上京して一人暮らしを始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった
寛容かつ鋭い幼馴染(春香1泊目)
今日の春香は、家に着いても昼寝はせず、聞いて聞いてと言わんばかりに、大学であった出来事などを楽しそうに話してきた。
そんな話を俺が微笑ましく聞いていると、ふと気が付けば窓から覗く空は既にオレンジ色に染まっており、そろそろ夕食時の時間帯へと差し掛かっていた。
俺達は、そのまま一緒にキッチンで話の続きをしながら夕食を作った。
今机の上には、春香が作ったジャガイモのクリームチーズ焼きと、サラダ、そして、俺が作った焼き鮭と、いくらご飯が並べられていた。
  今日は、スーパーで北の大地フェアをやっており、二人で故郷を懐かしく思い購入したのだ。お互いに向かい合って座り、『いただきます』の挨拶を交わしてから食事にありついた。
久々に食べた地元の味はとても美味で、地元にいた時の記憶が蘇ってくる。
そこからは、しばらく高校の時の昔話で盛り上がり、話が切りのいいところでふと壁に掛かっていた掛け時計を見ると、時刻は夜の8時を回っていた。
春香がそろそろお暇する頃合いだろうと思っていると、春香が思い出したように声を掛けてきた。
「あ、そうだ。大地」
「ん?」
俺が振り返ると、春香は近くに置いてあったボストンバックを手でたたきながら言ってきた。
「今日泊まってくからよろしく」
軽い口調で、のんきそうに言ってきた。ボストンバックだったのはそういうことだったのかとようやく理解する。
まあ、実家にいた時も何か事あるごとに俺の家に泊まりに来ていたし、特に問題はない。むしろ、初めて来たときに泊まらなかったのか不思議なくらいの感覚だ。
「了解」
だから、俺はただ一言だけそう答えて、春香が泊っていくのをあっさりと許可した。
◇
俺は春香が泊まるのを許した時に気が付いていなかった、重大な欠点がある事に……。
ここは1DKの部屋、風呂場のドアを挟んでいるとはいえ、実家とは違い、シャワーの音がもろに聞こえてくるわけで……。
妙に生々しく感じてしまう幼馴染のシャワー音。
いや、何も起こらないと分かっているけども、この壁一枚挟んで、今春香がシャワーを浴びていると思うと、変に意識してしまう。
俺は何とか気を逸らそうと、スマホを操作したりしていたが、シャワーの音は勝手に耳に入ってくる。少し聞き耳を立ててみると、春香は鼻歌を歌いながら、心地よさそうにお風呂を満喫しているようだった。
そして、こんな時に限って、俺はトイレに行きたくなってきてしまった。
この部屋の構造上、トイレは風呂場の対面側。つまり、風呂場扉の前まで行かなくてはならない。
躊躇しているうちに、尿意はどんどんと迫り、ついに限界が近づいてきたので、俺は意を決してトイレ向かうことにした。
洗面所へ向かうと、お風呂から漏れてくる熱気が肌に伝わってくる。心なしか甘い香りも漂っているような気がした。俺は首を左右にブンブンと振って、煩悩を振り切る。
そして、慎重にトイレと風呂の分かれ道へ到着した。ちょっと風呂の方を覗くと、スラっとした綺麗な春香のシュルエットがドア越しに見えた。俺は、何かいけないようなものを見てしまったような気がして、すぐにトイレの方へ向き直り、ドアを開けて避難した。
すっきりしてトイレから出ると、シャワーの音は鳴りやみ、風呂場は静寂に包まれていた。春香はシャワーを浴び終えて、湯船に浸かっているようだ。
俺は足音を立てないように、その場から立ち去ろうとしたのだが、無情にも春香から声を掛けられてしまった。
「大地―!」
俺はビクっと心臓が飛び跳ねた。
どうしようとオロオロしていると、再び春香が声を掛けてくる。
「あれ、大地? そこにいるんでしょ?」
えっ、いるのばれてんの!? 俺は、生唾を飲みこんでから意を決して返事を返す。
「な、何……?」
「なんだ、いるんじゃん」
「なんでわかったの?」
「え? だってトイレでしょ? 流す音とドアが開く音聞こえたし」
マジか……慎重に音を立てずに行動したの意味ないじゃん……今度からはもっと気をつけよ。
「すまん」
「ん、何が?」
反射的に謝ってしまったが、春香は何に対して謝っているのか分かっていないようだ。
「いやぁ……そのぉ……」
俺が何といえばいいのか戸惑っていると、春香は俺が言おうとしていることを察したらしく、納得したような声を上げる。
「あーっ、もしかして私のお風呂に気使ってくれてた?」
「まあ……そんな感じだ」
「生理現象なんだから仕方ないっしょ。それに、別に扉越しで直に裸見られたわけでもないし、私は全然気にしないよ」
「そうか……」
「まあ、『トイレ入るよ』って一言くらい声掛けてほしかったかなぁー」
「わかった、今度からそうする」
春香の寛大さにほっと胸をなでおろす。理解ある幼馴染で助かった。
「あ、それでね、バスタオル忘れちゃったから貸してほしいんだけど」
春香が俺を呼び止めた本題を思い出したように頼みごとをしてきた。
「あ、おっけ。風呂の前に出して置いておくわ」
「ありがとう、よろしくー」
終始リラックスした様子で。春香は扉越しに挟んで俺がいることを全く気にすることなく、風呂を満喫しているようだった。
俺への信頼が厚いことはよく分かったが、逆にちょっと女の子としては恥じらいが足りないんじゃないかと思う、俺なのでした。
◇
春香が風呂から上がり、俺も風呂を順に済ませて。今はお互いに寝る支度を整えて、部屋の隅に畳んで出しっぱなしだった優衣さんを寝かせた来客用の布団と、自分の布団を横並びに敷いて寝る準備を整え終えたところだった。
布団を敷き終えると、春香は来客用の布団にダイブした。
「はぁっー、やっぱりお布団最高……!」
顔をフニャリと緩め幸せそうな表情で、春香はスリスリとお布団に顔を埋めていた。
「お前、本当に布団大好きだよな……」
「だって、私のベット本当に固いんだもん。首痛くなっちゃうから、この柔らかい感じの布団が、私には一番あってるの!」
そう言って、春香は再び布団へ顔を埋めた。すると、突然顔を布団から離して、眉根を寄せて険しい表情を浮かべたかと思うと、訝しむ様子でくんくんと布団の臭いを嗅ぎ始めた。
「大地……」
「ん、何?」
俺が自分の布団へ足を入れて寝っ転がろうとしていた時に、春香が声を掛けてきた。
「女の匂いがする」
「え?」
「この布団、別の女の匂いがするんだけど、もしかして昨日誰か女泊めた?」
俺は身体全体から脂汗が放出されるような感覚に陥った。
そうか、昨日酔っぱらった優衣さんを介抱して、寝かした布団をそのまま何もせずに畳んで放置しておいたから、まだ優衣さんの匂いが残ってるんだ!
鋭い目線で探りを入れてくる春香に対して、どう釈明したらいいか頭をフル回転させて考えた。そして、苦し紛れにそっぽを向きながら答える。
「昨日、男友達が家に泊まって、そこでジュース零したんだよ……多分、その匂いじゃないかな…一応、ちゃんと干しておいたんだけど」
俺がそう答えると、春香は訝しんだ表情を見せながら、もう一度布団の匂いを確認する。
「うーん。確かにジュースの匂いにも思えなくはないけど……」
春香は、納得いっていないような表情をしていたが、ふぅっと一息つくと、俺に向き直った。
「まあ、大地がそう言うなら信じるけど……ちゃんと今度からは気を付けなさいよ!」
「おう、わかったよ……」
よかった……納得してくれた……
けれど、俺は何故本当のことを言っても良かったにもかかわらず、優衣さんの事を隠そうとしたのだろうか?
別にやましいことをしたわけではないはずなのに……いやっ、多分あれだ。
不慮の事故とは言え、目を覚ましたら優衣さんのおっぱいの谷間に顔を埋めていたことが、俺の頭の中で潔白を証明できない不利な証拠になりえたから、どこかで制御が働いてしまい、真実を言えなかったのだろう、そうに違いない。
とにかく、今度からはちゃんと他の人が泊まった後は絶対リセェッシュをファブしよう、絶対に。
◇
春香に釈明した後、目覚ましをセットして部屋の明かりを消して仰向けに寝転んだ。
部屋は一気に静まり返り、近くを通る車の音だけが時々聞こえてくるだけだ。
「……ねぇ大地、起きてる?」
すると、春香が声を掛けてきた。
「ん……どうした?」
「あのさ……」
何かを言いかけて、そのまま春香は黙ってしまう。
「なんだよ?」
俺が我慢しきれずに尋ねると、春香はか弱い声で言葉を紡いだ。
「その……来週以降もさ、火曜日泊りに来ていい?」
「えっ……なんで?」
「やっぱり布団で寝たくて……あはは……」
「お前な……」
ホント、俺の家をなんだと思ってるんだ……。
呆れてこれ以上言葉も出ないが、今までもこうして寝泊りしていた春香を断る理由は特になかった。
「お前の好きにしろ」
そう春香に言い残して、俺は寝返りを打った。
しばらく目を瞑って耳を澄ましていると、徐々に眠気が襲って来た。眠りに吸い込まれていき、意識が朦朧とした頃。
「うん、わかった」
と春香の返事が微かに聞こえてきて、俺は眠りについた。
そんな話を俺が微笑ましく聞いていると、ふと気が付けば窓から覗く空は既にオレンジ色に染まっており、そろそろ夕食時の時間帯へと差し掛かっていた。
俺達は、そのまま一緒にキッチンで話の続きをしながら夕食を作った。
今机の上には、春香が作ったジャガイモのクリームチーズ焼きと、サラダ、そして、俺が作った焼き鮭と、いくらご飯が並べられていた。
  今日は、スーパーで北の大地フェアをやっており、二人で故郷を懐かしく思い購入したのだ。お互いに向かい合って座り、『いただきます』の挨拶を交わしてから食事にありついた。
久々に食べた地元の味はとても美味で、地元にいた時の記憶が蘇ってくる。
そこからは、しばらく高校の時の昔話で盛り上がり、話が切りのいいところでふと壁に掛かっていた掛け時計を見ると、時刻は夜の8時を回っていた。
春香がそろそろお暇する頃合いだろうと思っていると、春香が思い出したように声を掛けてきた。
「あ、そうだ。大地」
「ん?」
俺が振り返ると、春香は近くに置いてあったボストンバックを手でたたきながら言ってきた。
「今日泊まってくからよろしく」
軽い口調で、のんきそうに言ってきた。ボストンバックだったのはそういうことだったのかとようやく理解する。
まあ、実家にいた時も何か事あるごとに俺の家に泊まりに来ていたし、特に問題はない。むしろ、初めて来たときに泊まらなかったのか不思議なくらいの感覚だ。
「了解」
だから、俺はただ一言だけそう答えて、春香が泊っていくのをあっさりと許可した。
◇
俺は春香が泊まるのを許した時に気が付いていなかった、重大な欠点がある事に……。
ここは1DKの部屋、風呂場のドアを挟んでいるとはいえ、実家とは違い、シャワーの音がもろに聞こえてくるわけで……。
妙に生々しく感じてしまう幼馴染のシャワー音。
いや、何も起こらないと分かっているけども、この壁一枚挟んで、今春香がシャワーを浴びていると思うと、変に意識してしまう。
俺は何とか気を逸らそうと、スマホを操作したりしていたが、シャワーの音は勝手に耳に入ってくる。少し聞き耳を立ててみると、春香は鼻歌を歌いながら、心地よさそうにお風呂を満喫しているようだった。
そして、こんな時に限って、俺はトイレに行きたくなってきてしまった。
この部屋の構造上、トイレは風呂場の対面側。つまり、風呂場扉の前まで行かなくてはならない。
躊躇しているうちに、尿意はどんどんと迫り、ついに限界が近づいてきたので、俺は意を決してトイレ向かうことにした。
洗面所へ向かうと、お風呂から漏れてくる熱気が肌に伝わってくる。心なしか甘い香りも漂っているような気がした。俺は首を左右にブンブンと振って、煩悩を振り切る。
そして、慎重にトイレと風呂の分かれ道へ到着した。ちょっと風呂の方を覗くと、スラっとした綺麗な春香のシュルエットがドア越しに見えた。俺は、何かいけないようなものを見てしまったような気がして、すぐにトイレの方へ向き直り、ドアを開けて避難した。
すっきりしてトイレから出ると、シャワーの音は鳴りやみ、風呂場は静寂に包まれていた。春香はシャワーを浴び終えて、湯船に浸かっているようだ。
俺は足音を立てないように、その場から立ち去ろうとしたのだが、無情にも春香から声を掛けられてしまった。
「大地―!」
俺はビクっと心臓が飛び跳ねた。
どうしようとオロオロしていると、再び春香が声を掛けてくる。
「あれ、大地? そこにいるんでしょ?」
えっ、いるのばれてんの!? 俺は、生唾を飲みこんでから意を決して返事を返す。
「な、何……?」
「なんだ、いるんじゃん」
「なんでわかったの?」
「え? だってトイレでしょ? 流す音とドアが開く音聞こえたし」
マジか……慎重に音を立てずに行動したの意味ないじゃん……今度からはもっと気をつけよ。
「すまん」
「ん、何が?」
反射的に謝ってしまったが、春香は何に対して謝っているのか分かっていないようだ。
「いやぁ……そのぉ……」
俺が何といえばいいのか戸惑っていると、春香は俺が言おうとしていることを察したらしく、納得したような声を上げる。
「あーっ、もしかして私のお風呂に気使ってくれてた?」
「まあ……そんな感じだ」
「生理現象なんだから仕方ないっしょ。それに、別に扉越しで直に裸見られたわけでもないし、私は全然気にしないよ」
「そうか……」
「まあ、『トイレ入るよ』って一言くらい声掛けてほしかったかなぁー」
「わかった、今度からそうする」
春香の寛大さにほっと胸をなでおろす。理解ある幼馴染で助かった。
「あ、それでね、バスタオル忘れちゃったから貸してほしいんだけど」
春香が俺を呼び止めた本題を思い出したように頼みごとをしてきた。
「あ、おっけ。風呂の前に出して置いておくわ」
「ありがとう、よろしくー」
終始リラックスした様子で。春香は扉越しに挟んで俺がいることを全く気にすることなく、風呂を満喫しているようだった。
俺への信頼が厚いことはよく分かったが、逆にちょっと女の子としては恥じらいが足りないんじゃないかと思う、俺なのでした。
◇
春香が風呂から上がり、俺も風呂を順に済ませて。今はお互いに寝る支度を整えて、部屋の隅に畳んで出しっぱなしだった優衣さんを寝かせた来客用の布団と、自分の布団を横並びに敷いて寝る準備を整え終えたところだった。
布団を敷き終えると、春香は来客用の布団にダイブした。
「はぁっー、やっぱりお布団最高……!」
顔をフニャリと緩め幸せそうな表情で、春香はスリスリとお布団に顔を埋めていた。
「お前、本当に布団大好きだよな……」
「だって、私のベット本当に固いんだもん。首痛くなっちゃうから、この柔らかい感じの布団が、私には一番あってるの!」
そう言って、春香は再び布団へ顔を埋めた。すると、突然顔を布団から離して、眉根を寄せて険しい表情を浮かべたかと思うと、訝しむ様子でくんくんと布団の臭いを嗅ぎ始めた。
「大地……」
「ん、何?」
俺が自分の布団へ足を入れて寝っ転がろうとしていた時に、春香が声を掛けてきた。
「女の匂いがする」
「え?」
「この布団、別の女の匂いがするんだけど、もしかして昨日誰か女泊めた?」
俺は身体全体から脂汗が放出されるような感覚に陥った。
そうか、昨日酔っぱらった優衣さんを介抱して、寝かした布団をそのまま何もせずに畳んで放置しておいたから、まだ優衣さんの匂いが残ってるんだ!
鋭い目線で探りを入れてくる春香に対して、どう釈明したらいいか頭をフル回転させて考えた。そして、苦し紛れにそっぽを向きながら答える。
「昨日、男友達が家に泊まって、そこでジュース零したんだよ……多分、その匂いじゃないかな…一応、ちゃんと干しておいたんだけど」
俺がそう答えると、春香は訝しんだ表情を見せながら、もう一度布団の匂いを確認する。
「うーん。確かにジュースの匂いにも思えなくはないけど……」
春香は、納得いっていないような表情をしていたが、ふぅっと一息つくと、俺に向き直った。
「まあ、大地がそう言うなら信じるけど……ちゃんと今度からは気を付けなさいよ!」
「おう、わかったよ……」
よかった……納得してくれた……
けれど、俺は何故本当のことを言っても良かったにもかかわらず、優衣さんの事を隠そうとしたのだろうか?
別にやましいことをしたわけではないはずなのに……いやっ、多分あれだ。
不慮の事故とは言え、目を覚ましたら優衣さんのおっぱいの谷間に顔を埋めていたことが、俺の頭の中で潔白を証明できない不利な証拠になりえたから、どこかで制御が働いてしまい、真実を言えなかったのだろう、そうに違いない。
とにかく、今度からはちゃんと他の人が泊まった後は絶対リセェッシュをファブしよう、絶対に。
◇
春香に釈明した後、目覚ましをセットして部屋の明かりを消して仰向けに寝転んだ。
部屋は一気に静まり返り、近くを通る車の音だけが時々聞こえてくるだけだ。
「……ねぇ大地、起きてる?」
すると、春香が声を掛けてきた。
「ん……どうした?」
「あのさ……」
何かを言いかけて、そのまま春香は黙ってしまう。
「なんだよ?」
俺が我慢しきれずに尋ねると、春香はか弱い声で言葉を紡いだ。
「その……来週以降もさ、火曜日泊りに来ていい?」
「えっ……なんで?」
「やっぱり布団で寝たくて……あはは……」
「お前な……」
ホント、俺の家をなんだと思ってるんだ……。
呆れてこれ以上言葉も出ないが、今までもこうして寝泊りしていた春香を断る理由は特になかった。
「お前の好きにしろ」
そう春香に言い残して、俺は寝返りを打った。
しばらく目を瞑って耳を澄ましていると、徐々に眠気が襲って来た。眠りに吸い込まれていき、意識が朦朧とした頃。
「うん、わかった」
と春香の返事が微かに聞こえてきて、俺は眠りについた。
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