がーるずベースボール!

近衞

12話⚾︎決戦、スタート⚾︎

《本日はここ、日本国東部地区第3球場に来ております。》



《本日5/17日、第14回C級ランク戦の火蓋が切って落とされようとしています。》



《西側ベンチには最速146キロ左腕
エース雨宮大地擁するブレイカーズ。》



《対して東側には、今シーズン急成長を
遂げたソニックがーるずが陣取ります。》



《スターティングラインナップが発表され、いよいよプレイボールです!》



テレビ中継用のカメラが立ち並び、
ベンチのテレビから
実況の滑らかなナレーションが聞こえる。


皆の眼に、迷いなど無かった。










30分前。



球場前、大広場。



テレビで観るような立派な球場。



この球場を、俺達が使うんだ。



向こうには、小高い山の上に建てられた、Aランクチームのランク戦が
行われる東部ドーム球場が
俺達を見守るように聳え立つ。



スタンドからは試合開始を今か今かと
待ち望む話し声が多数。



各々が、決戦前の緊張感を感じ取っていた。



「とうとうここまで来てもたんやなあ。」



「き、緊張…します…」



「ふ、震えてるじゃない…井上さん…」



「そういう船田サンも…」



「いよいよ決勝かぁ…!」



「貴女も緊張するのね。
明日は何かしら。」



「…お前も緊張して毒舌にキレがねえぞ」



こういう時、監督の俺が緊張をほぐすべきなんだろうが…



「みんな!」


その必要は無いみたいだな。



「もうここまで来たの!あと勝つだけだよ!」


全員の視線が鋭くなる。




「去年、1回戦で負けて悔しかった!
でも、私達は諦めなかった…
勝つために、皆一生懸命に練習してきたんだよ!」





「そうだとも!我々が歩んできた軌跡は無駄じゃない。持ちうる力をぶつけようではないか!」



このチームを創設したのは
響子と聖川だ。




野球好きの2人が意気投合して
俺に野球を教えろを迫ってきたのが
中学の時…



そこから高校に上がってメンバーを
揃えて、素人チームで臨んだのが
昨年のランク戦。



負けばかりの一年を過ごして、
皆も苦しかったんだろう。



俺はバット引きとしてよくベンチに居たが、負けて泣いてる2人を良く見てきた。



そしてみんなは、俺について来てくれた。



たった一年と少し…
でも、2人にとってはとても充実した、

とても楽しく、
とても苦しかったんだろう。



「俺は」


全員の視線が俺に向く。





「このチームができてから、2人が頑張ってる姿を見て来た。
だから、俺はお前らと勝ちたくなった。」


俺は向こう側のドーム球場を指差して、





「目指す場所は、みんな同じだ。」






俺は全員の方に向き直り、







「俺が必ず、みんなをあそこへ連れて行く。」







俺はみんなの前に右手を添えて、


「みんな…これからもついて来てくれるか?」


しばしの沈黙。








だが、


「違うよ、高貴。」


響子は手を乗せて、






「連れて行ってもらうんじゃなくて、
みんなであそこへいくんだよ!」






「応ともさ!玉原!、響子!」


聖川が、俺の手の上に乗せた。


それに応えるように、続々と手を乗せる。





少し、瞼が熱くなった。


「…ありがとう。みんな。」


「ああ?泣いてんのか?高貴ィ」


八幡が肘で小突いてくる。


「…ああ。」





俺は全員に背を向けて、


「最高の仲間を持ったよ。」


俺は大きく息を吸い、


「勝つぞ!みんな!!」







両チームの選手がベンチ前に並び、
試合開始を今か今かと待ち構える。



「全員、整列!!」


審判の声が響く。
俺は息を深く吸い、


「行くぞおお!!」


「「「おおおおおーーー!!!」」」


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