かのわらし

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恐怖と安堵

「どこに行ったんだ…。」

あのあとすぐに家中を探したがかのはやっぱりいなかった。
前回は部屋を出た後すぐ消えて、今回最後に確認したのは部屋の中…。
しかし僕は部屋にいなかったので部屋を出た可能性もある…。

部屋に突然現れて何をするわけでもなくそのままいなくなる…。

「…白紙の本…。」

(そういやいつも白紙の本を見ていた。
あれはいったい何の意味があるんだろう。)


「今真っ白の本を見つめて何をしてるんだろうって思った?」


「!?」

そう言いながらクローゼットから現れたのはかのだった。
しかしあり得ない。


「え?だってそこは人が入るようなスペースないだろ!?」

元々狭いクローゼットには物があふれていっぱいだった。


「だから私は"人"じゃないんだよ?」

その口調はとてもゆっくりでいつもより低い声だった。

かのから放たれる独特なオーラに背筋が凍った。

(なんだなんだっ、いなくなったんじゃなかったのか。)

僕はかのに対して恐怖心を抱いていた。

「たけるがここにいてって言ったんだよ?」

「ま、まさかそんなところに隠れているとは思わなかったんだよ…」

「なんでここにいてって言ったの?」

「そ、それは…」

(あれ、なんだっけ…)
なにかやばいものに関わってしまっている気がする…。

たけるは恐怖心に押しつぶされそうになっていた。

かのがゆっくりと近づいてくる。

「たける…?」

「怖がらなくていいんだよ…」

そう言うとかのは僕をやさしく抱き寄せた。


たけるはあまりの出来事に言葉を失った。
理由はわからないがその威圧感と口調から、かのは怒っていると思っていたからだ。

「怒ってるんじゃないの…?」

かの「かのは人や妖怪と間違われるのが嫌なの。
でも怒ってないよ…少し拗ねただけ」

(今ので怒ってなかったのか…
普通の人だったらマジギレレベルの威圧感あったぞ…。)

「ま、まぁ怒ってなかったならよかった。」

「こ…これいつまでしてるの?」

かのが抱きついたまま離れない。

「たけるに初めて触れた…」

(人の話聞いてないな…一体何なんだこの女の子は…。)

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