上京して一人暮らしを始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった
吉川さんの素顔(萌絵1泊目)
玄関の鍵穴に鍵を差し込んで、カチャっと施錠を解除して、玄関のドアを開けて、吉川さんを家に招き入れる。
「どうぞ、何もないですけど」
「お、お邪魔します」
ペコペコとしながら吉川さんは、恐る恐る玄関へ足を踏み入れた。
俺は部屋の明かりをつけて、吉川さんを迎え入れる。
「適当に荷物置いちゃってください」
「うん、ありがとう……」
吉川さんは脱いだ靴を綺麗に並べてから、くるっと部屋の方へと身体を向け、中をキョロキョロと見渡しながら「ほえー」っと興味深そうな声を出して歩いてきた。
「その……狭くて申し訳ないですが」
「いやいや、泊めてくれるだけも本当に感謝というかなんというか……本当にありがとう!」
深々と吉川さんは俺に向かって頭を下げた。
「まあ、色々事情があるみたいですし別にいいですよ。とりあえず、先にシャワー浴びてくるので、テレビとか見てて時間潰しててください」
「あっ、うん。わかった」
明日は俺も朝から大学だし、もてなしている暇はあまりない。
吉川さんにそう言い残して、俺はそそくさとお風呂場へと向かった。
◇
シャワーを浴びて部屋へ戻ると、吉川さんは自分の荷物を整理しているところだった。
黄色いリュックサックの中には、寝巻きや歯ブラシなどの宿泊用具がすでに入っていたようで、それらが机の上に並べられていた。どうやら、木曜日は頻繁にこのような事態が起こるようで、いつでも宿泊できるように準備を整えているらしい。
「上がったので、次どうぞ」
「あぁ、ごめんね。ありがとう」
吉川さんは寝間着を持って立ち上がり、シャワーの方へ向かって行く。
俺は吉川さんがシャワーを浴びている間に、来客用の布団と自分の布団を敷いて、就寝の準備を整えて、明日の準備を済ませておく。
準備を整えながら、頭の中で考えていたのは吉川さんの家庭の事情について。
吉川さんの用意周到な感じから見ても、こういったことは吉川家では頻繁に行われていることなのだろう。だが、家庭の事情というものに俺が安易に首を突っ込んでいいものではない。
だからそこ『泊っていきませんか』と俺は口走ったのだろう。吉川さんに非は全くないのだから、少しでも力になって助けてあげたい、そう言った気持ちが俺の中にあったから。
そんなことを考えていると、オレンジ色のバスタオルで髪を拭きながら、吉川さんがお風呂から出てきた。
「お風呂ありがとう!」
「いえいえ。狭くてすいま……せ……」
俺はお風呂上がりの吉川さんを見て驚いた。化粧を落としてすっぴん姿になった吉川さんは、いつもの大人びた雰囲気は微塵もなく。小顔の丸い顔に綺麗な鼻筋、唇がプリっとした可愛らしい顔立ちへ変貌を遂げていた。
「いやいや、全然平気、平気! って、どうしたの? そんな驚いた顔して?」
あどけない表情で吉川さんがキョトンと首を傾げる。その表情から見ても、吉川さんは俺よりも年上の女性とは到底思えなかった。
「あの、大変失礼なこと聞いたら申し訳ないんですけど」
俺は敬語になりながら恐る恐る質問をしてみた。
「吉川さんっておいくつなんですか?」
俺がそう尋ねると、吉川さんは「あ~」と何やら納得したような声を漏らした。
「えっとね、十八歳」
「へっ……え!? 十八!? 同い年!?」
「あははっ……やっぱり、年上だと思ってたよね」
吉川さんは苦笑いした表情で髪の毛を拭いている。
「いやだって、ドラックストアで会った時はすごい大人びてて、てっきり年上かと……」
「あはは、よく言われるんだよね。私大人っぽいメイクしてるから年相応にみられなくてさ」
髪の毛をくしゃくしゃとタオルで乾かしながら、吉川さんはのんきにそう言った。だが、これは困ったぞ。
「同い年ということは……俺はこれからどう接して喋れば……」
「普通にため口でいいよ! それに、吉川さんって他人行儀な呼び方も辞めてさ、フランクな感じでいいって!」
髪を乾かし終えて、バスタオルを首に巻き、ニコニコしながら吉川さんが言ってくる。
「え、じゃあ。吉川?」
「ぶっ、なんで疑問形なの?」
俺の呼び方がおかしかったのか、クスクスと笑われた。
「普通に萌絵でいいよ。私も大地って呼ぶし」
仲のいい友達と喋っているかのような感覚で、吉川さんはフランクな口調で俺を呼んだ。
「わかった。じゃあ、改めてよろしく。萌絵」
「うん、よろしくね大地!」
あどけなさが残る表情で、ニコっと笑った彼女は、どこか優しさに包まれるような、そんな笑顔だった。
◇
早朝、まだ日が昇って間もない頃、玄関のドアを開けて、萌絵がくるっと振り返る。
「それじゃあ、泊めてくれてありがとねー」
「うん、またね」
ニコっとした笑顔で、可愛らしく胸元の前で手を振って、萌絵は俺の家を後にした。
玄関の鍵を閉めて、部屋へ戻ると、なんだが肌寒さを感じられた。
それにしても、まさか萌絵が同い年だとは思わなかったなぁ……。
あの後、萌絵が専門学校に通いながらアルバイトをしていることや、共通の好きなアーティストがいたことなどを話して、すっかり意気投合した。寝る頃には、もう名前呼びにぎこちなさはなくなっていて、完全に友達として打ち解けていた。
終いには、「また、こういう機会があったらうちに泊まりにおいでよ」っと完全に家に誘い込む口実を作るようにして、萌絵と連絡先まで交換していた。
たまには、萌絵のドラッグストアに顔を出して買い物をして様子を見に行こう。そう思う俺なのだった。
「どうぞ、何もないですけど」
「お、お邪魔します」
ペコペコとしながら吉川さんは、恐る恐る玄関へ足を踏み入れた。
俺は部屋の明かりをつけて、吉川さんを迎え入れる。
「適当に荷物置いちゃってください」
「うん、ありがとう……」
吉川さんは脱いだ靴を綺麗に並べてから、くるっと部屋の方へと身体を向け、中をキョロキョロと見渡しながら「ほえー」っと興味深そうな声を出して歩いてきた。
「その……狭くて申し訳ないですが」
「いやいや、泊めてくれるだけも本当に感謝というかなんというか……本当にありがとう!」
深々と吉川さんは俺に向かって頭を下げた。
「まあ、色々事情があるみたいですし別にいいですよ。とりあえず、先にシャワー浴びてくるので、テレビとか見てて時間潰しててください」
「あっ、うん。わかった」
明日は俺も朝から大学だし、もてなしている暇はあまりない。
吉川さんにそう言い残して、俺はそそくさとお風呂場へと向かった。
◇
シャワーを浴びて部屋へ戻ると、吉川さんは自分の荷物を整理しているところだった。
黄色いリュックサックの中には、寝巻きや歯ブラシなどの宿泊用具がすでに入っていたようで、それらが机の上に並べられていた。どうやら、木曜日は頻繁にこのような事態が起こるようで、いつでも宿泊できるように準備を整えているらしい。
「上がったので、次どうぞ」
「あぁ、ごめんね。ありがとう」
吉川さんは寝間着を持って立ち上がり、シャワーの方へ向かって行く。
俺は吉川さんがシャワーを浴びている間に、来客用の布団と自分の布団を敷いて、就寝の準備を整えて、明日の準備を済ませておく。
準備を整えながら、頭の中で考えていたのは吉川さんの家庭の事情について。
吉川さんの用意周到な感じから見ても、こういったことは吉川家では頻繁に行われていることなのだろう。だが、家庭の事情というものに俺が安易に首を突っ込んでいいものではない。
だからそこ『泊っていきませんか』と俺は口走ったのだろう。吉川さんに非は全くないのだから、少しでも力になって助けてあげたい、そう言った気持ちが俺の中にあったから。
そんなことを考えていると、オレンジ色のバスタオルで髪を拭きながら、吉川さんがお風呂から出てきた。
「お風呂ありがとう!」
「いえいえ。狭くてすいま……せ……」
俺はお風呂上がりの吉川さんを見て驚いた。化粧を落としてすっぴん姿になった吉川さんは、いつもの大人びた雰囲気は微塵もなく。小顔の丸い顔に綺麗な鼻筋、唇がプリっとした可愛らしい顔立ちへ変貌を遂げていた。
「いやいや、全然平気、平気! って、どうしたの? そんな驚いた顔して?」
あどけない表情で吉川さんがキョトンと首を傾げる。その表情から見ても、吉川さんは俺よりも年上の女性とは到底思えなかった。
「あの、大変失礼なこと聞いたら申し訳ないんですけど」
俺は敬語になりながら恐る恐る質問をしてみた。
「吉川さんっておいくつなんですか?」
俺がそう尋ねると、吉川さんは「あ~」と何やら納得したような声を漏らした。
「えっとね、十八歳」
「へっ……え!? 十八!? 同い年!?」
「あははっ……やっぱり、年上だと思ってたよね」
吉川さんは苦笑いした表情で髪の毛を拭いている。
「いやだって、ドラックストアで会った時はすごい大人びてて、てっきり年上かと……」
「あはは、よく言われるんだよね。私大人っぽいメイクしてるから年相応にみられなくてさ」
髪の毛をくしゃくしゃとタオルで乾かしながら、吉川さんはのんきにそう言った。だが、これは困ったぞ。
「同い年ということは……俺はこれからどう接して喋れば……」
「普通にため口でいいよ! それに、吉川さんって他人行儀な呼び方も辞めてさ、フランクな感じでいいって!」
髪を乾かし終えて、バスタオルを首に巻き、ニコニコしながら吉川さんが言ってくる。
「え、じゃあ。吉川?」
「ぶっ、なんで疑問形なの?」
俺の呼び方がおかしかったのか、クスクスと笑われた。
「普通に萌絵でいいよ。私も大地って呼ぶし」
仲のいい友達と喋っているかのような感覚で、吉川さんはフランクな口調で俺を呼んだ。
「わかった。じゃあ、改めてよろしく。萌絵」
「うん、よろしくね大地!」
あどけなさが残る表情で、ニコっと笑った彼女は、どこか優しさに包まれるような、そんな笑顔だった。
◇
早朝、まだ日が昇って間もない頃、玄関のドアを開けて、萌絵がくるっと振り返る。
「それじゃあ、泊めてくれてありがとねー」
「うん、またね」
ニコっとした笑顔で、可愛らしく胸元の前で手を振って、萌絵は俺の家を後にした。
玄関の鍵を閉めて、部屋へ戻ると、なんだが肌寒さを感じられた。
それにしても、まさか萌絵が同い年だとは思わなかったなぁ……。
あの後、萌絵が専門学校に通いながらアルバイトをしていることや、共通の好きなアーティストがいたことなどを話して、すっかり意気投合した。寝る頃には、もう名前呼びにぎこちなさはなくなっていて、完全に友達として打ち解けていた。
終いには、「また、こういう機会があったらうちに泊まりにおいでよ」っと完全に家に誘い込む口実を作るようにして、萌絵と連絡先まで交換していた。
たまには、萌絵のドラッグストアに顔を出して買い物をして様子を見に行こう。そう思う俺なのだった。
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