは、ウオルフにだけ威圧を飛ばしたようだ。
 「くっ!! 俺もここまで来たら引けないんだ!! 俺とドブンたちでいくら稼いだと思ってる!! そのお金で今の地位まで登ってきたのに!! ここで俺は稼ぐ方法をなくせないんだ!!」
ラウールはあちゃ~と、手を額に当てた。
 言っちゃったよ・・・。この大衆の前で・・・。ある意味大物だね。
あっ、誰かがウオルフの後ろから近付いている。
 憲兵?いや違うな。あれは教会の人間かな。
ウオルフはまだ気づいていないな。大告白大会が続いている。
 「だから俺の言う事を聞け!!」
そう言った時、後ろから来た人間がウオルフに声をかけた。
 「ウオルフ。そこまでにしろ。どちらにしてもお前は終わりだ。」
そう言われたウオルフは険しい表情で振り返った。そして剣を落とした。
 「・・・、いえ、何でもありません。私は何もしていません・・・。」
 「もう無駄。お前はこの時点で貴族ではない。そして、ダンジョンで冒険者を襲っていた盗賊の共犯で、処刑が決まった。」
 「・・・・、いえ違います、お『だまれ。』」
もう何も言わせないと言う気迫を感じた。そしてウオルフは跪いて項垂れた。
 「こいつを連れて行け。」
そう男が言った後に2人の男が現れ、ウオルフを連れて行った。
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 「この度は申し訳ありませんでした。ウオルフの暴走で、教会は冒険者ギルドと敵対することは考えていません。お許しいただけますか?」
 「冒険者ギルドといたしましては、もともとウオルフ元男爵個人への罰を下しただけで、教会と対立するとは、考えておりません。」
そう、2人は話し始めたが、正式な謝罪と話し合いは、後日冒険者ギルドで行うという事にしていた。
 目の前の男、オーハン・グルギサ伯爵は、この街の教会の司祭で、ウオルフの上司にあたるようだ。
グルギサ伯爵は、ラウールとサクラにも丁寧に頭を下げ謝罪した。
そして賠償は、これもまた後日という事になった。
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 後日冒険者ギルドで正式に伯爵から謝罪を受け、金銭をいただいた。
そして撃退したわけでもなかったので、【黒猫】2人のランクアップはなかった。
なんとなくケチが付いたと思ってしまったラウールは、そろそろ次の町に行こうかと考えていた。 
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