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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜

高見 燈

第2話  辺境の町アレス②

 ーー草原はこの町に入ると終わってしまった。建物やあぜ道の無い所には、芝生が広がるが、手入れされていて綺麗だった。

 モー……

 牛の鳴き声の聞こえる町のあぜ道。
 私と飛翠はそこを通りながら、女性のいる所に向かった。

「あんれ? 大きいな〜……“サデュー様”みてーだ。」

 女性は本当に小柄だった。
 私よりも背が低い。
 飛翠を目を丸くしながら見上げていた。

 この“俺様の第一印象”は、デカ!! か、綺麗な顔ね。の、どちらかだ。

 何とも可愛らしい顔をした女性だ。ちょっと年代はわからないけど、まだ二十代後半ぐらいかな?

 んー?でも、この木の桶みたいのを持ってる手は、荒れてしまってて痛々しいし、シワも少しある。

 もしかしたら、少し年代高めかもしれない。

「ここはどこだ?」

 飛翠が、そう聞いた。

 女性は余程ーー、飛翠の身長の高さが物珍しいのか、まじまじと見ている。

 瞳が少し赤系のブラウンだ。綺麗な色をしていた。それに、髪もオレンジっぽい。

 女性は三角巾の下で二つに纏めている。
 黒いのはゴムなのかな?

「ここか? “辺境の町アレス”だがね。にしても、変な格好しとるね? なんね? どこから来たんだか……」

 何とも言えない訛りのある口調だ。早口でないので聞き取れるが、これで早口だったら聞き返していたであろう。

「アレス……? 聞いたことねーな。」

 飛翠はぼそっとそう言った。

 私も無い。でも世界は広いから。私達は日本だし、海外にはあるのかもしれない。

 ありそうちゃっありそうなんだよね。
 牛小屋にいるのは、私も良く知る牛だし、トコトコと、歩いてるのは鶏だし。

「おかーさん。」

 と、その家から少女らしき娘が出て来た。
 牛小屋のあるその家だ。

 お母さん?? と言うことは……この女性はいくつだ??

 私は、ふくよかな女性を再度。見てしまった。

 そうーー、思ったのは出て来たその女の娘が私達とそんなに年代が、変わらなそうだったからだ。

 顔を見る感じの印象ではあるが……。

 私の身長は160弱。
 その娘は、私よりかなり小柄だった。
 お母さん。と、呼んだその女性よりも小さい。

 赤茶系の髪をツインテール。くりくりっとした巻き髪。
 ちょっとそばかすが両頬にある。紅い三角巾に白い丸襟のブラウス。紺のワンピースに腰から、白いエプロン。

 母親らしき人もそうだけど、足元はブーツを履いてる。足首よりちょっと上辺りの。

 やっぱり……アルプス系だ。ヤギと牛乳が私の脳裏に浮かんだ。

 ここにいるのは牛だけど。

 ただ、その女の娘は私と飛翠を見ると、そのオレンジっぽい瞳をくりっと丸くした。

 驚いている様だった。

 まあ。そうでしょう。こんな格好だし。

「お……おかーさん? この人達は? 何をしてたの?」

 と、その女の娘は少し焦った様にそう言った。母親の袖を引っ張っている。

「ん? なにって珍しいから声掛けてただけだよ。“マリー”。お茶でも淹れてやんな。」

 と、母親らしき女性はそう言った。

 マリーと呼ばれた女の娘は、少し止まった。

 やっぱり……相当珍しいよね。こんな服装。見た事ないんだろうな。

 あ。それとも黒髪が珍しいとか?
 私の髪もどっちかと言うと、黒に限りなく近いブラウンだからなー。
 飛翠は漆黒だしね。

「……ど……どうぞ。」

 ん〜……とてつもなく嫌そうだけど。

 女の娘の顔は、なんだか緊張している様にも見えた。けれど、私達をその家に案内してくれた。

 牛小屋のある庭の様な場所は、そこまで広くないけど、芝生で囲まれている。

 小屋は近くで見ると意外と大きい。
 白い壁は石かな?

 なんか軟らかそうな壁だ。鉄筋コンクリートには、やっぱり見えない。

 家の中は、木だった。
 玄関というのはなくて土足。
 カントリー風の造りで、床には紅いカーペットみたいのが、敷かれてる。

 ドアから入ると直ぐにダイニングだった。
 そのカーペットの上に、木の楕円形のテーブル。それからベンチスタイルのイス。

 女の娘は奥の方に行ってしまった。
 キッチンでもあるのかな? 見たいな。カントリー風のキッチン。

 大きな窯みたいな暖炉。

 ぱちぱちと音をたてて炎が燃えてる。

 煙は……これのものだったのかな?

 外は何かを焼いてる様な焦げ臭いにおいは、しなかったし。

 と、私が家内探索をしていると飛翠が、とんとん。と、私の左肩を人差し指で叩く様にした。

「ん? なに? 今、忙しいんだけど。このカントリーなお家を見学中。」

 私は飛翠を見上げた。
 だが、返って来たのは

「呑気な事言ってんじゃねー。見ろ。」

 と、暖炉の側の壁に視線を向けていた。
 その横顔は何だか……信じ難いものを見る様であった。

 木の壁には紙が貼ってあった。
 薄茶に汚れた紙だ。
 でも、私にもわかる。

 そこに貼ってあったのは、明らかに私と飛翠の顔が描かれたもの。
 それはもうご丁寧な感じで、そっくり。

「え? あんたいつ“人殺したの”?」

 私がそう言ったのは、その二人の絵の上に
 “WANTED”とあったからだ。

 それもとてもわかり易く後ろには、髑髏のマーク。どう見ても“指名手配書”だ。

 何で、英語表記なのかはわからない。でも、お陰で事態がのみこめた。

 つまりーー、お尋ね者。
 何しろその下には“20’0000000コア”と、表示されている。

 幾らなのかはわからない。円じゃない。ドルでもない。何? “コア”って。

 通貨ーーなのか。あー……この時点で、別世界っぽい。

 いやいや。その前に。2億だ。円にすると……。2億の懸賞金!? ど……どーゆうこと!? どんな犯罪者だよ!!

 大量殺人ーー、いやいや。こんな懸賞金は見た事もないし、聞いたこともないでしょ。

 日本で、千人? それぐらい殺さないと無理じゃない?? って……その前に捕まるよね。サイバー化してるし。うん。


「俺だけじゃねー。お前もだ。」

 と、飛翠は苦笑いしたのだ。

「どうゆうこと?? 何もしてませんけど!」
「俺もしてねー。」

 私の問いかけに飛翠からは、そう返ってきた。

 んん? いや。君はーー、アレだよ。賞金掛けられても仕方ないよ。うん。

「飛翠はあるでしょ。“女泣かせ”って言う大罪が。」
「お前。この状況で良く言えるな。」

 はぁ。と、飛翠は深いため息ついた。

 いやいや。この状況もクソもあるかい! あんたのお陰で、私は散々なんじゃ!

 と、怒鳴るのを控えたのは、奥から木のマグカップを両手に持った女の娘が、出て来たからだ。

 その娘を見て、私はようやく納得した。

 外で、この娘が私達を見て……とても、驚いた“理由”だ。

「お母さんは……優しいから、“悪人、極悪外道”でも、区別しないの。」

 え? ちょっと待って。
 その言い方やめて。極悪外道なんて言われた事ないわ。この16年……。

 コト……と、女の娘はマグカップをテーブルに置いた。

 その顔はやっぱり、とても険しいものだった。

「それ飲んだら出てって。ここに来た事は言わないで。“隠した”と思われたら、アレスも無事じゃすまないの。」

 マリーだった。そう。この娘の名前は。余りの状況に、忘れてしまった。

 マリーさんは、私達を強く睨んでいた。

「……あの……それ。どうゆう事? もし良かったら……教えてくれないかな? “私達”なにしたのかな?」

 “した”覚えはないが、知っておくべきでしょう。こんな紙があるって事は、事実なんだろうし。それに……どう考えても私達二人の顔だし。

 顔しか書かれてないから、服装違うでしょ?とか、言えないし。
 まあ。強いて言えば、この紙の上の私の顔は可愛くはない。何だか本当に“悪人”みたいだ。

「とぼけないで! 貴方達は……心優しい人達を“まるでゴミ”の様に殺した“大悪党”じゃない! それだけじゃないわ!」

 と、マリーさんが怒鳴った時だ。

 コンコン。

 ドアをノックする音がした。

 マリーさんの“大悪党”と言う言葉は、この際、聞かなかったことにする。
 目眩がする。

「失礼。“イレーネ国王の遣いの者”ですが。」

 と、外から男性らしき声が聞こえた。

 ハッ。としたのはマリーさんだ。

「出て。裏から。早く。」

 と、緊迫した様な表情で奥に向かって、手を指した。

 私と飛翠はその声に、顔を見合わせた。

「はい。只今。」

 マリーさんは、そう言いながらドアに向かって小走り。

 私はーー、ビリッ。と、壁からその“手配書”を破いて剥がした。

 キレイにはがれてくれた。

 飛翠と一緒にーー、奥のキッチンらしき場所にある裏口から、コソコソと逃げ出した。

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