これがあたしの王道ファンタジー! 〜愛と勇気と装備変更と〜

プリティナスコ

前略、盾と奇襲と

「よいしょっ!」


 襲い来る魔物達を切り払いながらあたし達は、目的地に歩みを進める。ん、今日も絶好調!


「ふむ、もう魔物ならある程度心配はいらないようですね。」


 お陰様でね、両手剣を振り回し、最後の一匹を倒す。


「対人の訓練でもしますか?」


 リリアンからの提案。対人……あまりいい響きではない。


「う〜ん。遠慮しようかな?できれば話し合いで済ませたいよ。」


 本心だ、別にあたしは戦いが好きなわけではない。ただ、あたしが頑張りが誰かのためになるならと剣を振るうのだ。


「貴方は人に勝った経験がないでしょう。このまま負け続けるのですか?」


「負け続けてもいいよ。あたしが傷ついて丸く収まるなら。」


 これも本心だ、勘違いで戦ってもあたしが倒れるくらいでそれが収まるのなら。


「強情な人ですね。では、こう言いましょう。」


「人と戦わなければ守れないものもあるのでは?今、私が強大な敵に襲われたらどうするつもりですか。」


 なるほど、リリアンはこう言いたいのか。強くなければ守れないものもあると。

 それからその例えだと、リリアンを襲う愚か者を助ける為に、剣を抜くことになるだろう。命は大事に。


「もちろん、戦うよ。それはあたしの手が届くことだから。」


「それでいいです。」


 はい、と移動中は没収されているスキルボードを渡される。そのままリリアンが指差すマスをタップする。


「スキルポイント20を消費して【盾-D】を習得しました。」


 いつものポーン、という気の抜けた音とともに流れるアナウンス。装備が増えるのは久しぶりだった。


「おぉ〜盾か!」


「そろそろ持ってもいい頃合いでしょう。」


 今回は天使が配達に来るわけでもなく、ただ盾がそこにあった。意外にしっかりとした鉄製の盾はそこにあるだけで安心感があった。


 さぁ慣れましょうか。悪魔のような囁き、嫌な予感がする……


「ウソぉ!」


 振り返ると、すぐさま繰り出されるリリアンの拳にあたしは盾を構える。

 防いでも少し吹き飛ばされる。こっちはかなりの量の石を背負ってるんだけど!?

 日が暮れ、今日のキャンプを作る頃には新品だった盾はあたしの手にしっかりと馴染んでいた。

 ……そういえば片手剣と盾!で少しは主人公っぽいかなと考えたけど【ウエポンチェンジ】で同時装備はできないみたい。

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