頭脳派ゲーム世界の黒幕
始まりの日
季節は春、満開に咲き乱れる桜が生徒たちを迎え入れる。
オレは学校へと向かう並木道を歩いていた。冬の名残りが少し残っているのか、空気は少し肌寒い。
「………今日からオレも高校生か」
オレは少し新鮮な気分になっていた。これから始まる新生活になんとなく胸が高鳴ってしまう。
胸の高鳴りを感じながらオレは自分の心の奥底を見つめてみる。
ーーーボクはーーー
いや、やめよう。
それは関係ないこと。
これから生きていく上での不純物。
楽しい学校生活には必要のないもの。
オレは自分の心を鎮め心を元に戻していく。
ーーー《登録名称》八ッ神島ーーー《通称》学園都市。
それが今オレがいる島の名前だ。東京湾から少し離れた海上にある外界と完全に隔離された人工の島で、人口約百万人、その内半数近くが学生である。真のエリート育成を掲げ、毎年数多くのエリートを輩出している。元はどこかの財閥が運営していた小さな教育機関らしいが、この場所独自のシステムが導入されており、その有用性が認められ、今は国が運営している。八つの学区に分かれており、オレは第八学区にある希望ヶ丘学園に入学する予定だ。
「………って、急がないと!!」
今日は入学初日、入学式がある。そのため少し早めに登校しなければならない。そのことをすっかり失念していたオレは、急いで学校へと向かっていた。
「ねぇいいじゃん。俺らと遊ぼうよ」
不意にそんな声が聞こえてきた。立ち止まり声のする方を見ると、近くの空き地で女の子が男二人に絡まれている。この島では学生が多いということで、こういうことも多いのだろうか。女の子は制服からしてオレと同じ学校だ。
「すいません………これから学校なんです」
「そんなこと言わないでさぁ」
女の子の方は嫌がっているが、行く手を塞がれていて逃げられない。男が女の子手を無理やり掴む。
「学校なんかより俺らと遊ぼうよ」
「や、やめてください」
女の子が手を振り解こうとするが、相手が男ということもあり振り解けない。そのまま腕を引っ張られて連れて行かれそうになる。
こういう時はどうすればいいんだろうか。
暴力で解決?殴り合いで勝てるとは思えない。
なら警察に通報するか?到着まで時間がかかるし緊急時には間に合わない。
普通の人は助けられないと諦めて見て見ぬふりをするだろう。
オレもそのうちの一人になろうとする。
しかし。
『お前はどこまでいっても偽善者だ』
不意にあの男の言葉が頭を過ぎる。
「や、やめて…………!」
「おい、お前ら」
そんな男二人に向かって声をかけた。
三人全員の視線がオレに向けられる。
「なんだお前?」
「面白そうなことやってるみたいだけど、ちょっと面白すぎだろ。その子嫌がってるぞ」
「そんなわけねぇだろ」
オレは手に持っていたスマホを見せつける。
「言い訳ならここに呼んだ警察にしてくれ。ちなみに写真も撮ってあるけどな」
そう言ってスマホの画面を見せる。
「チッ………………行くぞ」
それを見た男二人はすぐに逃げていった。
「大丈夫か?」
女の子のそばに駆け寄る。すると、こちらを向き直った彼女は深々と頭を下げた。
「ありがとう、助けてくれて」
「別にいいよ。大したことはしてない」
「そんなことないよ。すごく助けられちゃった」
そう言って満面の笑みを向けてくる彼女は美少女だった。肩の長さで揃えられたふわふわした栗色の髪に澄んだ瞳。綺麗というより可愛いという言葉が似合う感じで、笑顔がとても眩しい。
「自己紹介がまだだったね。私は樟葉柚月。よろしくね」
「オレは夜神優希。よろしく」
自己紹介をした後、二人並んで歩き出した。
「その制服。夜神くんも私と同じ学校だよね」
「ああ、同じ希望ヶ丘学園だ。………………あ、遅刻」
色々なことがあってすっかり忘れていた。
「あっ、ほんとだ!急がないと!!」
オレたちは二人揃って学校まで走り出した。
オレは学校へと向かう並木道を歩いていた。冬の名残りが少し残っているのか、空気は少し肌寒い。
「………今日からオレも高校生か」
オレは少し新鮮な気分になっていた。これから始まる新生活になんとなく胸が高鳴ってしまう。
胸の高鳴りを感じながらオレは自分の心の奥底を見つめてみる。
ーーーボクはーーー
いや、やめよう。
それは関係ないこと。
これから生きていく上での不純物。
楽しい学校生活には必要のないもの。
オレは自分の心を鎮め心を元に戻していく。
ーーー《登録名称》八ッ神島ーーー《通称》学園都市。
それが今オレがいる島の名前だ。東京湾から少し離れた海上にある外界と完全に隔離された人工の島で、人口約百万人、その内半数近くが学生である。真のエリート育成を掲げ、毎年数多くのエリートを輩出している。元はどこかの財閥が運営していた小さな教育機関らしいが、この場所独自のシステムが導入されており、その有用性が認められ、今は国が運営している。八つの学区に分かれており、オレは第八学区にある希望ヶ丘学園に入学する予定だ。
「………って、急がないと!!」
今日は入学初日、入学式がある。そのため少し早めに登校しなければならない。そのことをすっかり失念していたオレは、急いで学校へと向かっていた。
「ねぇいいじゃん。俺らと遊ぼうよ」
不意にそんな声が聞こえてきた。立ち止まり声のする方を見ると、近くの空き地で女の子が男二人に絡まれている。この島では学生が多いということで、こういうことも多いのだろうか。女の子は制服からしてオレと同じ学校だ。
「すいません………これから学校なんです」
「そんなこと言わないでさぁ」
女の子の方は嫌がっているが、行く手を塞がれていて逃げられない。男が女の子手を無理やり掴む。
「学校なんかより俺らと遊ぼうよ」
「や、やめてください」
女の子が手を振り解こうとするが、相手が男ということもあり振り解けない。そのまま腕を引っ張られて連れて行かれそうになる。
こういう時はどうすればいいんだろうか。
暴力で解決?殴り合いで勝てるとは思えない。
なら警察に通報するか?到着まで時間がかかるし緊急時には間に合わない。
普通の人は助けられないと諦めて見て見ぬふりをするだろう。
オレもそのうちの一人になろうとする。
しかし。
『お前はどこまでいっても偽善者だ』
不意にあの男の言葉が頭を過ぎる。
「や、やめて…………!」
「おい、お前ら」
そんな男二人に向かって声をかけた。
三人全員の視線がオレに向けられる。
「なんだお前?」
「面白そうなことやってるみたいだけど、ちょっと面白すぎだろ。その子嫌がってるぞ」
「そんなわけねぇだろ」
オレは手に持っていたスマホを見せつける。
「言い訳ならここに呼んだ警察にしてくれ。ちなみに写真も撮ってあるけどな」
そう言ってスマホの画面を見せる。
「チッ………………行くぞ」
それを見た男二人はすぐに逃げていった。
「大丈夫か?」
女の子のそばに駆け寄る。すると、こちらを向き直った彼女は深々と頭を下げた。
「ありがとう、助けてくれて」
「別にいいよ。大したことはしてない」
「そんなことないよ。すごく助けられちゃった」
そう言って満面の笑みを向けてくる彼女は美少女だった。肩の長さで揃えられたふわふわした栗色の髪に澄んだ瞳。綺麗というより可愛いという言葉が似合う感じで、笑顔がとても眩しい。
「自己紹介がまだだったね。私は樟葉柚月。よろしくね」
「オレは夜神優希。よろしく」
自己紹介をした後、二人並んで歩き出した。
「その制服。夜神くんも私と同じ学校だよね」
「ああ、同じ希望ヶ丘学園だ。………………あ、遅刻」
色々なことがあってすっかり忘れていた。
「あっ、ほんとだ!急がないと!!」
オレたちは二人揃って学校まで走り出した。
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