がーるずベースボール!

近衞

36話⚾︎おもてなし⚾︎

 俺は今、3人の和服女子に為すがままにされている。






放心状態で、天井を見上げていた。




「こ、高貴…い、痛くない…?」


響子が俺の足裏をほぐしながら問う。






「こ、玉原…痛かったら言ってくれ。」




聖川が俺の腕を揉みながら言う。






「お、おい高貴…あんまあたしの顔見んじゃねえぞ…」


と、俺を膝枕しながら八幡。





「ふふ。こんな可愛い女の子を侍らせて、高貴君は相当のジゴロね」



と、からかいながら球宮。





「いや待て、何でこんな事になってるんだ」



「説明しよう…それは、3人の乙女の熱き戦いが行われているからだ」



「ナレーション口調で意味のわからないことを言わんでください」



「でも、嫌じゃないでしょ?」



「…まあ、嫌とは言えませんし…」



ふと、八幡が頭を優しく撫でてくる。



「その…あの…痛くねえよな…?」



と、こちらの様子を伺いながら
八幡は問いかける。



「ああ。大丈夫だ。
で、何でまた3人がここに来たんだよ?」



「そ、それは…」



「こ、玉原!うつ伏せになってくれ!」



「お、おう…すまん八幡、悪いけど
そこどいてくれ」



「あ、わ、分かった」



と、俺はうつ伏せになり
聖川のされるかままにされていく。



「おー…聖川、うまいもんだな」



オッサン臭い台詞を口にしながら、
聖川の腕の良さを賞賛する。



「ま、まあな。
よく母上にやっていたからな。
これくらいお手のものだ。」 



「そういや腕も軽いや。
なんなら明日も頼みたいくらいだよ」



「あ、明日もか!?
…べ、別に…構わないが…その…よ、夜…」



「ん?どうした?聖川」



「そ、それは、その…夜伽…という
ことだろうか…?

だ、だが、私はまだ高校生で…
で、でも玉原が言うなら…」


後半小声すぎて聞き取れなかったが…



「え…?夜伽?いやそうい」



「あー!高貴!私の膝に来てくれないかなー!?」



と言いながら俺の顔は
素早く移動してきた響子の膝に埋もれてしまった。


「ぼ、ぼび、ばびびべ」


「ちょ、ちょっと!その状態で喋らないでよ!」



と、響子は俺の首に触れ始めた。



何だか身体中が暖かくなっていく…


「えっとね、前テレビで見たんだけど
首をマッサージすると副交感神経が
刺激されて気持ち良く寝れるんだって」



ほー、良く知ってるな、響子。



と、心の中で感心する。




そして段々と、意識が___…














「高貴君!まだ寝ちゃダメよー!」



「うおっ!?」



「ひゃあ!?」



いきなり頭に大声が響き、
俺は飛び起きた。



それを見た響子も驚く。



「高貴君、まだ勝負はこれからよ?」




「で、俺は次何をされるんです?」



「さて、本日のメインイベントよ!」



と、晩飯は終わったのに
何皿か蓋をされた料理が運ばれる。



俺の目の前に、3つの皿が並ぶ。

ステンレス製の蓋がその姿を隠していた。



「あれ?晩飯はもう終わってますよ?」



ふふん、と誇らしげに蓋を外す。



「じゃじゃーん!高貴君には、
3人の料理を審判してもらいまーす!」



姿を現したのは、まさかの肉じゃが。



「いや、これ何の意味があるんですか?」



「まあまあ、3人が一生懸命作ったのよ?食べてあげなきゃ悲しんじゃうよ?」



「く…いいでしょう。ただし、俺は料理にはうるさいですよ」



「ふふん、望むところよ」


何であんたがその台詞を口にするのか分からないが、取り敢えず箸を取る。



「左から、湯浅さん、聖川さん、八幡さんね。」



なるほど、と響子が作ったとされる
左の肉じゃがに眼をやる。



「な…!」




いやまて、どう作ればこうなるんだ!?



高貴は言葉を失った。



魔界の底なし沼のような赤黒い液体に、
木が生えたように糸蒟蒻が上に伸び、

芽が処理されていないジャガイモが
岩のように聳え立つ。



禍々しいオーラを纏う肉じゃが?に、
俺は腰が引けていた。



どうする?逃げるべきか!?




だが、後ろで正座をして俺を見ている
響子を想像すると、気がひける。


「ほ、ほう、では響子のから食べるか」









か、覚悟を決めろ。玉原高貴!!



糸蒟蒻をつまみ、口に運ぶ__










咀嚼、咀嚼、咀嚼。














すると、スパイスか何かの辛さと、
醤油特有の味の濃さが
口の中で____…














いや不味っ!?








なにこれ!?塩?塩なの!?








何使ったらこんな味になるの!?







思わず、俺は咳こんでしまう。



「こ、高貴!大丈夫!?」



3人が俺の元に駆け寄る。



「う…む…んん」



「高貴、無理して食べなくてもいいから」



ふと、高貴の左手が響子の頭に触れる。


「高貴…?」



「帰ったら、一緒に料理の練習をしよう」



マジで、これは凶器や。



口の中で雨宮のストレートをデッドボールされた俺は、かろうじてその言葉を
捻り出した。



「うん!」



さっきの心配そうな顔をから一点、
向日葵のような綺麗な笑顔を向けてくれた。



そして、真ん中。
聖川の肉じゃがに手をつける。



響子のとはうって変わって
見た目は高級料理店のような外観だが…






舌に触れる甘さが、
なんだか高級そうな感覚を
俺の舌に与えてくる…




「いや、普通に美味いな。
高級料理店で出されても納得だ」



高級料理店に入ったことはないが。



「そ、そうか!そうだろう!
お、お前の為に頑張ったからな…」


と、嬉しそうに俺の言葉を咀嚼する。


お、から声が小さすぎて
聞き取れなかったが。







続いて最後は八幡。


こちらも外観は申し分はないが…







「響子のお母さんの肉じゃがの味がする」



「ふえっ?」



「つまり美味い。
聖川が料理店なら、八幡は家庭の味だ」



「か、家庭…」



何か八幡がもじもじしてるな。





「なあ、八幡の肉じゃがどうやって作ったか後で教えてくれよ。
俺、どうやってこの味出せばいいか
分からないんだ」



「お、おう。任せとけ…」



八幡が隠れてガッツポーズしてるのを、
俺は見逃さない。



何でガッツポーズしてるか不明だが、
俺は箸を置く。




「さて、高貴君。
この中で誰が1番おもてなしできたか、
選んでもらえるかな?」


3人の表情が引き締まる。



「うー…ん」



3人の視線が、高貴に集まっている。

























「正直わからん。」




「へ」



「俺は3人に充分もてなされた。
勝者は3人とも。戦いに参加してない
球宮さんは不戦敗、これでどうだ?」




部屋が静まり返る。



「ぷっ」



「「「あははははははははは!!」」」



突然笑い出した3人に、高貴は驚いた。



「高貴らしい答えだねぇ」


「ああ、確かにな」


「その発想は無かったぜ」



と、3人は再び声を上げ笑っていた。



「なるほどね、じゃあ…」





流れるような所作で高貴の腕に絡みつき、




「私も、入れてくれないかしら…」



と、上目遣いで高貴を見つめる。



膨よかな胸の膨らみが腕にあたり、
俺の心臓は跳ね上がる。



「わ、私だって恥ずかしいのよ。
けど、高貴君が…いけないんだから」




と、球宮は高貴に唇を向け___




























「てめええ!またやりやがったなああ!」



「手は出すなとあれ程言っただろう!
この女狐えええ!!」



「こ、高貴、ダメー!」



と、3人は勢いよく俺と球宮さんの
間に飛び込んできた。



「うおっ!?」




聖川と八幡は球宮の胸ぐらを掴み、



「てめえ、ひき肉にしてやろうかあ!?」



「ひゃあっ!?やめて、私初めては高貴君に」



「だ、黙れこの女狐め!!」



響子は俺の前で立ち塞がるようにして
球宮の前に立っている。




「…何なんだ?一体」









そんなこんなで、
今日の夜は更けていった。






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