がーるずベースボール!

近衞

7話⚾︎偵察⚾︎

第14回C級ランク戦。



一回戦、ハラハラする場面もあったが、
吹っ切れた響子の気迫のピッチングが
冴え渡り5回コールド勝ち。



玉原高貴率いるソニックがーるずは、
練習の成果を遺憾なく発揮。



そのまま2回戦も勝ち進み、
彼女らは準決勝で当たる「コミックス」の
偵察に来ていた。



聖川が練習試合をするとの情報を
掴み、授業が終わった後合流して
電車に乗り込んだ。



改札の仕組みが分からず
顔を赤くしてあたふたしていた
聖川を思い出すと笑えてく(ヴッ)



…聖川の肘鉄が脇腹に突き刺さる。



コミックス…このチームもまた、
メンバー全員が女子高生のチームである。



それに響子は親近感を覚えた為、
偵察がてら全員で観戦に来たのだ。



「にしても、よくこんな情報を掴んだよな、聖川?」


「あ、ああ。たまたま、たまたまだ。」



家の者に探らせてたとは言えない。


「ま、取り敢えず座るか」


「お?高貴準備いいじゃねえか!」




高貴が持参したレジャーシートを芝生にしき、皆がそこに腰を下ろす。



「失礼するわ。玉原君。あと八幡さん
うるさいわよ。早く座りなさい。」



「ケッ!」



「まあまあ2人とも」



「にしても練習試合やけど人多いなぁ〜
ウチらとは大違いやわ。」



「ここは首都圏に近いからですかラ。」



すると、審判が試合開始の合図を
グラウンドに響かせる。


「試合、始まりました…」



先発するのは小柄な右ピッチャーだ。



初球、ストレートでカウントを稼ぐ。



「ケッ、何だよあのボール」


「遅いわね…明日は雪かしら。」



だが、次のボール。



右手から放たれたボールは
大きく弧を描き、打者を幻惑してミットに
吸い込まれた。



打者は思わず悲鳴を上げ仰け反ってしまう。


「なんや?今の球」


「玉原、今の投手の球は…」


「カーブだな。しかもかなり切れてる。」



すると、切れ味抜群の変化球で
次々と空振りを奪っていく。


「す、すごいね高貴…いっぱい変化球を投げられるみたいだよ」


「ああ。ストレートに力は無いが…
あのカーブは一級品だ。」


「カーブ以外も変化球はあるの?玉原君」


「ああ。さらにシュートとスライダーも投げられると来た。」


「あのカーブは、私も、取れません…」


「そんなことないよ、井上さん。」


船田のフォロー力の高さは本当に尊敬する。


「これは苦戦するだろうな。おそらく。」
















結果は5-0。


コミックスの先発ピッチャーは4回で降板したものの、打者を12人を完璧に抑え込んだ。


高貴はレジャーシートを片付けながら、

「相手は変化球を主体にする。
さらに左右両方の打者を苦にしない。
狙い球を絞りづらくなるだろうな。」





高貴は皆に向かってそう言った。


「あれ?みなさーん!」




すると、グラウンドの方から少し
芝居がかったような声が聞こえる。


「ん?君は…」


樹原愛李華きはらあいかです!芽衣の妹です!
お久しぶりです、聖川先輩!」


「おおお!やはり愛李華ではないか!
久方ぶりだな!」


「はい!…あ!」





愛李華は響子と眼が合い、


「湯浅さんも、お久しぶりでーす!」


「あ、うん…久しぶり。」





ん?なんか元気ないな。
自身を失ったか?響子に限ってそれは無いだろうが…


「悪かったわね、偵察のような真似をして。」


「いえいえ、全然!そうだ!」





何かを思いついて愛李華は手を叩いて、


「湯浅さん、勝負しませんか?
投げたりなくて困っちゃってて〜」


「え?勝負?」


「はい!私が投げるんで、打ってください!」


「えっと…」


「バットに当たったら、そっちの勝ちで良いですよ〜」


「…!」





響子の表情が変わる。


「分かった、そのしょ「悪いが」





高貴が響子を右手で制して、


「生憎だがこちらは偵察をしにきた。
勝負をしに来たわけじゃない。」


すると愛李華の眼はみるみるうちに
冷ややかなものになっていき、


「貴方、誰ですか?」


「失礼。
このチームの選手兼任監督をしてる。
玉原高貴だ。前はバット引きやってたよ」


「ああ〜〜あのパシリのお兄さんですか」




八幡は眉間にシワを寄せ、


「…おい」


「辞めなさい。」


八幡は駒田を睨みつけるが、
駒田の表情を見て意思を汲み取る。


「失礼を謝罪する。
上座からだが申し訳ない。」


高貴はその場に正座し腰をおる。


そして頭を上げ、

「勝負は週末につけよう。
それまで勝負は待ってくれないか?
多分俺以外君の変化球は打てない。」


「…へー、私の変化球を打てるんですか?大きく出ましたね。」


「似た経験があるのでな。
それでは我々も電車の時間がある。
ここいらでお暇させて頂くよ。」


高貴は再び腰をおり、
出口へと歩いていく。


「どんな男かと思いましたけど、
所詮はバット引きですね。
それじゃ、また週末に。」


そう言い残して、愛李華は去っていった。


「なんやけったいな子ぉやったなぁ。」


「失礼なのはどっちだろうね。」


「ゆ、許せません…!」


響子は顔を上げ、皆を見回し、


「やり返してあげようよ。あの子に!」


「応とも!!」





彼女らの心に、火が灯った。

























「友情」という、蝋燭に。

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