がーるずベースボール!

近衞

8話⚾︎意地⚾︎

 あの練習試合を見て刺激を受けたのか、
皆のそれからの練習に対する熱意は大きく上昇していた。



聖川に至っては調整なのに
走り込みをするほどである。



ドロッセルの眼が据わってた。怖い。



引っ込み思案だった井上が
練習のおかわりを求めていたし…



みんな、今日の試合に向けて気合充分のようだ。



今いつもの河川敷のベンチにいるが、
皆の背中から燃え盛る炎が上がっている
ように見える。



「高貴」


「どうした?響子。」



響子の俺を見る眼がいつもより鋭い。



「今日、死んでも勝つから。」


「同じくだ!やるぞ、玉原!」


「ああ。俺達なら勝てる!
行くぞみんな!」


「「「おおおーー!!」」」
















【ソニックがーるずvsコミックス】
9:00、C級ランク戦準決勝、試合開始。


ソニックがーるず
スターティングラインナップ

1番セカンド               相沢
2番ショート               駒田
3番センター              八幡
4番サード                  玉原
5番キャッチャー       井上
6番ファースト           聖川
7番 ライト                 船田
8番ピッチャー          湯浅
9番 レフト                ドロッセル


バットコントロールに定評のある
相沢を1番に置く。


相手先発は予想通り樹原愛李華。


相沢のバットで切り込めれば良いんだが…











という考えは読まれていたのか、


カーブは一球も来ず、三者凡退。


シュートとスライダーで
左右に揺さぶられ、
相沢に関してはバットを振らずに三振。


「かなりのやり手だな。あのピッチャー」


この試合、苦戦しそうだな…


と思いながら守備につく。


が。










「ストライク!バッターアウト!」



こちらの先発、湯浅響子は三者連続三振。



不穏な空気を霧払いする見事な投球だ。



「今日は良く球が走ってるな、響子!」


「うん!」



満面の笑みを魅せる響子に、
俺も思わず笑みが漏れる。







ヘルメットを深く被り、


俺は自作の木製バット(87cm)を
手にする。







いつものルーティンを済ませ、
【戦場】に立つ。






「しゃあ!高貴!かっ飛ばせえ!!」


「いてこませ、でス!」


声援が心地良い。


どんな球が来ても、打てる気がする。














「うるさいなぁ…」





《君の変化球は、俺以外打てない。》





愛李華はセットポジションから、


「じゃあ、打ってみてくださいよ!」





白球は白い軌跡を描いて、
左バッターボックスに立つ高貴の
外角へと逃げて行く。







カッ!!


初球スライダーを叩いたが、
切れてファール。




一瞬血の気が引いたが、
ポールの右側に落球したのを見て
安堵する。




キャッチャーが
愛李華の元に駆け寄る。


2人はグローブで口元を隠し、


「あの人、マジで強くない?」


「うん、気を抜いたら痛い眼見ちゃうね。」


「どうする?カーブ投げる?」


「うん、この人に出し惜しみすると負けちゃいそう。投げよっか。いいかな?」


「もち!それじゃ!」


笑顔を見せ、キャッチャーは
戻っていく。


愛李華にとって、
このキャッチャーの存在は大きい。


自分の性格を知り尽くした上で、
我儘に付き合ってくれる、唯一無二の親友だ。


だから、思いっきり投げられる。


愛李華はセットポジションに直る。


高貴の獲物を狙う鷹のような視線に、
真っ向から対峙する。












迷いがない、いいピッチャーだ。






高貴はそう素直に感じた。








2球目はシュートを見逃してボール、
3球目のスライダーをカットし4球目。








愛李華の右腕から放たれた球は、
大きく弧を描いて線を引く。










カッ!!






乾いた音が鳴り響く。






洗練された武器を打ち合ったかのような
音を響かせ、白球は飛球する。






そのまま白球はレフトの頭上を越える。






その後の白球の行方を理解するのに、
刹那以上の時を必要としなかった。






外角低めへと投げ込まれたカーブは、
左中間方向へとその姿を消した。








高貴がダイアモンドを一周する中、
キャッチャーは愛李華の元に駆け寄る。


「愛李華…」


「…。」


愛李華は下を向いたまま動かない。


「ど、ドンマイ、切り替えよ!ね?」


「謝らなくちゃね…」


「え?」


「何でもない!」


愛李華は満面の笑顔を見せ、


「私は大丈夫!次は打たせないよ!」


ダイアモンドを一周し、
ベンチに戻る高貴は、
それを見て薄く微笑んだ。


「さすがやなぁ〜玉原君。」


「気分爽快ね。」


「見事だ!こ…玉原!」


こ、玉原(3回目)


「みんな、どんどん打っていこう!」


「「「おおおーーー!!!」」」



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