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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜

高見 燈

第9話  来たぞ!王都イレーネ!!②

ーーがちゃん!

その大きな扉はしまった。

さっきまでのがやがやしてる、鎧装備だらけのトンネルから通されたのは、大きな広間だった。

「うわ……」

天井高い……。
それに真っ白な床。
タイルなのか石なのかはわからないけど。

キラキラしてる。

その上にここを通れ。と言わんばかりの真紅の絨毯。ふわさっと長く敷かれている。

その先ーーは、そう見ればわかる。
玉座。豪華なその大きな椅子。
背もたれ高くてふかふかしてそうな真っ赤な椅子

モグラの穴みたいなあのトンネルと違くて、光があっちこっちから射し込む。
大きな窓に囲まれた広間だ。

そこに、玉座の両脇にこれまた鎧武装した男たちがいた。

一人は黒髪のゴツいおっさん。
どこからどう見ても山伏にしか見えない。
歴史の教科書とかに載ってる昔の武将みたい。

イカついのに、銀色の鎧を着てるから余計に恐い

反対側に立ってるのは金髪の碧の眼が、印象的なハリウッドスターみたいな男の人だ。

ファンタジー系の映画で一世風靡した、イギリスの俳優に似ている。

あのキレイな髪とこの彫りの深い顔。
薔薇とか似合いそう。
しかも髪長っ!

女の人みたいだ。
腰まであんのかな? 蒼い鎧着てるからなんだかわからないけど。

「格好は不自然だが、“よく似てる”」

と、武将みたいな口元にちょびヒゲ生やしたおっさんが、そう言った。

ん? 笑うと若く見える。
もしかして三十代後半?? わかんないけど。三十代なんて先生ぐらいしか見ないから。

カツカツ……

颯爽と後ろの幕みたいなカーテンを、翻して歩いてきたのは長身の男。

二人も大きいけど更に大きい。

真紅の鎧を着たブラウンの髪をした男だった。

どかっ。と、玉座に座った。

「ほぉ? “魔導書のオヤジ”が何の用だ? 手配書の奴等を連れて来たと聞いたが。」

座るや否や、偉そうに肘掛けに肘ついて話だした。

まさか、“これが王様”っ!?

いやいや。悪人ツラすぎるでしょ!

どっかのヤクザの親分みたいだけど!?
なんか、額から鼻に掛けて斜めに傷とかあるし。

それにこの紅い眼がとても……恐い。

私は思わず……飛翠の影に隠れた。
と言っても、顔だけは覗かせるけど。

「お前な。来る前の勢いはどーした?」
「しょーがないでしょ! 私は、か弱いんだから!」

飛翠の呆れた様な声にそう答えた。
ちらちらと、王様とやらを見ながら。

威圧感が……凄い。

「この者たちは“ワシの手違い”で、ここに来ただけじゃ。手配書の者ではない。」

と、黒崎さんがそう言った。

ん? 手違い? なんのこと?

私は気にはなったが、カッ!!と、いきなり辺りが眩しく光ったので、それどころじゃなくなってしまった。

「きゃっ!!」

光と風。

それが私達に向かってきていた。
思わず飛翠にしがみついた。

「……イレーネ王……。ご乱心か?」

黒崎さんの声が聞こえた。

恐る恐る……目を開けた。

え!? 王様の眼が光ってるけど!?

まさか……今のって王様!?

イレーネ王の眼は、真紅の光で煌めいていたのだ。それはライトみたいな光だ。

ふぅ。

と、息を吐くその声。

あ。消えた。

王様の眼の光が消えた。
でも、この険しい顔は変わらない。

「俺は……“手配書の連中”が来た。と聞いた。だから会ってやったんだ。」

と、玉座に座るその体制は変えないままで、王様はそう言った。

なんかヤバそうな雰囲気。
ピリピリしてるのがわかる。

この空気……。

「この子らは“この世界の者”ではない。ワシの封印を解いてくれた“人間たち”だ。」

え? なに? 封印??

私は、黒崎さんの方を見てしまった。
何の話をしてるのかわからなくなってきた。

フッ……

イレーネ王とやらの不気味な笑みが、口元に浮かぶ。

「そのままくたばれば良かったのにな。まさか、異界に逃げ込むとは思わなかった。で? お前の封印を解いたそのガキ共を引っ提げて何の用だ?」

黒崎さんとイレーネ王の睨み合いみたいな感じに、なってしまった。

男たちは見てるだけだけど、なんか嫌な空気だ。

私と飛翠なんかどうしようもない。
この場にいないみたいだ。

「この者たちの願いだ。連れて行ったアレスの民を返して欲しい」

と、黒崎さんはそう言った。

うん。そうだ。その為に来たんだった。

はっはっはっはっ!!

えー!? 笑うところっ!?

王様は笑った。
ふんぞり返って。

玉座にその長く太い脚を組み、身体を屈めた。
こうやって見ると……本当に強そう。

「そいつらと交換だ。それなら構わねーよ。“王家に歯向かう連中”は、罪人。それも死に値する。さっさと殺さねーと、この国の威厳ってのも消えるからな。」

はぁ?? 
ちょっと待って。完全な内輪もめっ!?

なんだかわかんないけど、ハラたってきた。

「だとしても、この者たちは罪人ではない。」

と、黒崎さんはそう強めの声で言った。

「関係ねーよ。そこまで似てるしな。とりあえず、殺せばそれでいい。おい。“サデュー”」

と、王は蒼い鎧を着ているブロンドの男に声を掛けた。

その男は頭を軽く下げると、後ろに向かった。
紅い垂れ幕の方だ。
カーテンみたいな幕が掛かった方に、向かったのだ。

暫くすると、

「放して!」

と、女性の声が聞こえた。

サデューと呼ばれたブロンド男が連れて来たのはマリーさんだった。

ああ。良かった。無事だったんだ。

マリーさんは怖がってはいそうだけど、特に縛られたりしてる訳でもなく、殴られたりしている様な傷もなかった。

赤茶系のツインテール。その頭の上につけていた紅い三角巾はないけど、この髪の色はマリーさんだ。

「この女は助けてやるよ。罪人の首と引き換えに」

イレーネ王の低い声が響く。

すると、どこから来たのか私と飛翠の後ろに、銀色の鎧を着た男たちが現れた。

ガシャガシャと音をたてながら歩いて来た。

「きゃっ!!」

私の腕はその鎧の男に掴まれた。

「蒼華!」

と、飛翠の声が聞こえたが、ドスッ!!と、その鈍い音も聞こえた。

「え!?」

飛翠が床に倒れたのだ。
見れば男が、腕をあげていた。

手刀!? この!

「卑怯者!! 背後から狙うとは最低だ! それでも鎧武者かっ!? 男かっ!?」

私はそう怒鳴った。

腕掴まれて痛いけど、それどころじゃない。
飛翠がーー、うごかない。

「飛翠!! ちょっと!! コラ! 放して!!」

何でよ! あんた最強じゃん! そんな手刀ぐらいでやられる奴じゃない!

私はがたがたと動いてみるものの、男の手は強かった。

撚る様に両手を抑えられてしまった。

「イレーネ王!! 手荒な真似はせんでくれ! この者たちは関係ない!」

黒崎さんは杖を向けた。
王に向かって。

「だから。そんな事はどーでもいい。おい女。帰っていいぞ。」

と、イレーネ王は言うと玉座から立ち上がった。
そのままそこから立ち去った。

のを、放置しておく“桜木蒼華様”ではない!!

「このクソ男!! あんたなんか飛翠がそのうちズバッとやっつけてやるんだ! 覚えてなさいよ!」

と、言ったが、イレーネ王ははっはっはっ! と、大笑いしながら紅い幕に向かって歩いて行った。

「それは楽しみだ。お前らは明日死ぬがな。」

はっはっはっ!

笑い声だけが響いた。
この大きな広間に。

黒崎さんが、なんか申し訳なさそうな顔をしてたけど、私と飛翠はそのまま、デカい鎧武者に担がれてしまった。

この広間から連れ出されてしまった。

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