冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

浜辺までの道 往路

サーシンを出て馬車の周りを冒険者が取り囲み、護衛している。早ければ2日で浜辺につく。道はほとんど真っすぐで、少し細いが道があり、草に囲まれ、木々が生い茂っているのはどこの街道も一緒だった。実はこの世界に来て海は初めて見るので興奮もしている。この世界の海はどんな感じなのか? まだロドリコさんにも何も聞かず、自分の目で見てから色々質問してみたいと思っている。


 護衛は夜に1人は起きていなければいけないため、2人は馬車の中で休み、他のメンバーで明るいうちは護衛している。僕だけソロで子供なので、夜は休んでよい。明るいうちは馬車に乗ることなく、常に徒歩移動。そして、連携が取れないという事で、しんがり、悪く言えば「勝手についてこい」状態だ。




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 道中では時々ゴブリンが3匹程度の集団で何度か襲ってくるくらいで、【破壊の斧】の大斧使いのビルンさんが頭をかち割って圧倒している。時々突っ込んでくるゴブリンも、危なげなくハーシンさんが盾を使い防いでいる。


 【放浪の羊】のメンバーも負けておらず、ニックさんが素早くゴブリンの隠れているところを察知し、短剣を構えて切りつけ、コーフットさんが槍で突くという連携で圧倒していた。


あたりがだんだん暗くなってきたところで、ロドリコさんが『もう少ししたら野営に適したところが以前はありました。そこまで行ったら今日は休みましょう。』と声をかけてきた。
 道中のお昼ご飯は保存食を歩きながら食べていた。ロドリコさんが僕にも配ってくれたが、一番後ろで見えないのをよいことに、母様が作ってくれた食事を食べてすませた。


 目的地につき、テントを渡された。設営は父様と依頼をしたいた時に覚えていたので、すぐに済ますことが出来た。僕には1人用のテントが割り振られ、ちょっと安心した。


 夕食はロドリコさんが鍋を作ってくれた。みんなで鍋をつつきつつ、僕も少しは話をしていた。普段は剣と火の魔法で戦っている事。今日は1匹も倒せてないので、明日は前に出たい事。将来は冒険者として旅に出て、色々なところを見て回りたいことを話をする。大斧使いのビルンさん以外は、あいづちを売ったり、からかったり、フルートさんは『旅はいいものだよ~』と色々な話を聞かせてくれた。


 夕食を食べた後は解散し、各自のテントに入り、見張りのメンバー以外は休むことになった。
さすがに歩き疲れたせいか、すぐに眠りにつくことが出来た。


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 「おはようございます!」


 「「おはよう!」」


 起きているメンバーはもう今日の準備を始めていた。


 「みなさんおはようございます。朝の食事を食べたら、出発します。今は順調に進んでいるので、おそらく今日の内に浜辺につくと思います。今日もよろしくお願いします。」


 朝食を食べ、早速馬車が進みだした。今日は僕も前に出してもらっている。昨日は後ろから来る敵もなく、僕だけ歩いているだけだった。少しは実力を見せておきたい気持ちもあり、出発前にお願いしていたところだ。


 「本当に大丈夫なんだね?ラウール君が攻撃するまでは、僕たちは手を出さないよ?」
フルートさんは心配そうに聞いてきたが、僕は胸をたたいて
「大丈夫です!誰の手も借りないくらい頑張ります!!(たぶん一撃だしね)」


 今日はビルンさんが馬車の中で休む番だ。すこし苦手だから助かった。


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 浜辺に向かい進んでいる。時々気配を察知し、火の魔法でゴブリンを一掃している。もちろん草や木を燃やすなんてことはない。ゴブリンの眉間を狙い、火を圧縮し、小さな火を打ち出す。その火はゴブリンの眉間を打ち抜いたと同時に霧散する。僕の魔素操作では楽勝だ。


 「そこ!!」 バコン!
 「そこ!!」 ドスン!
 「はー!」  ズシン!!


ウサギがいる、鳥がいる、イノシシがいる!!
 動物を見つけると走り近づき、剣を一閃!!  スパーァ!
 「これでご飯のお肉も多くなりますね!! ってそこ!!」  ズズズッ!


 小さな火を飛ばし、時に猛スピードで移動し切りつけ、雑魚無双状態だ!
これでちょっとは見直せたかな~。


フルートはポカーンとラウールを見ていた。
 (おいおいおい、これは夢か?僕はどこかで寝ているのか?なんだあの魔法。初級魔法みたいな大きさの火だけど一撃・・・。おい、あのスピード!僕より早い・・・。ってなんでいるのに気づく?? 何さわやかな顔をしてるの!? 何者?)


その後も浜辺につくまで無双したラウールであった。


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 「お疲れ様です。おかげさまで浜に予定通りつきました。道中の事は・・・私もびっくりしましたが、まずは食べて、休んでください。明日から3日ほどは私が貝殻を採取しています。見晴らしがいいところで、敵にはすぐ気づきますが、囲まれやすいとも言えますので、よろしくお願いします。」


 明日の事を考えながら、テントを張り始めるラウールであった。


 「貝殻採取の邪魔をしないように海ことも聞いてみたいな~。」


その前に・・・質問攻めにあう事を予想せずに・・・。 

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