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ココロの距離感

近衞

8話【衝撃】

 昨日の電話は、何だったんだろう。




多分、佑磨君じゃない…と思うけど。




今日、佑磨君に聞いてみよう。




と、私は朝の身支度をしながら思う。














ピンポーン




ふと、インターホンが鳴る。



私は急いで来客の元へ向かう。




「はーい」



「おはよう、裕海さん」



「佑磨君?どうしたの?」



来訪者は佑磨だった。



「話したいことあって…今いいかな?」




「あ、うん…上がって。」



「あ…ごめんね、裕海さん」



と、佑磨は「お邪魔します」と言って
裕海の家に入っていった。













「で、どうしたの?」



「言ってもいいけど、テレビ見て貰っていいかな?」



「…?わかった」



と、裕海はリモコンを手に取り操作する。




番組は、朝のニュース番組だ。



「番組はそのままでお願い」



と、チャンネルを変えようとした
裕海を制止する。





《次のニュースです。》














《本日、ジザァニァー事務所の
新グループ、ビクトリアの解散が
発表されました。》




「えっ!?」



裕海は思わず手で口を覆う。




《発表された文書に寄りますと、
メンバーの田中雅樹さん、杉山エイジさんから脱退の申し出があり…》




「ど、どういうこと…!?」



裕海は唖然として動けない。



「昨日の電話、覚えてる?」



「あ、うん…」



「あれ、お酒で酔った雅樹さんがやったことなんだ。迷惑かけてごめんね。」


と、佑磨は頭を下げた。




「あ、頭上げて!で、でも、急に解散って…」




「話してもいいけど、時間…」



佑磨は時計を指差す。




「やば!遅刻する!早く行こう!」




と、2人は急いで家を出た。





















「…元々、あの2人は素行が悪いんだ」





「え…?」




速歩き気味で学校に向かう2人。



「未成年飲酒、暴力、恐喝…
噂になってるだけでも数知れない。」




「…」




「…脱退の申し出…なんて言ってたけど、実際は素行不良の責任を取ったんだよ」




「佑磨君は、大丈夫だったの…?」




「…僕は大丈夫だよ。
でもごめんね、裕海さん」




「え…どうして謝るの?」




「裕海さん、ビクトリアの曲
好きだったんだよね?だから…」




「い、いや!その、確かに残念だけど…
そういうことなら、仕方ないって思う。」




「…ごめん。裕海さん」



と、佑磨は俯いてしまった。



「あ、あ!そうだ!佑磨君、
今日時間あったりする?」



「今日はレッスン無いけど、どうしたの?」




「毎日1人で寂しくてさ。
ウチで夕飯食べない?」



「え…いいの?」



「佑磨君を元気にしたいの!」



佑磨は少し考える。


だが、裕海の笑顔を見て微笑んだあと、



「…分かった。お邪魔します。」



「うん!今日一緒に帰ろうね!」




と、裕海は優しく笑って返した。
















































「くそっ!!」



空になった酒瓶を叩き割り、
光る鋭利な破片が辺りに散らばる。




「くそが…何で俺がこんな目に…!」



汚らしく歯ぎしりを響かせ、
壁に拳をぶつけた。



「おいエイジ!」




「何だよ、雅樹」



「酒もってこい!酒だ酒!」




「…お前、まだ未成年だろ
あとそれで最後だよ」



「いいから早く買ってこい!ぶっ殺すぞ!」




「はいはい…」



と、エイジはダルそうに去っていった。










あの後、平田は監視カメラの映像を社長の元に持ち込んだ。





未成年飲酒、未成年喫煙、暴行…




元々素行不良が問題視されていた彼らは、
その映像でお役御免となった。




















2人が事務所から受けた処分は、
無期限活動停止。




ジザァニァー事務所社長は、
「私の見る目が甘かった」と発言した。





収入源が無くなり、愚行がバレた2人は
住んでいた高級アパートも追い出された。








どうにか借りれた月3万のアパートで
共同生活をしている。






見事に転落した彼らは、
ボロボロの畳の上で狭苦しく生活していた。







「くそが…何で俺がこんな安い家で…!」








ふと、散らばった酒瓶の破片を見る。








彼は黒い笑みを浮かべ、




「いいこと…考えたああ〜」




と、うわ言のように呟いた。




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