がーるずベースボール!

近衞

17話⚾︎攻勢➁⚾︎

2回にソニックがーるずが
先制点を上げて以降試合は動かず。



4回の表。
高貴が外角低めのストレートを
ライト前に運んだが、後続が続かず
スリーアウトチェンジ。



5回の表は船田が四球で出塁。
だがその後三者連続三振でスリーアウト。



1-0のまま、4回の裏へ。






《4回の裏、ブレイカーズの攻撃は。
3番、センター雨宮千夏さん。》



「クリーンナップか…」



ひとりごちるのは
今日スタメンマスクの聖川。



打席には今日ヒットの雨宮千夏。



雨宮姉妹は準決勝まで出場しておらず、
これがランク戦初出場。



雨宮大地のワンマンチームかと思っていたが、こんな隠し球を…



「雨宮大地をマークしすぎたか…」



カットボールと雨宮姉妹。



ブレイカーズが隠していたカードに、
ソニックがーるずは苦戦していた。



聖川は警戒し、一打席目に打たれた
内角ではなく外角に構えた。






「甘い!」






キン!


外角に投げ込まれたボールを
三遊間に運んでみせる。








「アウト!」


だがそこには玉原高貴。


体を目一杯伸ばして
ダイビングキャッチを見せた。





観客は大いに沸く。


選手兼任監督として、
プレーでチームを盛り立てていく。






「ナイス高貴!」


高貴はボールを響子に投げ返して、



「次は4番だ。落ち着いてな、響子。」


「うん!」







《4番、ピッチャー雨宮大地君》



180cmを越える体躯を持つ雨宮が
打席に立つ。



見る者からすれば見劣りするだろうが、
心では響子は負けていない。



「絶対に…抑えてみせる!」








浅めのテイクバックから、
伸びのあるストレートが放たれる。






「ストライーク!」





スピードガンは135kmを計測した。





「いいぞ響子!」





球は走っている。大丈夫。





サインが決まり、ボールはミットに向かう。


キィィン!!






「ファール!」





外角のストレートをファールにされ、
カウントはノーボールツーストライク。






「これで…仕留める!」











響子の右腕から放たれる、渾身のボール。














それは途中から急速に落ち…__


キィィン!!









だが、その球はほとんど変化すること無く。


ライトの船田がボールを追っていくが、

その軌跡は、
ライトスタンドへと霧散した。







「嘘…」


割れんばかりの球場の大歓声。



ホームランを放った雨宮を歓迎し、
打たれた響子を嘲笑する。



1-1の同点に追いつかれ、
響子の顔には焦りが生まれた。



「響子!大丈夫だ!また取り返せばいい!」



高貴は積極的に声をかける。



が、その声は届いていない。



《5番、サード雨宮千夏さん》



サインは、初球ツーシーム。



響子は首を振る。
が、聖川のサインは変わらない。










投球…







だがボールは変化せず、
左中間スタンドへと姿を消した。





「うそ…なんで…」





その後もツーシームを狙い撃ちされ、

1-5。流れはブレイカーズに傾いた。





「タイム!」


たまらず高貴がタイムをかける。





「響子!」


「え…あ…高貴?」




響子は滝のように汗をかき、
蒼白な顔色が響子の精神状態を物語っていた。



「響子!一体どうしたというのだ!」



「ご、ごめんなさい…」



「ツーシーム…変化しとらへんなぁ…」



「玉原君、投手交代を考えるべきだわ」



「ま、待って!まだ…私は…」





今にも消え入りそうな声、震える手。






高貴は眼を閉じる。






「響子、こっち向け。」






響子は高貴の方を向く。






左腕で響子を抱き寄せ、
右手で頭を優しく撫でる。






内野陣は皆その行動に驚愕した。






聖川は固まっている。






「大丈夫だ。ツーシームが曲がらなくても、俺達がついてる。」






昔、ぐずる響子をこうやってあやしたっけか。






高貴は響子を解放して、


「お前は、自身を持って投げればいい。
打たれたら、また俺達が取り返してやるさ。」







響子は眼に涙を溜め、


「…うん!」


向日葵のような笑みを返した。







「…よし!次、取るぞ!」


高貴の声を皮切りとして、
内野陣は各ポジションへと戻る。


響子は深く息を吸って、吐く。


「よし!」








すると、響子は息を吹き返したかのように
ストレートをコーナーギリギリに
投げ込み、9番、1番を連続三振に
切ってとった。



「響子!いいピッチングだ!」


「ストレート…走って…ます!」


「うん!ありがとう!」



響子はベンチに座る。


横から紙コップの水が差し出され、



「いいピッチングだったぞ。響子。」



響子はそれを受け取り、


「ありがと…5点、取られちゃったね」


「なに。野球は9回ツーアウトからだ。
まだ6回の表。巻き返せる!」


「うん、そうだね…あのさ」








「ボールフォア!」


「よし、聖川がフォアボールで出塁したな!」


高貴は響子を見て、


「ほら、応援!忘れたわけじゃないだろ?」


「…うん!」


6回表、4点ビハインドの1-5。


不屈の意志は、反撃の狼煙を上げる。


「がーるずベースボール!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く