がーるずベースボール!

近衞

18話⚾︎悔しさの涙⚾︎

5-1と4点ビハインドの状況ではあるが、



6回の表に1番聖川の四球を皮切りに、

2番駒田の送りバント、



3番相沢の進塁打の後、
高貴の内野安打で1点を返した。





その裏、
響子は2番と3番の千夏を綺麗に打ち取り、



4番の雨宮をライトフライに打ち取って、
この裏の攻撃をゼロに抑えた。




「当たりが出てきたな!
この回、点を取りに行くぞ!」




「「「おおおおー!!」」」







《7回の表、ソニックがーるずの攻撃は、
7番センター八幡さん》



「っしゃ、こいやー!!」





威勢良く放った打球はセンター前へ。



「しゃあ!見たかコラァ!」



「八幡先輩、落ち着いてください。」



《8番、レフト、ドロッセルさん》



「続きたいところですネ…」



だが、唸る剛球に押し負け併殺打。



9番の響子は見逃し三振となった。








《7回の裏、ブレイカーズの攻撃は、
5番、サード雨宮秋さん》


「はぁ…はぁ…」



真夏日となっている今日の炎天下の中、
汗が流れ水分と塩分を失う。



奪三振を狙うタイプの投手である
響子の球数は、90球を越えていた。



初回のピンチ、4回の炎上からの復活…
神経をすり減らしているはずだ。



道具の権能があるとはいえ、
まだ高校生の女の子に
あまり多くは投げさせられない。





キィィン!





放たれた打球は、
左中間の深くまで飛球するが、勢いを失い
船田がこれを掴んだ。





「まずいな…タイム!」


高貴はタイムをかけ、内野陣を呼ぶ。


「ど、どうしたの?高貴」


「どないしたん?また抱きしめるん?」


「惚気るのはベンチでお願いするわ。」


「そ、そうだぞ!その、
公序良俗に反するというか…」


「…だ、ダメ…です!」


「違う!響子の球威が落ちてる。
投手を変えるべきなんだが…」



高貴は響子を見て、



「響子…この回、行けそうか?」



響子は少し逡巡して、


「正直、しんどい…かな。」


「…そうか。」



高貴は響子の左肩に優しく手を置き、


「…後は任せてくれ。」


「…うん!分かった!」


「愛李華!」



ベンチにいる愛李華を呼ぶ。


「準備できてますよ!高貴さん!」



高貴は審判に向けて、


「ピッチャー交代、湯浅に変わって樹原!」








《ソニックがーるず、
投手交代をお知らせします。
ピッチャー湯浅さんに変わりまして、
ピッチャー、樹原さん》


ここまで投げぬいた響子に、
惜しみない拍手が送られた。




1人だけのベンチ。




投手交代は初めてだ。




いつもならみんながいるベンチ。




だが、今は皆グラウンドに立っている。




…私は、もうグラウンドに立てないんだ。





お腹の底から、気持ち悪い何かが沸き起こる。



水を飲んでも、汗を拭いても、
その不快感は消えない。






自然と、私の眼から
涙が溢れていた。







「そっか。そうなんだ…」








これが、悔しいっていう感情なんだ。








今まで、負けて泣くこてはたくさんあった。





でも、この感情がなんなのか
理解できずにいた。




それが、今は分かる。





「悔しい…悔しいよ…!」






たった1人のベンチに、
その言葉と啜り泣く声がこだました。

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