〖真実の愛〗エピソード③~最後の恋人S子編~

YUTAKA

第七章 ニーチェの言葉

第七章 ニーチェの言葉

ニーチェの言葉に
『愛されたいという要求は、自惚れの最たるものである』
極論を言えば愛なんて自惚れでしかないってことなんだと。

レディーに対しては優しい言葉を贈ることも大切だし
贈り物をするとレディーが喜ぶのは理解していた。
彼女と出会って半年が経った頃から給料日になると
花屋さんへ足を運んでは花束を購入するようになった私。

何の記念日でもないけれど彼女へ花を贈ると
凄く嬉しそうな笑顔をしてくれたことが私も嬉しかった(笑)
その笑顔を見つめる自分も好きだったんだろうね!
まさにこれが『自惚れの最たるもの』なんだろうか?

『花は心の食べ物』だって先輩はよく言っていた。
その先輩は結婚してからも奥さんの誕生日には
花を贈っていることを教えてもらった。
自分もそんな真似をして彼女へ花を贈るようになったんだ!

彼女はまだ学生だったから小遣いの範囲で私にも贈り物をしてくれた。
私の誕生日には手作りのケーキとクッキーを贈ってくれたこともあった。
そんな彼女の精一杯の優しさが私の心に沁み渡った。

彼女と知り合って初めて迎える彼女の誕生日。
名古屋港ポートビルの海が見える建物で夕日を見ながら彼女と食事をした。
夜の海を二人で眺めながらお喋りも楽しんだ!
そして駐車場に戻ると私が彼女へあるお願いをした。

『車のトランクに荷物があるから取ってくれない?』

実は彼女の誕生日祝いに真っ赤なバラの花束と
彼女の趣味は分からなかったけど
ティファニーのオープンハートのネックレスを
手紙と一緒にトランクへ忍ばせておいたんだ!

そのことを知らない彼女は少し面倒な顔をしていたが
トランクから戻ってきた彼女に私は飛び付かれながら

『嬉しいー♪ 嬉しいー♪ 最高の誕生日をありがとう♫』

なんとかサプライズ成功って感じだった(笑)
そんな彼女のために出来ることが正に『自惚れ』なんだと思った。

『愛が恐れているのは愛の破滅よりも、むしろ愛の変化である』

ニーチェの言葉で言えば自分をよく見せようと背伸びをすればするほど
彼女自身の愛が変化するなんて知る由もない私がそこに居た。

いつも全力で『愛』という高山を登っていると
息切れもするし全てに限界が訪れるものなのだ!
そして彼女の為にと自惚れがエスカレートする程
私の心と身体は限界に達してしまうんだ。
ニーチェはこうも言った・・・

『人は常に前へだけは進めない、引き潮あり差し潮がある』



コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品