がーるずベースボール!

近衞

28話⚾︎AランクとCランク⚾︎

 雨宮は既に息をあげている。



試合はまだ2回。ツーアウト3塁。

なおもバッターは4番だ。 



初回から雨宮の
ストレートが痛打されたが、
何とか2点で済んだものの



2回に捕まり、既に7失点。



雨宮の球威を持ってしても抑えられない打線に、皆は力の差をひしひしと感じる。




外野に運ばれ続け、
外野のみんなも少し息が上がっていた。








キィン!





物凄い打球が雨宮を襲う。











打球が腹部に直撃し、
体の細胞を抉る音が鳴り響く。





だが雨宮はボールを掴み、
審判にアピールする。








「スリーアウト、チェンジ!」



「お兄ちゃん!」


「雨宮!」



ナインは雨宮に駆け寄る。



雨宮は腹部を抑えて動けない。



科学者の権能で改造された野球道具だが、
男性には適用されない。



その弊害が、ここへ来て…!



すぐにタンカが呼ばれ、
雨宮は運ばれていった。









「…お兄ちゃん…」



「秋、次の回から出るぞ。」



「え?なんで私?」


「相手の打球は外野に集まってる。
今は外野の守備力を固めておくべきだ。」



「だが、これからも外野に集まるとは
限らないのではないか?」


と、聖川が問う。



「秋のサードの守備力は俺と遜色ない。
秋に任せれば問題ない。できるか?」




「誰に聞いてんの?」


「…大丈夫そうだな。」



「うん!任せて!お兄ちゃんの分まで頑張るから!」



と満面の笑みを見せた。


















「あら?高貴君はセンターに入ったの?」



「そのようですね」



「ふ〜ん」



電光掲示板には、

3番 センター 玉原

4番 サード  雨宮秋

8番 ピッチャー 湯浅

と変更がなされていた。



「ま、何処にいても高貴君はかっこいいけどね〜」


















キィン!



「センター!」






甲高い音を皮切りに発射された
白球は、ライト後方まで飛んで行く。









「追いつけないっ…!」






船田はクッションポール体勢に入る。





が。






















眼の前を通過する、黒き閃光。













船田の眼に止まらない程の速さで
それは通り過ぎた。
















その後に眼の前とで響く、
ボールとグローブが擦れる乾いた音。












大きな体を伸ばし、
ライトへの飛球を掴み取った。



その後フェンスに直撃し、落下する。













そのプレーに観客はどよめき、
そのどよめきは拍手と歓声に変わった。


唯の顔色が少し青くなる。





「玉原君、大丈夫!?」




「ああ!」



玉原はボールを内野に返しながら、
船田の問いに答える。




「外野は任せろおお!!」




ピッチの全てに、その咆哮は響き渡った。





























「びっくりしたわ…まったく。」




高貴の決死のプレーに、
思わず血の気が引いてしまった。



「無茶するんだから…」



怪我をしたらどうするんだ、と
少しの怒りの意を含み頰を膨らませる。




だがセンターのポジションで走り回る
高貴を見つめれば、それも消える。




「かっこいい。」




ふふっ、と微笑み、
彼女は彼が織り成すプレーに酔いしれた。

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