冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

デーブンさんとのひとこま

デーブンさんには、僕はサクラとパーティーを組むことを伝えた。
そして、受付を離れると見せかけ、絡まれたどさくさにまぎれ、もう一度受付のフクネさんに話しかけた。


 「そういえば、僕とサクラのパーティー登録をお願いします。ちょうどよかった。デーブンさんが1人って言ってくれなかったら、登録も忘れてたよ。」


 「そうだろ!おれは予想できる男だ。だからこのボディーだ!!」


・・・・・


 だれだよこのテンションマックスな男は・・・。
こんなデーブンさんは知らない。
 今まで会わないうちに何があったんだ・・・。


 「承りました。それでは2人ともプレートをお貸しください。


そういってフクネさんは謎ボックスにプレートを差し込んだ。


ここに僕たちパーティーは正式に認められた。


 「それでは、パーティー名はどうしますか?」


なに???
 名前・・・?
そんなものが求められるのか。
 名前??


サクラを見ると何か考えているのか下を向いている。


ぶふっ~!!
 「漆黒の翼~~~!!」


は~~~!! ここで!!


 「パーティー名は漆黒の翼!!・・・・。ぶふっ~~!!」


なんと!! こいつは僕を馬鹿にしているのか~~~!!


 「漆黒の翼は却下!! 僕の二つ名だから!!」


 「ぶふゅ・・・! 僕の・・・! 二つ名!! ぶふふっ~~!!」


おい、今からこのパーティーを解散してもいいかな?


 「さ・く・ら? ここでお別れだ。」


 「えっ!!」


 本気で焦っているサクラ。


・・・・


「ごめんなさい!! 漆黒の翼は聞いてなかったよね? 漆黒の翼って? どうして漆黒の翼になったの? 天使のような何とかのてーぜ? 漆黒? 翼? 天使? 悪魔? 使徒? ラウールは何? ぶふふぅっ!!」


 「謝ってないよね!!」


 「ほんと御免!! ちょっとツボ!!」


 「ん~~。」


しばらくして落ち着いたサクラとは和解した。そしてデーブンさんとも話をした。
デーブンさんはこの後【放浪の羊】が集まる場所へ一緒に行かないかと誘ってきた。


 僕は久しぶりにみんなに会いたいと思い、デーブンさんの誘いを快諾した。


 ~~~~~~~~~~~


ある宿屋の酒場にラウールは行くことにした。
そこは、【宿屋 わかば クライス店】だった。僕たちの宿も決定した瞬間だった。


 「やあ久しぶり?元気だった?呼び方はラウールでいいかな?」


 「もちろんですよフルートさん。Aランク昇格おめでとうございます!!」


 少し照れた様子の【放浪の羊】だったが、みんな誇らしい表情をしている。特にデーブンはどや顔だ。


 「ありがとうラウール。俺も護衛依頼をこなしながら各地をまわってから、ダンジョンで依頼をこなし、強くなろうと頑張っていたら、いつの間にかって感じなんだけどね。それでもうれしいよ。」


 「すごいですよ!! 僕なんてBランクで足踏みしてますから。」


・・・・・


「嫌味かい?・・・・なんて、君はもう少し積極的に動いたほうがいいと思うよ? 強さがランクに合っていな。強くて礼儀正しいのにランクアップで足踏みしてるなんてね。」


 「すいません・・。色々と事情があって。でもこれからはダンジョンに行って、積極的に依頼をこなそうと思っています!」


 「ん~そうなんだね。いいと思うよ。君は品格はあるのだから、あとは討伐や依頼達成数だと思う・・・。だったら、ダンジョンは最適な環境だよ。」


 「そうなんですか?僕とサクラが2人ともランクが上がると嬉しいんですけど?」


 「そこがダンジョンのいいところだ。僕たちは護衛依頼中心のパーティーだった。しかし君に会って、もっと戦闘能力を上げる必要性を感じていた。そこで、皇国までの護衛依頼を引き受けた後、ここで訓練をしていた・・・。強さを求めて・・・。もともと僕たちは旅をすることが一番で、力はその途中でつけようと話していたパーティーだった。けどね・・・、君に会って少し考え方が変わったんだ。力のないものが何を言うんだってね。護衛する人はただ守ってもらい、目的のところへ行くことが出来たらいい。けどね、目的のところに行くために、全員で到着するためには、みんなを守れる手段が必要だよね・・・・。そして、その場を掌握できるほどの人物がいたほうが、生存率は高いよね・・。そう思ったら、僕たちはまだ自分の力が足りないと感じた・・・。だから、この街のダンジョンで今もまだ訓練しているところなんだ。」


フルートさんは色々と考えていたんだと思った。
そして、ダンジョンに行っているパーティーが目の前にいる。
これは情報を聞くしかないと考えたラウールだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品