がーるずベースボール!

近衞

34話⚾︎秘密⚾︎

 2人は砂浜から出て、
砂浜から離れた丘の上を歩いている。



日本国東地区は住宅、工業を主とした
街であるが、

西地区は日本国の商業の中心で、
【世界の台所】と言われる栄えた街。




東地区から出た事の無い高貴は、
丘から見える都会の景色に見入っていた。



「西地区は初めて?」



「ええ。まあ…」



「ここは本当に楽しい街よ。
歩けば直ぐに飲食店があるし、
ストリートでは大道芸が見られるわ。」



「ほー…」


「ふふ、また案内して上げる。
…着いたわ。」






2人は小さな小屋の前で足を止める。



「入って。私の事務所なの。」



「は、はあ…事務所…」


と、2人は事務所と呼ばれる小屋に
入って行った。























「入って行ったね、聖川隊員」



「ああ、入って行ったな、響子隊員」



3人は丘の岩陰に姿を隠しながら、
高貴と球宮の後を追っていた。



「あの性悪女…高貴に手ぇ出しやがったらぶっ殺すかんな!」



「…そういえばあそこで何をするのだ?」



「あ?知らねぇよ」



聖川は何かに気付いたような声を出し、



「ま、まさか…こんな昼間から!?」



「はあっ!?」「ふええ!?」



3人は途端に顔を赤く染める。



「い、いや、さすがにそれは…」



「で、でもよ…あの女、高貴にき、キスしてたし…」



「こ、こんな外れにある小屋に来た理由は…」




3人はオーバーヒートを起こし、
顔から煙が上がる。



「こ、こうしてはおれん!今すぐに…」



聖川は立ち上がる。



「あっ!おい、抜け駆けすんじゃねえ!」



「ぬっ、抜け駆けなどしてはおらん!」



「ふ、2人とも落ち着いて!まだ…その…
え、エッチなことだって決まった訳じゃ…」



と、岩陰に隠れ、
3人は押し問答をしていたのであった。












































高貴と球宮は、小屋の二階に上がる。




球宮はドアを開け、高貴に入室を促した。





真昼間なのに、真っ暗な部屋。



球宮がドアを閉め、
何も見えなくなってしまった。




「高貴君、聞こえる?」


後ろから、球宮の声が響く。



「はい。聞こえますよ。」



「…貴方に見て欲しい…いや、
見てもらわなきゃいけないものがあるの。」




「俺が…見なきゃいけないもの…?」



「ええ。…だけど、君を苦しめてしまうかもしれない」



「…どういう…ことですか?」



「…これを見て。」



ふと部屋の灯りがつき、
高貴は思わず眼を細めた。



「…こ、これは…!!」



部屋は、白い病室用ベッドしかない
殺風景な白い部屋。



だが、そこにある筈のないものが
ベッドの上に置かれていた。




「このヘルメットは…あの夢の…!?」



高貴は焼け焦げた跡が残る
ヘルメットを手に取る。



高貴が毎夜のように見る夢。



赤子にヘルメットを装着し、
機械で何かをする。



そしてその赤子を撫でながら、女は…



【必ず、私のところに来てね】



「っ!?」



思わず、高貴は球宮を見た。



「ど、どうして貴方がそのセリフを…?」


球宮は腕を前に組み、



「…それはまだ言えないの。」



「…どういう…ことですか」



「それも言えないわ。
あの人に言わないようにキツく言われているの。」



「…何故、このヘルメットがここに?
貴方は何故俺をここに連れて来た?」



「…順を追って答えるわ。
私も、貴方と似た夢を見るの。」




「どういうことです?」



「暗闇に、一つの光の粒が現れるの。
その光は、私にこう語りかける。」


「あの子は、必ずここに来るわ。
だから、その時はあの子をお願い。

と、少しハスキーな声で私に言うの。」



「…あの子…?」



「…貴方よ、高貴君。」



「つまり、俺と貴方に語りかける声の主は…」



「…同一人物でしょうね。おそらく。」




「なん…だと…?」



高貴は動揺を隠せない。



「…驚くのも無理はないわ。
私も、初めてその夢を見始めた時は気味が悪かったわ。」



「…俺は、その夢を物心ついた時からほぼ毎日見ています。貴女は…?」



「…私も同じよ。」



「…!」



高貴は言葉を失った。




「…あの人が語りかけている途中、
貴方の姿が映し出される。
そして、貴方は本当に姿を現した。」



「…」



「高貴君、貴方の親族は?」


「物心つく前に亡くなったと…」



「…そう。多分、それは嘘ね」




「な…!?」


「記憶の改竄…高貴君は首の後ろに傷はあるかしら」



「ええ。ありますが…」



高貴は首の後ろにある丸い傷に触れる。



「それ、記憶の改竄を受けた人間に必ず
付けられる証よ。
貴方はおそらく、赤子の時に記憶が改竄されるように細工をされているわ。」



「…改竄…?細工…?」


「おそらく、君の親御さんは、
何かの研究員をやっていた。」


「ええ…最近の科学者は自分の研究を
子に受け継がせるために記憶の改竄を
行う人が居る、と聞きますが…」


「記憶の改竄は、禁忌を犯した研究者が
最後の手段として使う外法の技。
見つかれば極刑は免れないわ。」


「そして、俺だけが逃がされた…」



「おそらく。そして、貴方はこの部屋で
そのヘルメットを使って細工を受けた。」



「…そう…ですか…」



高貴は再びヘルメットを手に取る。


「このヘルメットで…俺は…」



瞬間、背中に温かさが広がる。



「球宮さん…?」



高貴の背中に寄り添う球宮は、


「…ごめんなさい。合宿中でこんな話をして…」



「い、いえ…」



「…実はね、私はあの夢結構好きなの。
貴方をここに連れて来たのは、
この話をするためと、もう一つ。」



「もう一つ…?」


「あの夢を見てから、あの夢に映る君に会いたくなった。

そして
流れて来る映像が、あの声が、
あの夢が。嘘じゃないって、
それが分かったことが嬉しかった。」



「…球宮さん」


「…高貴君」

















































「貴方の事が、好きです。」


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