がーるずベースボール!

近衞

10話⚾︎魔球習得!?⚾︎

 コミックスとの試合に勝利し、
決勝進出を決めたソニックがーるず。



月曜日に体を休め、火曜日。



男の俺には長袖の服が要らなくなってきた。



いつもの河川敷で、俺たちは
白球を追う。



泥に塗れ、汗を垂らす。
そんな蟠りを振り払ってバットを振る。



聖川のキャッチングも板についてきた。



八幡の守備範囲も広くなってきて、

大幅にコンバートしたポジションにも
みんなが慣れてきたのが分かる。



そして今週末、遂にC級ランク戦の決勝が
行われるのだ。



C級ランク戦も決勝となると、
立派な球場が使えるらしい。



そして俺は、響子の練習に付き合っていた。


昨日、響子と帰路についた頃。








「ねえ、高貴」


「なんだ?」


「変化球…投げようと思うんだけどさ」


「お前、またやる気か?」


まだソニックがーるずが結成して
間もない頃に遡る。



戦力強化の為、響子はカーブの習得を目指したが、肘を痛め断念。



その後スライダー、フォークと試してみたものの、習得には至らなかった。



「…また肘を痛めるかもしれんぞ」


「そう…だけど…
でも、やれることはやっておきたいの。」


ツインテールにした髪をいじりながら、
響子は逡巡する。



「…まあ、やれない事は無いけどな。」


「ほんと!?」


響子は高貴の腕を掴む。


「…ああ。だから落ち着いてくれ。」


「あ…う、うん。ごめんね。」



我を失った事を恥じたのか、
響子は顔を赤くして腕を離す。


俺は息を軽く吐いて、


「ツーシームって知ってるか?」


「シュークリーム?好きだよ?」


「違う。ツーシームだ。食い意地を張るな。」




隕石が落ちてきて野球を知ってる人滅亡したけど、

ツーシームをシュークリームって
言われたの知ったら泣くぞ。


文献も無くなっちまったみたいだしな。




「ツーシームってのは、投げる動作自体はストレートと同じだ。だが…」


高貴は野球ボールを握り、
響子の前に見せる。


「ストレートの握りから90度回転させた所を握るんだ。」



説明した通りの握り方を響子に見せてやる。


「ほー…それでどうなるの?」


「人によるが、打者の手元で少し変化するだけだ。樹原のカーブ程派手じゃない。」


「なるほどー…」


「回転のかかり方を少なくして、
ストレートと同じ速度で投げることで
打者の手元で変化するんだよ。」


「なるほどなるほど!!」


俺の説明を聞いて眼を輝かせる響子。



「なんなら明日、試してみるか?」


「うん!」










というわけで、河川敷の簡易ブルペンで
ツーシームの練習をしている訳だ。



受けるキャッチャーは聖川。



話を聞いた聖川が名乗りを上げてくれた。


曰く、
「変化球くらい止めてみせようぞ!」
だそうだ。



ヒジリカワサン、アイシテル!


って、どこかから聞こえてきそうだな。



ちなみに井上にはファーストの練習をしてもらっている。



元々ストレートの球持ちが良い響子なら、
ツーシームを投げれる気がするんだが…


「肩慣らし終了!じゃ、いくよ理玖!」


「ああ!来るがいい!」



響子はボールを高貴に教わった握りに変える。








ワインドアップで振りかぶり、
テイクバック浅め。いつも通りだ。











ストレートと同じフォームで砲弾が放たれる。

















すると軌跡は聖川の左足側に急速に落下し、聖川はボールを後逸してしまった。


「…なんだ…?今のは…」



聖川が思わず唸る。



俺も正直驚いている。



反応が早くブロッキングが上手い
聖川が後逸するなんて想像すらしていなかった。



道具の権能があっても、響子の
ストレートは体感130キロ前後だ。



四球を選べる聖川が眼を離すわけがない。



「ど、どうしたの?大丈夫?」



響子は異変に気付き駆け寄ってきた。



響子はポカンとした表情をしている。



聖川と俺は我に返り、




「玉原、今のは… 」


「ああ。」


「ごめん、変なとこ投げちゃったね。」


「いや違う。コースは完璧だ。
ボールが変化しすぎて聖川が反応できなかったんだよ。」


「…そうなの?」


「ああ。ツーシームとは左足側に落ちて来るものなのか?」


「いや、響子の場合はそうだってだけだ。これはシンカー方向に落ちたな。」


成る程、と聖川が首を縦に振り、


「すごい変化をしたな、響子。
これは物凄い武器になるぞ。」


「ほんと?やった!」


響子はまるで欲しいゲームを買って貰った少年のような感嘆の声を上げる。


「響子、今日は初めてだから
あと5球だけな。肘を痛めるかもしれん」


「わ、分かった。」


肘、という単語に反応してか、
無理をしたがるようになった響子も
素直に言うことを聞く。





これ、俺にも打てないんじゃ…


と、少し危機感を覚える高貴だった。

「がーるずベースボール!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く