これがあたしの王道ファンタジー! 〜愛と勇気と装備変更と〜

プリティナスコ

前略、あたしと銃士と魔術師と

「イケメンだぁーー!」


 ネオスティアにきてからというもの、癖の強い人ばっかりだったあたしの目に突然現れたイケメン。いやまて、可愛いノノちゃんは大分失礼だったし、キレイなナナさんは抜けてるところがあった。リッカはアホだし、孤高なる暗黒騎士は人かどうかわからないし、ギンはパツキンの不良だし、極めつけに見た目だけメイド(悪魔)のリリアン。
 あたしはこれまで関わった人達を頭の中で並べてく、みんなどこかしらに問題を抱えている。ただのイケメンなんてありえない。そうありえないのだ。


「ありがとございます。セツナさんも可愛らしいですよ。」


 対応まで……完璧……!!


「ごめん、取り乱した。今までのちょっと飛んじゃってる人としか会わなかったからさ……」


「それは……」


 心配するようなラルム君の声。よかった、普通の会話だ。


「お待ちなさい。」


 突然のリリアン、今はこのまともな会話を続けたい。


「飛んじゃってる人達しか?私がいるでしょう。貴方を特訓してあげ、料理を振る舞い、見た目麗しい完璧なメイドの私が。」


 特訓(拷問)料理(拷問)見た目麗しい完璧メイド(服装だけ、枷、鎖付き)正直1番ヤバイ奴である。


「正直1番ヤバイ奴である。」


「フッ!」


 〜〜〜〜〜〜っ!!!ついでてしまった心の声に、あたしの足の小指を全力で踏みぬくリリアン。
 こ、声が…でない……!


「もう1度聞きます。完璧なメイドな?」


 悪いけど……!あたしには……!譲れないものがある……!


「ラルム君にメイド服を着せたほうがいいメイドになると思うよ!!」


「セツナさん!?」


「わかりました。久しぶりにコイツを味わいたいようですね。」


 どこからか、あの黒い大剣を取り出すリリアン。あ、死んだ。


「待って下さい!セツナさん!リリアンさん!」


 止めに入ってくれるラルム君、あまりに常識的な対応に忘れかけてた常識が蘇る。争い、良くない!


「覚えてなさい。」


 と言葉を残してどこかに行くリリアン。一度命の危機は去ったようだ。


「ありがとうラルム君、今度メイド服で嫁に来てくれる?」


「嫌ですよ!?」


 振られた、おい天使、ハーレム作れないぞ。


「い、依頼の話しをしますね。」


 話題を変えられる、そうだこんな茶番で時間を使うわけにはいかない。
 依頼は簡単な内容だった。この街の近くにあまり盛んではない魔法『召喚術』について書かれた遺跡があるらしい。
 『召喚術』はラルム君の専攻している魔法らしい。


「学園の方が休みの内に研究を進めておきたいんです」


「魔法の学園かぁ、いつか見てみたいな。」


「いつでも案内しますよ。」


 ありがと、それでその遺跡での調査に一緒に戦うメンバーが必要らしい。報酬は非常に少ないが遺跡内や道中で好きに採取することがパーティー名義でできるらしい。


「依頼というよりは一緒に遺跡調査しませんか?という誘いみたいなものですね。」


「なるほど、願ったりだよ。」


 こちらとしても、いろいろ見て回れるのはいい経験になるだろう。ただ戦力的にあたし護衛できるかな?


「話しは聞かせてもらった!」


 バン!と扉が開かれる。リッカ?


「あたしも行くよ!遺跡調査!」


 それは嬉しいけど……


「大丈夫?悪人とかいないけど」


「賞金稼ぎは引退したわ……」


 うん、情けない。まぁでもリッカ強いしこちらとしてもありがたい。ついでに護身術とか教えてほしいけど。


「よろしくね!ラルム!」


「よろしくお願いしますね。えっとリッカさん?」


 すぐさま打ち解ける。これで万全かな?


「そんじゃいっちょいきますかー!」


 掛け声と共に、あたし達は初めてのクエストに挑むのだった。

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