これがあたしの王道ファンタジー! 〜愛と勇気と装備変更と〜

プリティナスコ

前略、作戦と跳躍と

生きる為に、勝つ為に、再び立ち上がった仲間と共に石像をみる。なにかないか、ないか。



「弱いところ……弱いところ……」



 遺跡の中で山賊からもらった【山賊の目】で目を凝らす。まだまだ安定しないのと、あたしのちから不足もあって弱点はみつからなかった。

 それでも……



「なにか手はある。諦めるにはまだ早い。」



 だって……



「だから手出ししないんでしょ?」



 後ろでずっと沈黙を守っていた、孤高なる暗黒騎士に語りかける。もし本当に打つ手がないなら、この人が黙って見ているはずもない。



「手札はすでにある。」



 ほら、やっぱり。1言だけ残して孤高なる暗黒騎士はまた沈黙した。



「だってさ、いけるとこまでいってみよーか!」



「もうヤケクソ!」「ここまできたなら!」



 もう諦めるなんて言い出すのは誰一人いなかった。



「少しだけ……見えたかも……」



 石像がその石の爪を振り下ろす時、その翼で振り払う時、その足で踏み潰す時。それぞれ攻撃の一瞬、各、関節?繋ぎ目?その隙間に薄っすらした赤い光がみえた。



「あれが弱点?」



「なにか見えたの?」



 リッカの質問に、うん、と頷き返す。



「もしかして、この部屋に入った時の岩達は元からこの石像ドラゴンの部品で、それが繋ぎ合わさってコイツになったんじゃ………」



「なるほど……繋ぎ合わせて……」



「攻撃の一瞬だけ、その繋ぎ目がみえた。」



「じゃあ!そこを狙えばいいね!」



 やっとみえた突破口に歓喜する。問題は……



「攻撃の一瞬しか見えないんだよね。」



「でも、セツナさんなら速さは問題ないでしょう。」



 そのとおり、あとは……



「あと一回しか『セツナドライブ』はできないんだ。どこからくるかわからない一瞬に合わせるのは………」



 う〜ん、唸るあたしと、ラルム君。なにかいい手は……



「それならこんなのは?」



 リッカが何かを思いついたらしい。作戦に耳を傾ける。



「なるほど…」「それなら」「いけるでしょ!」



 やっぱりぶっ飛んだ作戦だったけど、勝算のある作戦だった。あとはあたしが頑張るだけか!



「そんじゃいっちょいきますかー!」



「「おぉーー!」」



 掛け声と共に、作戦開始!



 まずラルム君が魔法によって全力で注意を引く。

 あたしは助走距離を確保、リッカは狙撃ポイントへ。



 石像の目を引き、ラルム君への攻撃が放たれた瞬間に!

 いつもの助走、ルーティーンのように5歩目で!!!

 飛ぶ、まだ叫ばない、まだあたしの時間じゃない。



 石像はすぐさま空中のあたしに目をやり、標的を変えた。そう、それでいい。あたしを殴れ!



 石像が腕を引き、その爪であたしを引き裂くために構えた。ここで!!!



「リッカ!!」



 仲間を呼ぶ。リッカが狙撃するのは石像じゃない。あたしだ。



「任せて!!」



 放たれる銃弾。その小さな弾に足を合わせてもう1度飛ぶ!!それが今回の作戦だった。



 正直……不安しかない……あの小さな弾を目視できるだろうか。目を凝らしそして



「本当にありがとうだよ、山賊。」



 見える、ハッキリと【山賊の目】には、命を脅かす銃弾が見えていた。あとは気合と根性!!



 足に銃弾を感じる。小さな足場だ、バランスを崩しそうになる、けどならない!!



 落ち着いてる。呼吸法のおかげだ。そして今のあたしには教えてもらった歩法と身体さばきがある!!

 様々な要素が集まり、あたしの必殺技は完成する。どんな場所からでも1歩で立て直し、駆け出せる。

 さぁ、あたしの時間だ



「『セツナドライブ』!!!」



 石像が爪を振り始め、それを振り終わらすよりも先に、持ち替えた両手剣は、その肩の接合部を切り離していた。

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