冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

ボブルンさんが言うには

街の外周を歩き出して間もなく、正面から汗を流し走ってくるボブルンさんが見えた。


ラウール叫んだ。
 「おーい!ボブルンさーん! ラウールで~す! 聞きたいことがあります!」


 近くまで来て歩き出したボブルンさんは、ラウールの前で止まった。
 「どうしたラウール?僕に聞きたいことって?また『門番情報』か?」


 「門番情報っていうか、ちょっと聞いてみたいことがあって?今ここで聞いてもいいですか?」


ボブルンは少し考え、
 「そうだな、この辺はあまり人が来る場所ではないから、もし内緒話しならちょうどいいが。」


 「なぜ内緒話しと?」
ラウールは少し警戒した。


 「なぜって?ここまで来てまで聞きたことだろ?急ぎで、俺を指名してって、何か事情があるのでは?」


 話が早くていいとラウールは答えた。
 「そうなんです。はっきりと言えないことはありますが、いくつか聞きたいことがあるので・・。いいですか?」


ためらうことなくボブルンは、
 「いいよ。教えることが出来るものは教えるよ。」


それを聞いたラウールは質問をしていった。最近物騒な事件は起きていないか?偉い人絡みで、事件や事件が起きそうと言った情報はないか?共和国の歴史に詳しくないので、急に繁栄したことがないか?魔法と違う力って何かあるのか?そう聞いてみた。


するとボブルンさんは全てに答えてくれた。
 僕たちが討伐した盗賊だが、もしかしたらこの街に向かっていた伝令を殺した可能性があること。しかし確定ではないから、国からもまだ僕たちに何も言ってこないのではないか。伝令の伝えたかったことはわからない。
この街の偉い人絡みでは、首相の子供の誘拐計画が立っていたこと。しかしすでに防がれた。その他は、お金絡みの不正があり、処罰された者がいたこと。
 事件は毎日何かしら起きているので、『これについて聞きたい』と言ってもらえないと答えられない事。


そして、ボブルンさんは共和国の事を話し出した。
 「繁栄と聞いてすぐに浮かぶのは、この国の歴史で習う事だ。今は他の国にも伝わっているが、井戸から水を汲むときにはどうする?」


そう聞かれた時クロースは、
 「ポンプを使う。手で動かすものや、今では魔道具になった物もあるな。」


それを聞き笑顔で頷いたボブルンさんは、
 「そう。それは共和国から伝わったものだ。今まで苦労していたものを、魔法が使えなくても楽にすることが出来た。そして、下水道でスライムが汚いものを処理すること。これも共和国から伝わっていったはずだ。そしてそのおかげで原因不明で死んでいた人間が減っていったことも。」


ハッとしたクリスは、
 「それです!学校で聞いた話しは! 共和国から伝わったもので、他の国にも恩恵をもたらしたものがいる。その人物はいつの間にか共和国で重要な役割を受け持っていた。そしていつの間にかいなくなった。その人物が残した技術で共和国はより良い国となった。それを学校で聞いたんでした。」


ボブルンさんは満足そうに頷き、
 「そう。いつの間にか現れ、いつの間にか消えた人物。謎の力を示し、国にお金を、人が死ににくくなる方法を、国が衰退する体制にならないような選挙方法を教えた。そしてその知識を示したことで、国民が元気に働くことが出来るようになった。しかしその人物はどこから来たのか分からなかった。」


ラウールは疑問があり聞いてみた。
 「じゃあ、繁栄させる人ってわかるもの? 何か特徴があって、この人はもしかしてって思われる何かがあるの?」


 「ん~よく質問の意味が分からないが、繁栄をもたらしたからそういわれているだけで、この人ならってわかるものでないと思うよ。ただ残された文章では、その人物の口癖は残されているよ。」


 更に続けてボブルンさんは話した。
 「その人物はよく『ブツリガク』『テンプレ』『二ホンに帰りたい』などと言っていて、何のことか聞き返しても、よくわからない返事が返ってきたということだ。そしてその人物がいなくなった時、二ホンに帰りたいと言っていた事から、『二ホン』と言う街や町、村を探してみたが見つからなかったという。」


ラウールはその言葉を聞いて考えた。
テンプレキター! 日本に帰りたい・・。物理学と言うものだ、こうこうこうで、と説明されても確かにわからないな。そして、地球の技術の形跡があったのは僕より前にこの世界に渡ってきた人がいるってことだ。やはりか。神様も自分は僕を転生させたって言って、もしかしたら違う神が勇者を召喚するかもね?と言っていた。


うん、一人で納得した。


そしたら、この繁栄をもたらすかもしれないものっていうのは、どこかで物理学とかの知識を話す人がいた?それともどこかでテンプレきたー!とか叫んで、誰かが聞いていた?日本に帰りたいと言ってしまった?もしかして僕以外に今この時も転生者がいる?


ボブルンさんからはそのあとも少し情報をもらった。
そしてラウールはいろいろな思いが浮かんできた。
 情報を整理するため、一度宿に戻ることにしたラウール達であった。

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