上京して一人暮らしを始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった
計算高い先輩
「お冷です」
「ありがとう」
愛梨さんをテーブル席に案内して、俺は愛梨さんの座っている前に、グラスのお冷を置いた。愛梨さんは平然とした様子でメニューを見ながらどれにしようかと悩んでいる。
「うーん、どれにしようかな……大地君のおすすめはどれ?」
「その前に、一つ聞いていいですか?」
「うん、何?」
愛梨さんはキョトンとしながら首を傾げてる。
「なんでこんなところにいるんですか?」
「それは、大地君に会いに来たに決まってるじゃん」
当たり前のように愛梨さんはそう言い放った。
「いや、会いに来たって……俺が帰省してるって教えたの、昨日ですよね?」
「そうだけど?」
あっけらかんとした表情を浮かべる愛梨さん。
「俺、お店の名前は教えましたけど、場所教えてないですよね?」
「そんなの、ネットで検索したらすぐ住所くらい出てくるわよ」
「あぁ……そうですか……。で、でも、なんでわざわざそんなことまで調べて、ここに来る必要があったんですか?」
「そりゃだって、私にとって特別な存在の大地君なんだから当たり前じゃない! 今日サークルで会えると思って楽しみにしてたのに、大地君が帰省してるっていうから、それなら大地君のところに合いに行っちゃえばいいじゃんって!」
「いや、その発想はどう考えてもおかしいですよね!?」
「おかしくないよ、気持ちさえあれば、人どんな困難だって乗り越えられるのよ! むしろここまで会いに来た私をほめてほしいくらいだわ。飛行機取るの本当に大変だったんだからね!」
「いやいやいや、褒めるわけないでしょ! ってか、お店に来ても、俺がいるとは限らないわけですし!」
今日はたまたまいたけれども……!
「なんかここに大地君がいるような気がしたのよ。女の勘ってやつかな? やっぱり私たちって運命なのかも!?」
「はいはい、そうですね」
俺は思わず眉根を抑えて、ため息をついた。愛梨さんの行動力に度肝を抜かれる。
未だに愛梨さんの言う特別という言葉の意味を直接聞いてはいないが、ここまでされると、逆に驚きと嬉しさを通り越して呆れるまである。
「えーつまんないの。じゃあ大地くんは、私が来てくれて嬉しくないの?」
ムクっと頬を膨らませて愛梨さんは抗議した目を送ってくる。
「そっ、それは……その……」
俺が思わず言葉に詰まってしまうと、ニヤニヤと意地悪めいた笑みを浮かべている愛梨さんの顔が、視界の端に見えた。
「その、嬉しくない……わけではないですけど……」
「ふふん、ほらやっぱりうれしいんじゃん。素直じゃないんだから!」
そう言って、愛梨さんはバシッと俺の背中を叩く。
「はぁっ……」
俺は思わずため息をついて、話を切り替えてテーブルの上に広げられているメニューへ視線を移した。
「おすすめはビーフシチューとハンバーグのランチセットです」
「おっ、じゃあ、それにしようかな!」
愛梨さんもメニューを見て、それを指差して注文する。
「かしこまりました、少々お待ちください」
俺はするするっと伝票に注文内容を書いて、愛梨さんの元を離れ、厨房へと戻る。
「ビーフシチューとハンバーグのランチセット一つで」
厨房へと戻ると、母親がにやけた表情で言ってきた。
「はーい、あんた、いい女の子拾ってきたわね」
「うるせぇ」
母親は手で口元を隠しながら、ニヤニヤとした表情を俺に向けてから調理へと取り掛かった。
ようやく愛梨さんから解放されて肩の力を抜いてため息をつくと、ごごごごっという圧力を感じてばっと振り返る。そこには、大空が眉根を引きつらせて俺の前に立っていた。
「お兄ちゃん……」
「お、おう……どうした大空」
大空は口角を上げてニコっと作り笑いを浮かべて俺を見つめてくる。だが、目は全く笑っていない。
「お兄ちゃん、あの女の人とは……どういう関係なのかな?」
「ど、どういう関係といわれても……サークルの先輩としか……」
「へぇー、それにしては随分と仲良さげに話してたよね?」
怖いよ、大空ちゃん怖い! 特に目からハイライトが消えてるよ!?
「私はね、女作るために向こうへお兄ちゃんを渋々送りだしたわけじゃないんだよ、わかってる?」
知らないよ? お兄ちゃん、妹をこんなヤンデレ属性に育てた覚えはないよ?
俺は厨房から逃げるようにホールへと逃げる。
「あ、ちょっとお兄ちゃん!?」
ホールへ逃げた俺を、大空が必死になって大空が追いかけてくる。
俺はお客さんの迷惑にならないよう、ホールを素早く歩いて接客する風に歩いたが、小走りで走って来た大空に腰を掴まれて捕まってしまう。しかも運悪く、愛梨さんの目の前で捕まってしまった。
「あら、大地くん? その子は?」
愛梨さんが興味深そうに、俺の後ろにひっついている妹を見つめた。
「あぁ……えっと紹介します。妹の大空です。ほら、大空ちゃんと挨拶して」
俺が促すと、ムスっとした顔で渋々前へ出た。
「妹の南大空です」
「おいっ! すいません、今ちょっと機嫌を損ねてまして……イッテ!」
大空に思いっきり足を踏まれた。
そんな俺たちの様子を見て、愛梨さんはパァっと表情を明るくした。
「可愛い妹さん! あ、そうだ!」
すると、愛梨さんは何か思い出したように鞄の中を漁り始める。
俺が不思議そうに眺めていると、愛梨さんは鞄から東京の超有名なブランドのチョコレートを取りだした。
「これ、空港限定で販売してたんだけど、よかったら大空ちゃんにあげるよ」
「え、本当ですか?」
「うん、可愛い妹さんにはチャントサービスしておかないとね!」
あざとくウインクをする愛梨さんは、チラっと俺の方を見た。
「本当ですか?? ありがとうございます!!」
先ほどの反応から手のひらを返したように、大空はキラキラと目を光らせながらそのチョコレートを愛梨さんから受け取った。都内の高級ブランドもので、母親と妹を釣るとは……愛梨さん恐るべし……。
「お兄ちゃん、こんな美人のお姉さんどこで手に入れたの?」
「こら大空、変な言いがかりはよせ」
「こんなお兄ちゃんですが、今後もよろしくお願いします」
大空は、丁寧に深々と愛梨さんへ頭を下げた。
「これから色々とお世話になることがあると思うけど、これからよろしくね、大空ちゃん!」
「はい! ねぇねぇ、お兄ちゃんこれ今食べてもいい?」
「え? あ、あぁ……お客さんいるから、厨房へ行ったら食べてもいいぞ」
「やったぁー!!」
嬉しそうにチョコレートの箱を持ちながら、大空は厨房へと消えていった。
にしても大空ちゃん、東京の高級チョコレートで手のひら返すのは、チョコだけにチョロっと甘過ぎませんかね? お兄ちゃん、大空が変な人にヒョイヒョイついて行っちゃうんじゃないかって心配になって来た。
そんな大空の姿を見送り、再び顔を戻してじとっとした視線を愛梨さんに向ける。
愛梨さんと目が合うと、肩をすくめて、どうしたの? と、いったような表情をしていた。
「愛梨さんって、結構計算高いんですね……」
「失礼な、大地君を落とす前に、まずは周りからの信頼を得るのは当然のことよ」
「あぁ……そうですか……」
俺はもうなんか色々と呆れかえって、苦笑いを浮かべながら返事を返すことしか出来なかった。
「ありがとう」
愛梨さんをテーブル席に案内して、俺は愛梨さんの座っている前に、グラスのお冷を置いた。愛梨さんは平然とした様子でメニューを見ながらどれにしようかと悩んでいる。
「うーん、どれにしようかな……大地君のおすすめはどれ?」
「その前に、一つ聞いていいですか?」
「うん、何?」
愛梨さんはキョトンとしながら首を傾げてる。
「なんでこんなところにいるんですか?」
「それは、大地君に会いに来たに決まってるじゃん」
当たり前のように愛梨さんはそう言い放った。
「いや、会いに来たって……俺が帰省してるって教えたの、昨日ですよね?」
「そうだけど?」
あっけらかんとした表情を浮かべる愛梨さん。
「俺、お店の名前は教えましたけど、場所教えてないですよね?」
「そんなの、ネットで検索したらすぐ住所くらい出てくるわよ」
「あぁ……そうですか……。で、でも、なんでわざわざそんなことまで調べて、ここに来る必要があったんですか?」
「そりゃだって、私にとって特別な存在の大地君なんだから当たり前じゃない! 今日サークルで会えると思って楽しみにしてたのに、大地君が帰省してるっていうから、それなら大地君のところに合いに行っちゃえばいいじゃんって!」
「いや、その発想はどう考えてもおかしいですよね!?」
「おかしくないよ、気持ちさえあれば、人どんな困難だって乗り越えられるのよ! むしろここまで会いに来た私をほめてほしいくらいだわ。飛行機取るの本当に大変だったんだからね!」
「いやいやいや、褒めるわけないでしょ! ってか、お店に来ても、俺がいるとは限らないわけですし!」
今日はたまたまいたけれども……!
「なんかここに大地君がいるような気がしたのよ。女の勘ってやつかな? やっぱり私たちって運命なのかも!?」
「はいはい、そうですね」
俺は思わず眉根を抑えて、ため息をついた。愛梨さんの行動力に度肝を抜かれる。
未だに愛梨さんの言う特別という言葉の意味を直接聞いてはいないが、ここまでされると、逆に驚きと嬉しさを通り越して呆れるまである。
「えーつまんないの。じゃあ大地くんは、私が来てくれて嬉しくないの?」
ムクっと頬を膨らませて愛梨さんは抗議した目を送ってくる。
「そっ、それは……その……」
俺が思わず言葉に詰まってしまうと、ニヤニヤと意地悪めいた笑みを浮かべている愛梨さんの顔が、視界の端に見えた。
「その、嬉しくない……わけではないですけど……」
「ふふん、ほらやっぱりうれしいんじゃん。素直じゃないんだから!」
そう言って、愛梨さんはバシッと俺の背中を叩く。
「はぁっ……」
俺は思わずため息をついて、話を切り替えてテーブルの上に広げられているメニューへ視線を移した。
「おすすめはビーフシチューとハンバーグのランチセットです」
「おっ、じゃあ、それにしようかな!」
愛梨さんもメニューを見て、それを指差して注文する。
「かしこまりました、少々お待ちください」
俺はするするっと伝票に注文内容を書いて、愛梨さんの元を離れ、厨房へと戻る。
「ビーフシチューとハンバーグのランチセット一つで」
厨房へと戻ると、母親がにやけた表情で言ってきた。
「はーい、あんた、いい女の子拾ってきたわね」
「うるせぇ」
母親は手で口元を隠しながら、ニヤニヤとした表情を俺に向けてから調理へと取り掛かった。
ようやく愛梨さんから解放されて肩の力を抜いてため息をつくと、ごごごごっという圧力を感じてばっと振り返る。そこには、大空が眉根を引きつらせて俺の前に立っていた。
「お兄ちゃん……」
「お、おう……どうした大空」
大空は口角を上げてニコっと作り笑いを浮かべて俺を見つめてくる。だが、目は全く笑っていない。
「お兄ちゃん、あの女の人とは……どういう関係なのかな?」
「ど、どういう関係といわれても……サークルの先輩としか……」
「へぇー、それにしては随分と仲良さげに話してたよね?」
怖いよ、大空ちゃん怖い! 特に目からハイライトが消えてるよ!?
「私はね、女作るために向こうへお兄ちゃんを渋々送りだしたわけじゃないんだよ、わかってる?」
知らないよ? お兄ちゃん、妹をこんなヤンデレ属性に育てた覚えはないよ?
俺は厨房から逃げるようにホールへと逃げる。
「あ、ちょっとお兄ちゃん!?」
ホールへ逃げた俺を、大空が必死になって大空が追いかけてくる。
俺はお客さんの迷惑にならないよう、ホールを素早く歩いて接客する風に歩いたが、小走りで走って来た大空に腰を掴まれて捕まってしまう。しかも運悪く、愛梨さんの目の前で捕まってしまった。
「あら、大地くん? その子は?」
愛梨さんが興味深そうに、俺の後ろにひっついている妹を見つめた。
「あぁ……えっと紹介します。妹の大空です。ほら、大空ちゃんと挨拶して」
俺が促すと、ムスっとした顔で渋々前へ出た。
「妹の南大空です」
「おいっ! すいません、今ちょっと機嫌を損ねてまして……イッテ!」
大空に思いっきり足を踏まれた。
そんな俺たちの様子を見て、愛梨さんはパァっと表情を明るくした。
「可愛い妹さん! あ、そうだ!」
すると、愛梨さんは何か思い出したように鞄の中を漁り始める。
俺が不思議そうに眺めていると、愛梨さんは鞄から東京の超有名なブランドのチョコレートを取りだした。
「これ、空港限定で販売してたんだけど、よかったら大空ちゃんにあげるよ」
「え、本当ですか?」
「うん、可愛い妹さんにはチャントサービスしておかないとね!」
あざとくウインクをする愛梨さんは、チラっと俺の方を見た。
「本当ですか?? ありがとうございます!!」
先ほどの反応から手のひらを返したように、大空はキラキラと目を光らせながらそのチョコレートを愛梨さんから受け取った。都内の高級ブランドもので、母親と妹を釣るとは……愛梨さん恐るべし……。
「お兄ちゃん、こんな美人のお姉さんどこで手に入れたの?」
「こら大空、変な言いがかりはよせ」
「こんなお兄ちゃんですが、今後もよろしくお願いします」
大空は、丁寧に深々と愛梨さんへ頭を下げた。
「これから色々とお世話になることがあると思うけど、これからよろしくね、大空ちゃん!」
「はい! ねぇねぇ、お兄ちゃんこれ今食べてもいい?」
「え? あ、あぁ……お客さんいるから、厨房へ行ったら食べてもいいぞ」
「やったぁー!!」
嬉しそうにチョコレートの箱を持ちながら、大空は厨房へと消えていった。
にしても大空ちゃん、東京の高級チョコレートで手のひら返すのは、チョコだけにチョロっと甘過ぎませんかね? お兄ちゃん、大空が変な人にヒョイヒョイついて行っちゃうんじゃないかって心配になって来た。
そんな大空の姿を見送り、再び顔を戻してじとっとした視線を愛梨さんに向ける。
愛梨さんと目が合うと、肩をすくめて、どうしたの? と、いったような表情をしていた。
「愛梨さんって、結構計算高いんですね……」
「失礼な、大地君を落とす前に、まずは周りからの信頼を得るのは当然のことよ」
「あぁ……そうですか……」
俺はもうなんか色々と呆れかえって、苦笑いを浮かべながら返事を返すことしか出来なかった。
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