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ココロの距離感

近衞

10話【date2】

 2人は近くのショッピングモールに入り
婦人服売り場を見て回る。



ほとんど出掛けた経験が少ないので、
私は物珍しい眼で辺りを見渡す。



「裕海さん、どんな服がいい?」



「いや…私、服はよく分かんないから…」



「じゃあ、僕なりに裕海さんを
コーディネートするよ」



「い、いや…お金…」



「今日は裕海さんへのお礼…
って言ったからね。僕が出すよ」



「そ、そんな、悪いよ!」



「裕海さんにはお世話になったからね。
これくらいさせてよ。」



と、佑磨は店を物色しながら言う。



「で、でも…」



「昨日、給料入ったんだ。大丈夫!」



と、佑磨は《TEKAQ》と書かれた
婦人服店に入った。

















「裕海さん、どう?」




佑磨は試着中の裕海に声をかける。




「だ、大丈夫…できたよ!」



と、カーテンを開いて姿を見せる。




「うん…似合うよ、裕海さん」



佑磨は裕海の姿を見て納得の表情を見せる。




「そ、そうかな…?」




真っ白なワンピースを蝶々結びで
引き締める。




元々スタイルの良い裕海には、
こういうシンプルな服装も様になる。




「よし、じゃあ次はこれを着てくれる?」




と、別の服を一式渡す。




「あ…うん。」



裕海はそれを受け取り、
カーテンを閉めた。













「…。」




裕海は鏡に映る自分の姿を見て、
その輝く姿に見惚れてしまう。



「自分にこんな姿ができるなんて…」



呟いた言葉は空気となり、霧散する。



気が付いた裕海は思わず
鏡から眼を離す。



「…早く着なくちゃ…」




と、裕海は手を急がせた。






































「買ったね〜裕海さん」



と、両手に紙袋を持った佑磨が言った。



右手に2つ、左手に3つの紙袋。



佑磨は悠々と持っている。



空はもう茜色に染まり、
彼らも帰路についていた。




「ほ、本当にありがとね。
こんなにたくさん…」




佑磨の両手を見て申し訳無さそうに
言葉を口にする。





「気にしないで。お礼だよ。
裕海さんには普段からお世話になってるから。」





「わ、私、そんなに佑磨君に何か
してあげたっけ…?」




「…うん。たくさん…ね。」




少し歯切れが悪いが、
佑磨は裕海に笑顔を見せる。




「…佑磨君…?」




そして、裕海の家に到着した。




「あ、ありがとね佑磨君。
送ってもらって…」



「いやいや。大丈夫だよ。」



と、2人は裕海宅に入りながら
会話を交わす。




「服はソファに置いておいて。」



「りょーかい」



と彼は軽く返事を返す。




私は洗面所に立ち、
帰宅後のルーティンを行う。





それを終え、タオルで顔を拭き
リビングに戻ろうと踵を返す___





























背中に、人肌の温もりが広がる。













両手を少し優しく拘束され、
裕海は為すがままにされる。














「ゆ、佑磨君…?」








後ろから裕海を抱きしめる佑磨は、







「急にごめんね。裕海さん」














耳元で、優しく呟く。














「俺、好きな人がいるんだ」














裕海の息が止まる。














「その人は優しくて、強くて…
僕みたいな奴でも助けてくれる人なんだ」














「え…?」














「僕、大学には行かずに
芸能で生きて行こうと思ってるんだ。

だから、その人に会うことができるのは
高校生である今だけなんだよ。」














「ゆ、佑磨君…それっ…て…」














「高校卒業までに、決めてくれたらいいんだ。」














「裕海さん」







































「俺と、結婚してください」

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