がーるずベースボール!

近衞

26話⚾︎邂逅⚾︎

 雨時が多くなる水無月。


闘いの場は、日本国東部地区球場。


雨宮大地率いるブレイカーズと激戦を繰り広げた思い出深い球場だ。




…そこに、俺達はまた足を踏み入れる。


前回とは違った緊張に、
チームメイト達は心臓を騒つかせる。



チームを一旦聖川に任せ、
監督である俺はファンディレイク監督の
元へと向かう。



向かっているのは、監督控室。

監督控室は、当日のオーダー交換や
挨拶の場として使われている。


ブレイカーズの監督は俺を見て驚いていた。



監督控室とプレートが貼られた
扉の前に立ち、軽く扉を叩く。







入室を促され、俺は「失礼します」と
一声かけて扉を開く。





「おはようございます。
C級選抜チームの監督、玉原高貴です。
本日はよろしくお願いします。」



椅子に座っていた女性は立ち上がり、








「あら、わざわざご苦労様。」






整った端正な顔立ち、
手入れの行き届いたセミロングの黒髪。


透明感のある肌と薄く施された化粧が、
女性の持ちうる魅力を掻き立てる。


クールビズな白いブラウスに
タイトスカートという

簡素な服装から伸びた肢体が、
見る者を釘付けにする。






少しハスキーな、それでいて艶やかさを
連想させる声が部屋に鳴り響いた。



球宮は長い黒髪を少し払い、




「ファンディレイクの監督を務めています。球宮唯たまみやゆいと申します。
今日はよろしくね。」





と、球宮は右手を差し出した。



「ご丁寧にありがとうございます。」




と、高貴は球宮の手を優しく握る。

































「必ず、私のところに来てね。」




































「ッ!?」



意識が覚醒する。








どこかで聞いたことのある言葉。










それは、夢の中だけでしか聞こえてこない筈のものだった。








「どうしたの?大丈夫?」






少し心配の色をした眼で球宮は高貴を見る。



気付いた高貴は咳払いをして、



「し、失礼しました。私は大丈夫です。
お気になさらず。」



と、
高貴は球宮の手を優しく離そうとするが、





「本当に大丈夫かしら?高貴君?」


と手を握る力を強め、
高貴の顔を覗き込む。



「ええ。ご心配なく。」

と、笑ってみせた。



それを見て、球宮は少し頰を赤く染めて
微笑み返す。



「それと、今回はこの場を設けて頂きありがとうございます。」



「急にごめんなさいね。
チームのみんなが貴方の球を
打ちたいって聞かないのよ。」



「光栄です。私は先発致しませんが、
機会があれば投げさせて頂きます。」



こちら、オーダー用紙です。と
高貴はオーダー用紙を手渡す。

それに球宮も応じ、


互いにオーダー用紙を交換した。


「高貴君、
私は貴方と歳は1つしか離れていないから、そんな仰々しくしなくていいのよ。」



「いえ、この場で馴れ馴れしい言葉は差し控えさせて頂きます。」





球宮は頰を少し膨らませて、



「まあ、いいわ。
今日はお互い頑張りましょうね。」



「はい。失礼致します。」



と高貴は一礼し、部屋を後にした。








「…ふふ。」


球宮は思わず笑ってしまう。




球宮は近くの椅子に腰掛けた。































「ほんとあの人の言ってた通りだわ。
高貴君ったら。」


と、1人誰もいない部屋で微笑んでいた。




































A級対C級という前例のない出来事だけ
あって、スタンドの観客は多く。



ランク戦決勝では解放されなかった
スタンドの上段も解放され、

観客のボルテージは上がり続ける。



「高貴、戻ったんだね」


「ああ、待たせたな。」


既にノックは終わっていたようだ。


「よし、全員整列だ!」



掛け声がベンチに鳴り響き、
C級選抜チームは規則正しく並ぶ。








「整列!」












「いくぞ!」












「「「「「おおおーーー!!」」」」」



「先行C級選抜、高校ファンディレイク
で試合を始めます!礼!」














「「「「お願いしまーす!!」」」」













C級選抜 スターティングラインナップ

1番 セカンド    相沢 優

2番 レフト     雨宮千夏

3番 サード     玉原 高貴

4番 ピッチャー  雨宮 大地  

5番 キャッチャー 聖川 理玖

6番 ファースト  井上 優姫 

7番 ライト    船田 紗枝   

8番 センター   八幡 絵里

9番 ショート   駒田 春香










《一回の表、C級選抜の攻撃は
1番、セカンド相沢さん》


「よっしゃ!かましたるでー!」


「頼むぞ!相沢!」




「プレイボール!」






試合開始を告げるサイレンが、
唸るように叫び上げる。













C級選抜vsファンディレイク




試合開始。








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