女神のクシャミで死んじゃって、異世界で新しい人生を☆

ちゅうたむ

64話 初めての旅 4


暗い森の中を歩いて行くと、いかにもっと言わんばかりの怪しい小屋があった。扉の前には大柄な男が立っており、小屋のまわりに3人の男達が辺りを見回っていた。


『ユウト、きっとあの小屋の中に捕まった2人がいるぞ。』


『そうだね。こんな森の奥の小屋に見張りを立てて警戒してるなんて露骨に怪しすぎるよね。自ら私達が犯人ですと言ってるみたいだね。』


『ユウトくんとレオルくんは此処で待機していてくれ。まずは俺たちで見張り達を片付けてくるから、安全を確認出来たら合図をするから来てくれるか。』


『分かりました。でも、皆さんが危ないと思ったら助けに入りますね☆』


『あぁ〜分かった。だけど無理だけはしないでくれよ。』


『大丈夫ですよ。怪我した場合の治療は任せて下さい。』


『なぁユウト、本当に始めから参加しないのか?ユウトがやった方が安全に助けられるんじゃないか?』


『その方が早いかもしれないけど、ソルージャさん達の護衛の任務で自分が守らないといけなかった人を拐われてしまって、それを子供の僕達に依頼主を救出してもらうなんて事になったら、此れからのソルージャさん達の冒険者としての評価が下がってしまうんじゃ無いかと思うんだ。だから、やっぱりソルージャさん達が救出した方がいいと思う。』


『なるほどなぁ。ユウトは色々考えてるんだなぁ。』


『アハハ。でもやっぱりサポートだけはしておいた方がいいかなぁ。』


『そうだな。出来る事はしておいた方がいいだろうな。』


『皆さん、念の為に防御魔法をかけておきますね。』


【オートフルシールド】


『オートフルシールド?ユウトくん今の魔法は?シールドは知っているがオートシールド何て聞いた事が無いだが。』


『オートフルシールドは、どんな物理と魔法攻撃でも自動で5回防いでくれる魔法なんです☆これは僕のオリジナル魔法なので、聞いた事が無いはずですよ☆』


『ユウト!どんな攻撃も防いでしまうって ︎
そんな魔法もあったのかよ ︎』


『うん、暇な時に色々考えた魔法があるんだよ☆兄さんまた色々試して見ようね♪』


『おぅ!楽しみが出来たぜっ ︎』


『あっ…2人の世界に入ってる所悪いんだが…
・・・うん、いや何でも無いよ☆
ユウトくんの魔法のおかげで少し気持ちに余裕が出来て戦いやすくなったよ。ありがとう。
少し待っていてくれ、直ぐに片付けてくるよ☆』


さっきまでのソルージャさん達の張り詰めた異常な緊張感が嘘の様に、今はとても頼もしくかっこいい冒険者の姿だった。

ソルージャさん達は、3方向に分かれ1対1で倒していくようだ。
ソルージャさんが正面からいき、左右からウノさんとルードさんが分かれて行った。
ソルージャさんが敵に向かって斬りかかって行く。敵がソルージャさんに気がつき、剣を抜きソルージャさんの攻撃を受けとめた。


『お前はさっき護衛をしていた冒険者じゃ無いか!
あんな深傷を負って死に掛けていたはずだったのに!何故動けているんだ!』


『ハハハ、運良く助けられたんだよ!』


ソルージャさんは、素早く体を回転させ敵を切り払った。敵は後ろに飛ばされて動かなくなった。
倒れた音に左右にいた見張りが異変に気付き注意がそれた瞬間に、茂みに隠れていたウノさんとルードさんが飛び出して勢いよく斬りかかる。油断した敵達は、一瞬で倒された。
ソルージャさんは、扉の前に居る大柄な見張りに突っ走り斬りかかる。
敵がソルージャさんに気付き迎えうつ。
ソルージャさんの攻撃を左手に持つ剣で受け止めた瞬間!敵の右手がソルージャさんの脇腹目掛けて放たれた!しかしソルージャさんに当たる前にオートフルシールドの効果でシールドが発動して攻撃を防げた。
敵は、ソルージャさんが魔法を使った所を見ていないのにシールドの魔法が発動したのを見て驚き止まっていた。


『なんだ!!いつの間にシールドを発動させたんだ!ふん、まぁ〜いい!次は仕留めてやる。覚悟しろ!!いくぞぉ!!』

敵は、両手で剣を握りしめて素早くソルージャさんに斬りかかった。
しかしまたもシールドが発動し、敵の剣が弾かれた!すかさずソルージャさんは剣を構え、敵の腹を切り払い、痛みに耐え兼ねて敵の足が崩れて倒れて来る瞬間に敵の首を斬った。
そのまま敵は倒れ息を引き取った。

ウノさんとルードさんがソルージャさんにかけ寄り怪我が無いかの確認していた。
怪我の確認後ルードさんが僕達の方に走ってきた。


『ユウトくん、レオルくん。敵を片付けたから小屋の方に行っても大丈夫だよ。ユウトくん、あの魔法は本当に凄いね。ユウトくんが魔法をかけてくれていなかったらソルージャも今頃無事ではすまなかっただろう。』


『お役に立てて良かったです。
さぁ!小屋に捕われてる旦那様とお嬢様を助け出しましょ。』


『あぁそうだね。』


小屋に向かうとソルージャさんとウノさんが小屋の中に入っており、中から捕われていた旦那様とお嬢様を連れて小屋から出てきた。


『ソルージャさん大丈夫でしたか?』


『あぁ、あの魔法で怪我も無くユウトくん達のおかげで旦那様とお嬢様を無事に助け出す事が出来たよ。』


『ソルージャくん、その子達がさっき話していた子なのかな?』


『はい旦那様!!此方にいるユウトくんとレオルくんが、瀕死状態だった私達を助けてくれて旦那様達の救出まで手伝ってくれたのです。』


『ほほぉ☆それは何とお礼をしたらよいのだろ。ユウトくん、レオルくん。この度は私と娘、それにソルージャくん達の命を助けてくれて本当にありがとう。いやぁ捕まっている間、私達を守る為にソルージャくん達が賊と闘って怪我をして倒れていたのを見て、これは本当に危ないと、どうにか娘だけでも助ける方法が無いかとばかり考えていて、生きた心地がしなかったよ。アハハハハ。』


『怪我も無く無事に救出出来て本当に良かったです。僕達がソルージャさん達を発見した時、血まみれで凄い怪我をしている状態でも、地面を這いながら旦那様とお嬢様を助けに行こうとしていたので、拐われたお二人も怪我をしているかも知れないと心配していたんですよ。』


『ソルージャくん、そこまで私達を心配してくれていたんだなぁ。』


『そんなの当たり前じゃ無いですか。お二人をお守りするのが我々の仕事です。それなのに旦那様とお嬢様には怖い思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。今回の護衛任務が完了後、ギルドの方には任務失敗の報告をします。』


『その報告は必要無いよ。確かに怖いおもいはしたが、ソルージャくん達が命がけで助けに来てたじゃないか。扉から入って駆け寄って来て、『ご無事ですか!遅くなり申し訳ありません。助けに参りました。』っと言われた時は、私が女なら惚れてしまっておっただろ(笑)』


『アハハハハ、ソルージャ残念だったなぁ。旦那様が女性だったら玉の輿に乗れていたのになぁ(笑)』


『アハハ、本当だなぁ☆』


『ルード、ウノまでなに言ってるんだよ。』


『ソルージャくん残念じゃったなぁ(笑)
まぁ〜冗談はこのぐらいで、君達の働きは本当に素晴らしいかったよ☆ギルドの方には私の方から、本当に良い人達だったと報告しておくよ。何なら冒険者を辞めて私の護衛として雇いたいぐらいだよ。』


『いや、とんでもありません。旦那様の所で働くだなんて、私達には勿体ない程のお話ですよ。』


『3人が良いなら本当に私護衛をしてくれないか?』


『ソルージャ!こんな話滅多にないぞ!俺たちこのまま冒険者を続けても高が知れてるしなぁ。』


『そうだよ。それに比べて旦那様の所で雇って貰えたら、この先の将来は安泰ですよ。』


『たが、本当にいいんだろうか。。。』


『ハハハ。いいだよ。私は君達だから頼んでいるんだよ☆ルードくんとウノくんもOKみたいだぞ。さぁソルージャくん、私のもとで働いてくれるかい?』


『はい!宜しくお願いします。』


『ソルージャさんルードさんウノさんおめでとうございます。』


『ユウトくんありがとう。
君達が助けてくれたおかげだよ。』


『僕達は、治療をしただけですよ。
賊達を倒したのは、皆さんの実力です。』


『おやおや?ユウトくんは本当に子供なのかい?会話の受け答えが大人の人と話しているかのようだの(笑)』


びくっ!!


『アハハ、、いやですね、、見たままの5歳のただの子供ですよ。。。』


『確かに、それもそうじゃなぁ。』


『それじゃ〜森の外にトムさん達を待たせちゃっているので、森を抜けましょうか。』


『そうだなぁ!トムさん達もあまり帰りが遅くなると心配しちゃうかも知れないしなぁ。』


俺たちは、森の外で待っているトムさん達の元に向かった。

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