がーるずベースボール!

近衞

41話⚾︎邂逅➂⚾︎

 イギリス国南部地区某所。



俺は今、イギリス国野球機構本部の前に立っている。



昨夜、日野構の会長大和田検事さんと
対談した俺は、

朝一番にイギリス国に入国した。








あの後、旅館に戻った俺は
聖川、響子、八幡、球宮さんに
合宿を抜ける事を伝えた。



4人は俺の部屋で待ってくれていて、
かなり心配していたようだった。



俺がイギリス国に向かう事を伝えた時は
かなり驚いていたが、
事情を知る球宮さんは理解してくれた。










俺は意を決して、その門をくぐる。



「お待ちしておりました。」



と、スーツの男性が出迎えてくれた。





150年前に隕石により地球が滅亡し、
栗原メイアがその科学力で
文明を再興した。




その際隕石を開拓した領土を
日本とイギリスという形で分ける。



150年前は世界中で何ヶ国もの言語が
飛び交っていたと言うが、

今は日本語が主流で、英語はイギリス国の
片田舎でしか使われなくなったらしい。



だが日本人、イギリス人の身体的特徴は
昔から変わっていない。



ドロッセルは片田舎出身の両親に
育てられたので、
英語と日本語を話す。



昔のイギリス人は
性、名にミドルネーム?があったとされるが、そんな長い名前覚えられるか…?



今のイギリス人の慣習として
結婚する相手にしか名を明かさず、
普段は性しか明かさないようになっている。




日本とイギリスは検問でパスポートを
見せれば直ぐに入国できる。



150年前は空を飛ぶ自動車があったらしいが、どんなものだろうか…?







俺は応接室に通され、席に座る。



しばらくすると、ドアを開く音がした。




「待たせたね。」



そこには、
若々しい笑顔が特徴的な
金髪碧眼の男性が立っていた。



俺は立ち上がり、




「初めまして、玉原高貴と申します。」



「ええ、ミスター大和田から聞いておりますよ。

ささ、どうぞおかけになってください。」



着席を促された俺は座って姿勢を正す。



机一つを間に挟んで、2人は対面する。




先程まで笑顔を見せていた彼の表情は
真剣そのものになり、





「…さて、初めまして。
イギリス国野球機構会長の
スチュワーデスと申します。」



と、スチュワーデスは名刺を机に置く。




「ありがとうございます。
…それで、単刀直入で申しわけありませんが…」



「栗原メイアについて…だったね
事情はミスター大和田から聞き及んでいるよ。」




瞬間、場の雰囲気に緊張が満ちる。



「目撃した…と聞いています。」



「ああ。確かに、1ヶ月前にある場所で目撃したよ」



「ある場所…とは?」



「その話をする前に、色々と君に聞きたい事がある。」




「なんでしょうか?」











「…君は、両親に会いたいのかい?」




「っ?」




「…君の両親が生きているか分からない。そして、栗原メイアも然り…

その上で、君はここに来た。」



「…」



「これは、場合によっては国の秘密を知る事にもなりうる。
その覚悟は君にはあるのかい?」



スチュワーデスの言葉に対し、
高貴は沈黙した。



「…俺は」



高貴は逡巡した後、口を開く。



「正直、国の秘密だとかそんな事はどうでもいいんです。

ただ、俺は両親がやろうとした事が知りたい。」



「…両親に、会えなくても…かい?」



「俺には家族同然のチームメイトがいます。彼女らがいれば、俺は…」



「…俺は?」



「正直、両親に会えなくても寂しくも
なんともありません。」



と、高貴はスチュワーデスを見据えた。




「仲間、いっぱいいますから。」



「じゃあ何故、ここに来たんだい?」



「両親が、俺に何を託したのか…
それを知りたいんです。」



「150年前のプロ野球選手の知識と技術…じゃないのかい?」



「…ええ、そうです。ただ…」









「それだけなら、何故私を生かすようなまねをしたんでしょうか?」



「…。」



「過去の文献を許可無しで閲覧するのは禁忌…栗原メイアの文献なら尚更です。

バレれば極刑…だが俺は生かされた。」



「…子供は関係ない…ということにはならないかい?」



「ならないでしょう。俺にはその許可無しで閲覧した文献が記憶の改竄という形で
受け継がれている。同罪でしょう。」



「…なるほど、一理あるね。」



「17年前、両親は行方知れずになった…
だが、俺はこうして生きている。

17年間誰にも命を狙われることなく…」



「つまり、君を生かしたのには何らかの意図が隠されていると?」



「はい。俺はそう思っています」



「君以外にも似たようなケースは無いのかい?」



「昨日大和田さんに見せてもらった
データ…

その中に不正閲覧をした人物は俺の両親以外にいない。

となれば、疑問が浮かぶはずです。」



「君を生かしているのは何故…か」



スチュワーデスは姿勢を直して、



「なるほど、君が栗原メイアについて知りたい理由は分かった。」



「俺なりに、貴方に対して切れるカードは切りました。

貴方がそれにどんなカードをぶつけてくるか…」


「そんなに疑わないでくれ。

君は包み隠すことなく話してくれた。
その誠意には応えるさ。」



と、スチュワーデスは用意された茶に
口を付ける。



「失礼。

栗原メイアを目撃したのは、1ヶ月前の
ミスター大和田との会談の後なんだ」



「場所は…?」



「日本国東部地区球場の向こうにある
ドーム球場のVIPルームだ。

会談が終わりその場で仕事の電話を受けた後、ミスター大和田に遅れてVIPルーム
を出た直後だよ。」



「栗原メイアは何処にいたんですか…?」



「日本国Sランクチームの控え室さ。」



「控え室…!?何故そんな」



「分からない…が。
確かにその姿は栗原メイアそのものだ。」



「…なるほど。」



「…理解してくれたかい?」



「…疑問があります。」



「何かな?」





「何故、貴方は栗原メイアの顔を知っているのでしょうか?」




「彼女はイギリス生まれだからね。
一度彼女のプロフィールを閲覧したことがあるんだ。」



「…150年前の人物が、生きている…?」



「にわかには信じがたい。
僕の見間違いという線もある…

だが、あの眼は栗原メイアに違いない」



「今、栗原メイアのプロフィールを閲覧
することは出来ますか?」



「出来るとも。少し待ってくれるかい?」



と、スチュワーデスは端末を取り出す。



「これだよ。
それと、個人情報だから、他言無用でね」



「はい。ありがとうございます。」



と、彼は差し出された端末を見る。




「…な」



「ん?どうかしたかい?」




「これが本当に栗原メイアなんですか…?」





「ああ。間違いない。」



















スチュワーデスの端末に映る人物。















高貴はそれを見て瞠目した。














自然と、呼吸が浅くなっていく。





「玉原君?大丈夫かい?」




「…はい」




「この顔に心当たりがあるみたいだね?」






「…会ったことはありませんが、
見覚えは…」
















瞬間、頭の中に響く。
















【必ず、私のところに来てね】
















夢の中に出てくる、あの女性。














「あれは、栗原メイアだったのか…!?」














俺は、疑問と動揺を隠せなかった。







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