がーるずベースボール!

近衞

46話⚾︎船田紗枝⚾︎

 私は、やれば大抵のことはできた。





勉強も運動も、努力をすればなんでも。







努力は苦しいけど、出来るようになるのが
嬉しかった。













みんなと仲良くしたくて、
とにかく頑張った。













でも。


















「おまえ、うざいよ」





















…いつからか、妬まれるようになった。













私はそれから、周りに流されるように
なっていった。













拒否しなければ世界は簡単に流れて行く。













…でも、それで本当にいいの?













そう思って自分を変えようと始めた野球。




でも、状況は変わらない。













気付いたら、自分を抑え込んでいた__…











《6番、センター船田さん》





あのアクシデントの後、
6番を抑えて攻撃に転じた
ソニックがーるず。



1番愛李華、2番相沢の連続ヒットに
3番聖川がフォアボールで満塁。




4番井上の犠牲フライで1点を返し、
5番芽衣の投手強襲内野安打で再び満塁。



ワンナウト満塁、一打逆転のチャンスだ。







「タイム!」



高貴が手を挙げ、審判にタイムを要求する。



船田はそれに気付いてベンチへ。




「どうしたの?玉原君」




「今、病院から電話があった。」




ベンチが少しざわつき、




「な、内容は?」











「…八幡が意識を取り戻したそうだ」





ざわめきから歓喜へと皆の表情が
変わる。




「絵里、どうなってるって?」




「…検査の結果、どこにも異常はなかったらしい。
近くの病院で球場に戻せって暴れてると
医師から電話があったよ」



「絵里らしいね」



「だな」




と、ベンチの皆は笑みがこぼれた。







「よ、良かったぁ〜」




船田は少し崩れ落ちそうになるが、
バットで支える。




「もういいかね?」



あまりに長いので、審判が確認に来たようだ。




「あ、はい!すいません!」



船田は慌てて打席に向かう。




「船田」




「な、何?」










高貴は拳を突き出して、













「思いっきり暴れてこい!」






と、満面の笑みで言った。








「…うん!」








船田は笑顔で応え、打席に向かった。






















昔から、人間は変わらない。













謙虚でいることを求める癖に、
謙虚な姿勢を見せれば調子に乗る。













でも、野球なら。













みんなと一緒に、目立っていいんだ!












キィィン!













今迄の怨嗟を、後悔を振り払うかのような
力強いスイング。
















威勢良く飛球した軌跡は、
鳥のように空を舞って行く。












風に逆らわずに羽ばたいたそれは、
減速などすることはなく…













レフトスタンドに、飛び込んだ。








瞬間、ベンチとスタンドは大いに沸き
歓声が船田を讃えた。







「…っし!」













その大歓声に向かって、
船田は拳を突き上げた。










その姿に、先刻のような怯えた
表情は無く。


















その表情は、晴れやかだった。
















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