上京して一人暮らしを始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった
これも計算のうち……?(愛梨3泊目)
「お待たせしました、ビーフシチューとハンバーグのランチセットです」
「ありがと」
母親自家製のビーフシチューとハンバーグのランチセットを、愛梨さんに提供する。
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、ちょっと待って」
俺がペコリとお辞儀して立ち去ろうとすると、愛梨さんにふいに声を掛けられた。クルっと愛梨さんへ振り返り視線を向ける。
「どうかしました?」
「一緒に食べよ!」
何を言ってるんだこの人は?? 俺は仕事中だぞ?
「ごめんなさい、仕事中なので、流石にそれは……」
「一口でいいから! ほらほらこっち来て」
手招きをされて愛梨さんの元へと戻る。
「はい、あーん」
愛梨さんはスプーンでビーフシチューをすくって、俺の口元へと近づけてきた。
「……」
「あーん」
愛梨さんをずっとこのままにしておくのも可哀想だったので、俺は根負けして仕方なくスプーンを口に含めてビーフシチューを流し込む。
いつもの母親のビーフシチューのおいしい香りと味わいだった。
「うん、いつも通り、美味しいですよ」
「そっか、じゃあ、私もいただきます!」
愛梨さんは俺が口にしたスプーンを使って、気にする様子もなく再びビーフシチューをすくいあげて口に頬張った。
結果的に、愛梨さんと間接キスをしてしまい、俺の頬が熱くなる。
「んんっ! おいひい!」
愛梨さんは熱そうなジャスチャーを見せながらも、なんとかビーフシチューを飲みこむ。
「やっぱり、旅行雑誌に載ってるだけあって、他の店よりコクがあって一味違うね!」
「お口に合ってよかったです」
「それに、大地くんが食べた後だから余計かな……」
頬を少し染めながらニコっと笑い、愛梨さんはあざとくウインクしてくる。
そのいじらしさも、魅力的に思えてしまう俺は、愛梨さんに完全に取りつかれていると我ながら思う。
◇
愛梨さんは食事を終えた後、母親のサービスで提供したコーヒーとお茶菓子を嗜みながら本を読んでいた。
午後の日差しが差し込む閑散とした喫茶店の中で、あどけなさが残る顔の中に溢れ出る大人の雰囲気が、とても絵になっている。
「ああいう女の子たちが、ゆっくりとくつろげるようなカフェを目指していたのになぁー」
愛梨さんの姿を見て、母親が思わずそんな小言を漏らしていた。
確かに愛梨さんのような美しい女性が、静かに安らげるような隠れ家的なお店を提供してあげたいという気持ちは、どこか共感できるものがある。
都内とは違い、人が少ない自然豊かな小さい街にひっそりとたたずむ喫茶店で、午後のティータイムを嗜んでいる彼女をずっとカウンターのそばで見ていたい。そんな気持ちにさせられた。
愛梨さんは、結局閉店間際まで本に夢中で読み耽っていた。
カップを下げている時、俺は愛梨さんにふと思ったことを尋ねた。
「愛梨さんは、この後どこへ行く予定なんですか?」
「うーん……特に決めずにこっちへ来たから、ホテルとか適当にその辺で探そうかと思ってたけど」
「え、宿決めてないんですか!? GWだし、この辺宿泊施設少ないから、どこも空いてないんじゃ……」
「だって、大地君に会いたかったから、来ることに夢中で、それ以外のこと考えてなかったんだもん……」
ぷくっと頬を膨らませてむすっとした表情を浮かべる愛梨さん。
ほんと、この人の行動力にはいつも驚かされる。ってか、俺のためにそこまでするとか、正直どうかしてる。
愛梨さんの後先考えない行動力に度肝抜かれていると、厨房から出てきた母親がぱんっと手を打った。
「それじゃあ、うちに泊めてあげればいいじゃない!」
「はぁ!?」
急にとんでもないことを言い出す母親に、俺は唖然とする。
「いえっ、そこまでしてもらうのは流石に……」
「いいのよ、いいのよ。この時期じゃどこも宿は空いてないだろうし、年頃の女の子を夜間に外で野放しにしておくわけにはいかないわ!」
確かに、宿見つからず、土地勘のない夜の街に、愛梨さんを一人野放しにしておくのは危険だ。5月の北の大地といっても、夜は物凄く冷え込むし、風邪を引いてしまうかもしれない。
「まあ、部屋も余ってますし、風邪を引かれてもなんか俺の気が引けるんで……よかったらどうぞ」
「本当にいいの?」
申し訳なさそうに愛梨さんが、確認の意をこめて尋ねてくる。
「えぇ、愛梨さんのような子が来てくれるなんで大歓迎よ!」
「え、なになに? 何の話?」
厨房の方から片づけを終えて、大空がこちらへ向かってきた。
「今日愛梨さんがうちに泊まっていかないか?って話」
「え!? 愛梨さん今日お泊りしてくれるの!?」
大空は目をキラキラと輝かせながら、羨望の眼差しで愛梨さんを見つめている。
「その……すいません。それじゃあ、お言葉に甘えて泊めていただいてもよろしいでしょうか?」
「えぇ」
「やったぁー!」
ニコニコと母親が微笑みながら頷き、大空は飛び跳ねて喜ぶ。
二人を尻目に、俺はチラっと愛梨さんの方を見る。
愛梨さんは苦笑いを浮かべながらも俺の方をチラっと見ると、ウインクをして見せた。
まさか……これも計算のうち?? いや、流石にないよな……
俺は計算高い愛梨さんを訝しみつつも、愛梨さんが俺の実家に泊まることが決まった。
「ありがと」
母親自家製のビーフシチューとハンバーグのランチセットを、愛梨さんに提供する。
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、ちょっと待って」
俺がペコリとお辞儀して立ち去ろうとすると、愛梨さんにふいに声を掛けられた。クルっと愛梨さんへ振り返り視線を向ける。
「どうかしました?」
「一緒に食べよ!」
何を言ってるんだこの人は?? 俺は仕事中だぞ?
「ごめんなさい、仕事中なので、流石にそれは……」
「一口でいいから! ほらほらこっち来て」
手招きをされて愛梨さんの元へと戻る。
「はい、あーん」
愛梨さんはスプーンでビーフシチューをすくって、俺の口元へと近づけてきた。
「……」
「あーん」
愛梨さんをずっとこのままにしておくのも可哀想だったので、俺は根負けして仕方なくスプーンを口に含めてビーフシチューを流し込む。
いつもの母親のビーフシチューのおいしい香りと味わいだった。
「うん、いつも通り、美味しいですよ」
「そっか、じゃあ、私もいただきます!」
愛梨さんは俺が口にしたスプーンを使って、気にする様子もなく再びビーフシチューをすくいあげて口に頬張った。
結果的に、愛梨さんと間接キスをしてしまい、俺の頬が熱くなる。
「んんっ! おいひい!」
愛梨さんは熱そうなジャスチャーを見せながらも、なんとかビーフシチューを飲みこむ。
「やっぱり、旅行雑誌に載ってるだけあって、他の店よりコクがあって一味違うね!」
「お口に合ってよかったです」
「それに、大地くんが食べた後だから余計かな……」
頬を少し染めながらニコっと笑い、愛梨さんはあざとくウインクしてくる。
そのいじらしさも、魅力的に思えてしまう俺は、愛梨さんに完全に取りつかれていると我ながら思う。
◇
愛梨さんは食事を終えた後、母親のサービスで提供したコーヒーとお茶菓子を嗜みながら本を読んでいた。
午後の日差しが差し込む閑散とした喫茶店の中で、あどけなさが残る顔の中に溢れ出る大人の雰囲気が、とても絵になっている。
「ああいう女の子たちが、ゆっくりとくつろげるようなカフェを目指していたのになぁー」
愛梨さんの姿を見て、母親が思わずそんな小言を漏らしていた。
確かに愛梨さんのような美しい女性が、静かに安らげるような隠れ家的なお店を提供してあげたいという気持ちは、どこか共感できるものがある。
都内とは違い、人が少ない自然豊かな小さい街にひっそりとたたずむ喫茶店で、午後のティータイムを嗜んでいる彼女をずっとカウンターのそばで見ていたい。そんな気持ちにさせられた。
愛梨さんは、結局閉店間際まで本に夢中で読み耽っていた。
カップを下げている時、俺は愛梨さんにふと思ったことを尋ねた。
「愛梨さんは、この後どこへ行く予定なんですか?」
「うーん……特に決めずにこっちへ来たから、ホテルとか適当にその辺で探そうかと思ってたけど」
「え、宿決めてないんですか!? GWだし、この辺宿泊施設少ないから、どこも空いてないんじゃ……」
「だって、大地君に会いたかったから、来ることに夢中で、それ以外のこと考えてなかったんだもん……」
ぷくっと頬を膨らませてむすっとした表情を浮かべる愛梨さん。
ほんと、この人の行動力にはいつも驚かされる。ってか、俺のためにそこまでするとか、正直どうかしてる。
愛梨さんの後先考えない行動力に度肝抜かれていると、厨房から出てきた母親がぱんっと手を打った。
「それじゃあ、うちに泊めてあげればいいじゃない!」
「はぁ!?」
急にとんでもないことを言い出す母親に、俺は唖然とする。
「いえっ、そこまでしてもらうのは流石に……」
「いいのよ、いいのよ。この時期じゃどこも宿は空いてないだろうし、年頃の女の子を夜間に外で野放しにしておくわけにはいかないわ!」
確かに、宿見つからず、土地勘のない夜の街に、愛梨さんを一人野放しにしておくのは危険だ。5月の北の大地といっても、夜は物凄く冷え込むし、風邪を引いてしまうかもしれない。
「まあ、部屋も余ってますし、風邪を引かれてもなんか俺の気が引けるんで……よかったらどうぞ」
「本当にいいの?」
申し訳なさそうに愛梨さんが、確認の意をこめて尋ねてくる。
「えぇ、愛梨さんのような子が来てくれるなんで大歓迎よ!」
「え、なになに? 何の話?」
厨房の方から片づけを終えて、大空がこちらへ向かってきた。
「今日愛梨さんがうちに泊まっていかないか?って話」
「え!? 愛梨さん今日お泊りしてくれるの!?」
大空は目をキラキラと輝かせながら、羨望の眼差しで愛梨さんを見つめている。
「その……すいません。それじゃあ、お言葉に甘えて泊めていただいてもよろしいでしょうか?」
「えぇ」
「やったぁー!」
ニコニコと母親が微笑みながら頷き、大空は飛び跳ねて喜ぶ。
二人を尻目に、俺はチラっと愛梨さんの方を見る。
愛梨さんは苦笑いを浮かべながらも俺の方をチラっと見ると、ウインクをして見せた。
まさか……これも計算のうち?? いや、流石にないよな……
俺は計算高い愛梨さんを訝しみつつも、愛梨さんが俺の実家に泊まることが決まった。
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