がーるずベースボール!

近衞

27話⚾︎球宮唯⚾︎

 闇の中で、一粒の光が語りかける。






「あの子は、必ずここに来るわ」










自分に少し似た声が聞こえる。








何のことを言っているのか、分からない。











すると、1人の男の子が私の前に現れる。










そして、その男の子の人生を描いた映像が
フラッシュバックされるように
横に流れていく。







それが終わると、











「だから、その時はあの子をお願い」









そう言って、その光は消える。









そうなれば気付けば朝だ。










夢の中で見るのは、
1人の男の子の姿と生き様。


そして誰かの声が聞こえて、
何かを私に託していく。




最初は気味が悪い夢だった。













だけどいつの間にか、その男の子に
会ってみたいと思うようになった。







そして、C級ランク戦で輝く彼の姿を見て確信する。




さっきみんなが打ちたいと言ったのは嘘。













実際は、自分が会いたいから。








みんなを言いくるめるのには
苦労したけど、貴方に会えるなら
別に苦ではない。

















あの声が、あの夢が。













嘘じゃなかったのが、嬉かった____。




















《3番、サード玉原君》


相手先発はチームの2番手変則左腕。


低い姿勢からサイドスローで
左右に揺さぶるピッチングをする。



速度はあまり速くはないが、
キレのあるスライダーとシュートを使い
打たせてとる技巧派だ。



実際に
1番相沢、2番千夏が簡単に打ち取られた。




ここで、俺が簡単に
打ち取られるわけには行かない。



「来い!!」



俺は新調した木製バットを握り、
投手を見据えて吼える。




























 私には野球はできない。



けれど、野球の指揮は取れる。



貴方に会うために、私は全力でやってきた。




今なら、
あの声の意味が分かる気がする___。














カン!



一二塁間あたりから放たれたかのような
ボールを、高貴は右方向へと運ぶ。









その打球は外野フェンスへと向かい、
ボールは地面を這っていく。







センターが捕球し、内野へと送球。




高貴は2塁を蹴り、3塁へ突っ込んだ。





「セーフ!」






「っし!」






スリーベースヒットを打った高貴に、
観客とベンチは沸いた。





ファンディレイクのナインは
納得と少しの動揺の表情を見せる。








「やるね!君!」



突然、サードの選手が高貴に
声をかけてきた。



「ありがとうございます。」


「敬語はいいよ!同い年だし!
あたし橋本花音はしもとかのん!よろしくね!」


茶髪を短く切り揃えた活発な女の子。


そういえば、1番相沢の当たりを
ダイビングキャッチしてたな。



「ねえねえ、唯っちとはどういう関係?」



「…はい?」


「付き合ってんの?」




選抜チームのベンチが少し騒つく。


聖川の眼が怖い。スナイパーかよ。



「今日初めて会ったばかりなんだが。」



「そうなの?なんか君の話をすると
唯っちすごい喜ぶからさー」



「そうなのか。」



ベンチの聖川からのレーザーサイトが止んだ。




と、その球宮唯を見る。




こちらの視線に気づいたのか、
球宮はこの上ないくらい屈託のない笑顔を
向けてくれた。




「あ、唯っち顔赤〜い!」


と、橋本は指さして笑う。


確かに少し赤いが、
あれは化粧ではないのか?



「ねえ、いつ投げるの?」



「…状況次第だな」


「早く代わった方がいいよ。」



突然、橋本の声のトーンが低くなる。


「あの子じゃ、少なくとも無失点は無理だね。」




「…。」




「バッターアウト!スリーアウトチェンジ!」



「じゃあね!」




と、橋本はベンチへと下がっていく。




「…。」



「高貴」


グローブと帽子を持ってきてくれた
響子が立っていた。




「…ああ。ありがとう、響子。」



「あの人と、何処で出会ったの?」



「あの人?唯さんの事か?」



あ、橋本のがうつった。



「…馬鹿」 



「…何か言ったか?」



「何でもない!」 



と響子はベンチへ
走っていってしまった。



「どうした?あいつ…」




「玉原!」




声がする方を見ると、
聖川がこちらにレーザーサイトを
浴びせていた。



「…俺、なんかしたか?」



その後数秒だけ、
左と眼の前と右から
レーザーサイトを浴びせられていた。








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