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合同籠球マネージャー

さばりん

第68話 夫婦

俺と梨世の部屋は8畳ほどの1室だった。
真ん中に机が置かれており、灰皿とパックのお茶の袋が置かれているだけの殺風景な部屋だった。

「へぇ~二人部屋にしては結構広いね。」
「そうだな。」

梨世はキョロキョロと部屋を眺めていた。俺は適当に相槌を打ち、松葉杖を下ろして腰を下ろす。

「あぁ、私が手伝うから。」

梨世は自分の荷物を下ろしてそのまま俺の元へ駆け寄って来て、座らせるのを手伝ってくれた。

「おぉ、わるい。」
「はい!」

梨世の手を借りて座布団の上に座った。
俺が問題なく座れたことを確認すると再び自分の荷物の元へと向かっていった。

「大樹の荷物も奥に移動させるよ。」
「おう、すまんな。」

梨世がせっせかと俺の荷物を動かしてくれていた。
なるほど…確かに梨世なら文句ひとつ言わずに俺の世話をしてくれるし、相部屋はある意味最適だったのかもしれないな。
俺は机においてあったパックのお茶を手でちぎって開封しながら梨世の働きぶりを眺めていた。
すると、梨世は俺がお茶を飲もうとしていることに気がづき、ささっと机の横に置いてあったポットの中身を確信する。

「ポットにお湯入ってないから水入れて沸かしてくる。」
「お、おう。サンキュ。」

梨世はポットを持ってテクテクと水道の方へ歩いていった。
しばらくしてポットに水を入れて梨世が戻り、コンセントにポットの電源を差し込んで、お湯を沸かし始めてくれた。
ようやく梨世もひと段落したようで俺の机の向かい側に座る。

「ふぅ…やっと一息…」

梨世はダラーンと手を机において突っ伏した。

「移動結構時間かかったもんな。」
「そうだね~」

結局午前中に地元を出たにもかかわらず。既に時刻はお昼の15時を回ろうとしていた。

すると、トントンと部屋のドアが叩かれる音が聞こえた。

「はい。」

梨世が声を掛けると鍵をしていなかったドアが開かれた。
ドアから現れたのは相沢さんだった。

「おう、準備は終わったみたいだね。」

俺たちが机の前に座ってくつろいでいる姿を見てそう判断したみたいだ。相沢さんはドアの入り口付近で立ち止り、話を続けた。

「この後、付近をランニングがてら、試合会場を見に行こうと思ってるんだけど、お前らはどうする?」
「相沢さんも走っていくんですか?」

俺が相沢さんに質問する。

「あぁ、そのつもりだよ。」

当たり前だとでもいうかのように相沢さんは答えた。若いな…思わずそんなことを思う。

「俺は走れないしなぁ…梨世はどうする?」

俺が梨世に問いかけると、顔を机から起き上がらせ、机に両肘を置いて、手に顔を乗せて、

「うーん。」

と考えていた。

「私は、大樹が一人でかわいそうなんで面倒見ておきます。」
「お前な・・・」

梨世はエヘっというような笑顔でそう言った。

「あはは…相変わらず仲がよくていいことだ。」

相沢さんは俺たち二人を見て微笑み、廊下の方へ足を向ける。

「じゃあ、他のメンバーは練習に行くけど、しばらく自由にしてていいから。あ、夕食前には帰って来て、向こうの中会議室でミーティングするからそれには参加してくれ。」
「はーい。」
「わかりました。」

俺たちが返事とすると、相沢さんはドアを閉めて、そのままトレーニングへと向かっていってしまった。
しばらく二人で暇な時間が訪れた。
俺が梨世の方を向くと、梨世と目が合った。

「どうする?」

俺が尋ねると、梨世は口を尖らせて上を向いた。

「うーん、とりあえずお茶飲んで考えよっか。」

梨世はフイっと立ち上がり、お湯が沸いたポットを机の上に持ってきた。
俺が空けたパックのお茶っ葉を急須にいれ、お茶を作りだした。
こうして、俺たちは何もすることなく、定年した老夫婦のようにのんびりとした時間を梨世とお茶を飲みながら過ごすのだった。

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