がーるずベースボール!

近衞

13話⚾︎先手必勝!⚾︎

先行はソニックがーるず。


スターティングラインナップは

1番キャッチャー        聖川
2番ショート               駒田
3番セカンド              相沢
4番サード                  玉原
5番ファースト           井上
6番ライト                   船田
7番 センター              八幡   
8番レフト                  ドロッセル
9番 ピッチャー           湯浅

控え選手 背番号10 樹原愛李華 





俺がバイト、練習メニューの作成、
マネージャー業等で毎日大忙しの中。



どうやらチーム1のしっかり者である
船田が愛李華を選手登録してくれたらしい。



一応、チームは最大20人の人数制限がある。



その中でメンバー入れ替えは2人まで、
補強は1人まで。各1回ずつのみとなっている。




そして補強は、ランク戦において既に敗退したチームの選手も対象となる。



つまり、愛李華も、ランク戦で勝ち進む
限りはウチのチームの一員として出場可能なワケだ。



なんかもう既に
チームメイトにも溶け込んでるし、
問題はなさそうだな。






《1回の表、ソニックがーるずの攻撃は…
1番、キャッチャー、聖川さん》


「バッター、ラップ!」



野球選手なら一度は呼ばれてみたかった
アナウンス。



それが、開戦の合図となる。



「右バッターを上位に並べて、
相手の出方を探るわけね。玉原君。」



ネクストバッターズサークルに立つ
駒田が声をかける。



「ああ。聖川はチームで1番眼がいい。
必ず何らかの情報を持って返ってくる」






小柄な聖川にとって、
183cmと高尚な雨宮は
最早大樹と対峙しているようなものだ。



まるで蛇睨みのような眼力を自身に向ける
雨宮に、真っ向から対峙する。



出来ないことは試合ではできない。



野球を教えてくれた高貴の教えである。



だからこそ、チームで1番鈍足な自分を
1番バッターに据えた意味を理解している。



聖川はバットを構え、



「来い!」



格上の武将と混ざりっ気なしの
真っ向勝負に挑む。






雨宮はセットポジションから、
素早く叩きつけるように投げ下ろす。



グローブとボールが衝突する乾いた音。



内角高めにストレート。



普通の選手ならば仰け反るか、
思わずバットを振ってしまうだろう。



だが聖川の強い精神力と選球眼が、
その直球をボールと見定めたのだ。



「…一味違うようだ。」



雨宮はそう呟いて
ノーワインドアップのフォームに切り替える。



それを見て、聖川はバットを短く持ち直す。



再び、唸るような直球が
聖川に向かっていく。



キィィン!



ガシャ!とボールとフェンスがぶつかり、
審判の威勢の良いファールコールが響く。



「ぐ…!重い!」



聖川の腕は、たった一球当てただけで
小刻みに震えていた。



「大丈夫かね?」



聖川は手を少し手をブラつかせた後、



「大丈夫です。」



と笑顔で返した。


そしてバットを構え、
双刀の斬撃に備える。



彼女の頭にあるのはチェンジアップ。



だがストレートの可能性も捨てきれない為
少し深めに腰を落としている。



3球目、4球目のストレートをカットし、
好球必打の構えを崩さない。



自分に出来ることは、
眼でボールを見て情報を伝えること。



そしてあわよくば出塁を…!










だが、その5球目。







雨宮の左腕から放たれた白い軌跡は、
糸を引くようにストライクゾーンの真ん中へと吸い込まれる。









「絶好球!」








ギィィ…ン





力無い音を立てて、
打ち返された打球は雨宮の頭上。







だがそれは撃たれたかのように
勢いを失い、そのまま雨宮のグローブに
納まっていった。


「アウト!」




「ああ…惜しい」


ベンチからは少しの溜息が漏れた。




聖川は悔しそうに唇を噛み、
ベンチへと戻る。


《2番、ショート駒田さん》





聖川は申し訳なさそうに、



「…すまない。」


「ど、ドンマイ!ドンマイ!聖川さん!」



船田がすかさずフォローに入る。



「そうだよ!まだ試合は始まったばかりなんだから!」



俺は聖川の隣に立ち、



「最後の球、インコースに変化したな。」


「ああ。ど真ん中に来たと思ったのだが…」



ギィィ…ン


駒田の当たりも力無く、
キャッチャーフライに倒れた。



「まただ…」


「…カットボールだな。」


「カットボール?なんだそりゃ」


「カット・ファストボール…
ツーシームに似た変化球ですね。」


「ストレートとほぼ同じ速度で
素早く少し変化するスライダー…
と言ったところか。」


「私が打ち取られたのは…」


「ああ。カットボールだろうな。
今まで隠していたんだろ。対策を取られないように。」





3番の相沢も打ち取られ、
初回は三者凡退に終わった。


「ワンマンチームのエースだけあって
やっぱりやり手だな。」





俺はグローブを手に取り、




「しまって行くぞ!」


「「「「おおおー!!!」」」




景気良く声を上げ、
ナインは各々の守備位置へと散る。












勝利を呼び込む、確かな情報…


先手必勝を、俺達は成功させた。



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