がーるずベースボール!

近衞

25話⚾︎ファンディレイク⚾︎

 A級チーム、ファンディレイク。


男性5人、女性15人で構成される
チームで、その年齢層は
高校生から社会人と幅広い。


過去に2度S級に登りつめた経験のある
強豪チームで、その選手層の厚さは
A級トップと言われている。



昨年はベスト4と近年S級に手は届いていないものの、その実力は本物だ。





相手をきりきり舞いにする
伸びのあるストレート。




ヒットやホームランをもぎ取る
ファインプレーの数々。





それらを指揮する扇の要。





ファンディレイクナインの姿に、
俺達C級選抜チームは
驚きを隠せないでいた。
















C級選抜チームは、
高貴の自宅(プレハブ)の庭に
集まっていた。


昨年からここは良くソニックがーるずの
作戦会議の場として良く使われていた。



だだっ広い空き地のような庭に、
棄てられていた木を加工して作った

大きなテーブルと人数分の小さな椅子を
設置している。



高貴が持っている木製バットも
棄てられていた木を加工したものである。



俺達はそこで、
偵察に行ってくれていた愛李華の
報告を受けていた。




「…以上です。」



重くのしかかる空気。



「…。」


「…凄いな。やっぱりA級は。」



重苦しい空気の中、
監督である高貴が口を開く。


「右バッターが多いが、
それを感じさせないほど右方向への打球が多かったな」



「そうね…あのバッティングが
意図してできるのは、玉原君と聖川さん
くらいじゃないかしら。」



「キャッチャーも冷静だ。
相手の奇襲にも臨機応変な対応を見せている。ピッチャーも投げやすかろう。」



「守備も反応早いなぁ
まるでどこに来んのか分かってるみたいやわ」



「あの男の4番体でけぇのに守備うめえな。」


と、各々が意見を出し合っていく。



「…雨宮、投手の目線から見て
この打線をどう思う?」


と、高貴は雨宮に問う。


「…右バッターが多いからか、
左投手に対する打率が高いな。

ストレートに力負けしていない。

正直抑えるなら最低でも3点は
取っておきたいところだな。」



「…さすがは雨宮だ。俺もそう思うよ」


「…私の眼で見て感じたことですが、
まだこの人達は全力を出してないと思います。

まるで何処に狙えるか、
ダーツを楽しんでいるみたいで。」



「確かに…守備の間を抜く打球が多いもんね…」




段々、最初の重い雰囲気がさらに
重苦しくなっていく。






「…正直、勝てる気ぃせぇへんわ。」



「…悔しいけど、私もそう思うわ。
明らかに力の差を感じるもの。」



「何を言っておるのだ皆!」


「…相沢の気持ちが分からないまでもない。」



と、高貴が言葉を零す。



「玉原!?何を言って…」










「だけどよ、それは今までもこれからも
同じじゃないか?」









「…今まで勝てる保証のあった試合なんて無かったはずだ。その不安を、
俺達は練習でカバーしてきた。」



「…。」


「雨宮のストレートを打ち返せるようになった時も同じだ。

俺達は練習を重ねて強くなる。

それは、過去も未来も変わらない。」




「野球は試合が始まってみなくちゃ
分からないスポーツだ。

それを、お前らは忘れたわけじゃないだろ?」




高貴の言葉に、
駒田と相沢は眼を見開く。



「…そうね、その通りだわ。」


「優勝して天狗になってもーてたわ。
ごめんな、このとーり」



「構わない。むしろこの言葉を伝えられる機会を得られたからな。」




高貴は軽く息を吸い、



「さて、この試合は週末だ。
相手はS級レベルの強豪。

勝つのは難しいのは分かってる。
だが、そういう時こそ今のように力を合わせよう!」


同意するように、皆は頷く。



「俺達は王者じゃない。挑戦者だ。
奴らに一泡吹かせてやろう!」






皆の同意を含んだ雄叫びが、
雲一つない夕焼けの空にこだました。

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