がーるずベースボール!

近衞

2話⚾︎ソニックがーるず⚾︎

試合は5回。2点ビハインド。



僅かな観客の野次と両軍のベンチからの声が、質素な河川敷グラウンドに響いている。



素人くさいミスばかりしていた
去年とは違い、
1年間やってきただけあって
みんな上達しているようだった。



全員女子高生の
ソニックがーるずのエース湯浅響子が、

相手打線を5回2失点に抑えて
裏の攻撃。



ノーアウトランナー無し。



ソニックがーるずの打線は、
7番キャッチャー、
チーム1のパワーヒッター井上。



相手は初回ツーランの後、
ヒットを重ねているが響子が要所を抑えている。



こちらは聖川のあたりを含め4安打。


因みに俺は二打席連続死球。痛い。





「それより大丈夫か、響子。」


ベンチで額の汗を拭う響子は、


「うん、それより高貴は?」


「めっさ痛い。」


「だよね。」






あの科学者は、女性が男性の同じように試合ができるように道具を改造した。



女性は死球を受けても痛くも痒くも無いが、

男の俺にはその権能は適用されないので、
硬球はマジで痛い。




「こ、高貴。もう次だぞ。」



右から聖川の上づった声が聞こえた。




「あ、おう。悪りぃな。」




何故か顔を赤くしている聖川に礼を言って、俺はネクストバッターズサークルに入る。



丁度、8番サードの
イギリスと日本のハーフであるドロッセルが四球で出塁した。


サードなのに左投左打なんだよなあ。




「頼むぞ!こ、玉原!」



こ、玉原て。


と、心の中でツッコミをして、




「おう。行ってくらあ。」




俺はバッターボックスに向かう。










バッターボックスに入る前に、
一回素振りをする。俺のルーティンだ。









一つ深呼吸をして、左バッターボックスに入る。








さて、相手投手は優しい顔して
インコースに厳しい攻めをする右腕だ。











だがコントロールが悪く、
高めに浮いたりと球が抜けやすい。











こういう投手には好球必打でいい。
粘るのもありだな。







「スタァァイ!!」









主審は独特なコールを高い声でしてくれる。


因みに、審判は全て男性である。






「高貴!打っていこう!」



…ああ。そういや、幼馴染が
先発してんだよな。


ランナーは一塁。俺が帰れば同点。








ピッチャーは直ぐに振りかぶる。










そして、小さな呻き声を上げ、
渾身のストレートが放たれた。




…そうだな。


ここで打たなきゃ…










カアン!!









乾いた音が鳴り響き、
その場に居た者は目で白球を追う。







高貴は振り抜いたバットを
地面に置く。








高く上がったその打球は。



















「助っ人の意味、無えよな。」










白球はライトの頭上を越え、グラウンド後方の川へと落球。









そう、俺のツーランだ。


ソニックがーるずのベンチが大いに沸き、
俺はその歓声を背にダイアモンドを一周。


同点に追いつき、
ドロッセルとハイタッチ。





「ナイスなホームランでス!
すぃびれましター!」


「あんがとよ。」





ベンチに戻って仲間と
ハイタッ…ぐはあっ!!


腹部に強い衝撃。


衝撃がした場所を見ると、
響子が抱きついていた。


後ろで聖川が目を見開いている。怖い。


朝飯もやし7本の空っぽの腹だから嘔吐感は無いが…





「ナイスホームランだよ!高貴!」


「おい、響子…痛え。」


「あ、ご、ごめん…」


「つか次お前だろ、早く行け。」


「あ!そうだった!」






そう言って響子は走っていった。


審判が少し痺れを切らしているようだ。


俺は木製のバットを置き、
ベンチに座る。




「見事なホームランだったな、玉原!」





少し嬉しそうに、ヘルメットをした聖川が
声をかけてくる。





「狙い球が来ただけだよ。
…お、珍しく響子が打ったぞ。」


「そのようだな、よし、私も続くぞ。」


「おう、行ってこい。」


「ああ!」






俺のツーランで勢いを取り戻した
ソニックがーるず打線は、

先発全員安打の21安打17得点と打線爆発。


17対2のコールド勝ちで、勝利を収めたのだった。

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