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ココロの距離感

近衞

3話【危機】

 文化祭の実行委員になった私達は、
それから忙しい日々を送った。


私達の仕事は、

ホームページの作成、
地域の方々へのチラシ配り、
体育館の飾り付け。



放課後は用事がある、と言って
彼が働いていたのは休み時間だけだが…



リーダーのような役回りを上手くこなし
おかげでかなり仕事は捗った。



彼の打ち出した広告方法が功を奏し、
生徒の協力も大分得られている。




彼のおかげで昨年より仕事のペースは
4倍早くなったらしく、



生徒と実行委員のボルテージは最高潮。








私達は最高の状態で文化祭を迎えた。
















































 










この学校の文化祭は、100年続いている
とされている伝統舞踊がある。



3人の男が祭りで着るような
浴衣を身に纏い、
太鼓を叩いて豊穣や息災を願う、らしい。




この学校の創設から今年で100周年。




今年は100周年と節目の年で、
理事長が見物をするなど
気合が入っている。



先生方も「失敗できない!」と
かなり緊張していた。



理事長の前で失敗すれば
責任問題になるらしい。



…本当に大丈夫だろうか?













































会場のボルテージは最高潮。




有志によるバンド演奏が会場の
喧騒をさらに激しくしていく。




文化祭は遂にクライマックスだ。




最後に、その伝統舞踊を披露する___…

















「おい!どうなってる!?」




と、私の後ろで山田先生の声が響いた。




「…何かあったのかな?」



と、次のバンドグループの準備を
手伝っていた佑磨君が戻ってきた。



「おい、牧田、太鼓の予備はあるか?」



「へ?あると思いますけど…」



と、私は山田先生と確認に向かう。



「な、何だこれ!?」



山田先生がその惨状に悲鳴をあげる。



無残にも、
予備の太鼓の鼓面が引き裂かれていた。




「な、何で…」



「用具班は何してる!?
予備はもう無いのか!?」




山田先生の焦りが募る。




私も予期せぬ事態に
思考が停止してしまっていた。



「あ、ありません!全部ダメです!」




「な、何でこんなことに…」



山田先生の顔が青ざめていた。




「と、取り敢えず中止に…」



と私が停止した思考を巡らせる。




「だ、ダメだ。今回は理事長がきてる!
理事長はあれを生き甲斐にしてるんだ…」



と、山田先生は落胆の表情を浮かべながら
そう答えた。



「で、でもこれじゃ伝統舞踊なんて
無理ですよ先生!」



「分かっている。分かっているが…」




山田先生は歯を食いしばり、
悔しさを押し殺している。




バンド演奏も佳境に入り、
焦りは益々広がっていく。






「山田先生!」





その時、佑磨が山田先生を呼ぶ。




「時間がかかりますが、
音楽室から持ってきては?

司会の人に事情を説明して、
どうにか持たせてもらいましょう」



と、この場の雰囲気に呑まれなかった
佑磨が言った。



「そ、そうだな。説明は加藤で頼む。
他のみんなは音楽室に行くぞ!」




「はい!」




と、私はいの一番に音楽室に向かった。




























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