〖真実の愛〗エピソード③~最後の恋人S子編~

YUTAKA

第九章 二人の未来

第九章 二人の未来

在り来たりだが彼女とは、よくカラオケに行った。
私は歌を歌うことにストレス発散を感じていたし、
そして何よりもS子の歌声を聞くことに幸せを感じていた。
彼女は18歳だったが、私が知らないオールディーズな曲も歌ってくれた。

彼女が歌った中で私が印象的だったのは竹内まりやの『駅』だった。
切ない男女の再会を表現した歌がとても印象的な曲だ。
しかし、愛する心なんて他人には分からないだろし、
私がどれ程S子を愛してるかなんて彼女には伝わらないのだろう。
その歌詞を聞きながら少し冷めた自分もいたのだ!

S子と過ごす時間は本当に楽しかった。
それは彼女の真っ直ぐな感情表現と、影日向の無い性格のお陰だと思った。

彼女は私に毎日こう言ってくれた。
『TETSUOのことが大好きだよ♪』

そして彼女はこうも言った。
『TETSUOとの愛の証しが私はいつか欲しい』と・・・

彼女の未来には私と言う旦那が隣に居て、
そして私との間に子供が欲しいと望んでいたのだ。
それは私も同じ気持ちだった。
この気持ちが永遠だと疑わない二人がそこには居たんだ。

S子は高校を卒業すると、ある会社の事務員になる予定だった。
彼女がその会社へ面接に行く前日、私は彼女とデートの約束をした。
待ち合わせの場所で車を停めると、彼女が車に乗り込んで来たのだが・・・
胸元まであった長い髪を切り、肩までのショートヘアーになっていたのだ!

『髪は女の命』であろう。
高校卒業の条件を学校側から出された様で、生活態度や身なりを正さないと留学だと先生から言われたのだ。
だから、彼女は高校を卒業して社会人になるべく自分の感情を殺して、
そして大切な髪をバッサリ切って会社の面接を受けようとしたのである。

『ごめんね…』
彼女は多くを語らず私の腕の中で悲しみを堪えていたように感じた。
この瞬間に私の心は大きく動いた!
『S子のことを一生大切にする』と・・・

その思いが強くなったことが
『二人の未来』を変えていくのであるとも知らずに・・・





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