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合同籠球マネージャー

さばりん

第58話 連絡先

男子の第二試合も無事に終わり、今日の練習試合は終わりをつげた。

「ありがとうございました」

全員で持田さんに挨拶をする。着替えを済ませ、制服姿になっていた俺たちに持田さんが語り掛ける。

「こちらとしても、とても内容の濃い練習試合ができました。ありがとうございました」

一礼を済ませて、体育館の外へ向かうと、午前中に降っていた雨はやみ、夏の日差しが黒い雲の隙間から地上を照らしていた。
俺は外履きに履き替えていると、美優ちゃんに声を掛けられる。

「お兄ちゃん!」
「おう美優ちゃん」

俺が思いだし、嬉しそうな表情を浮かべてパタパタと走って来た美優ちゃんをガシッと抱き留める。美優ちゃんは俺のことをいつもお兄ちゃんと呼び。こうやって、いつも抱き付いて来て頭をなでなでして可愛がっていたものだなぁ~などと小学校時代のことを思い出す。

「じぃ~」
「じぃ~」

同時に二人の鋭い視線も気になる。そういえば、あいつらが抱き付いてくるようになったのって発端は美優ちゃんへの対抗心からだったっけかな…さらにどうでもいい小学校時代の出来事まで思い出してしまった。

「お兄ちゃん…あの…」

俺は抱き寄せていた美優ちゃんの体を離すと、美優ちゃんが体をモジモジさせている。

「どうしたの??」
「ライーン交換してますか…」

恥ずかしそうにほほを染めながら美優ちゃんは俺に聞いてくる。

「あぁ、そういえば美優ちゃんと会うの小学生以来だから、連絡先知らなかったね、いいよ」

俺は快く美優ちゃんとライーンの連絡先を交換した。

「おっけぃ」
「あの…お兄ちゃん…」
「ん?」

美優ちゃんは少しためらった後、にこりと笑った。

「また、一緒にバスケ…しようね。」

俺はにこりと笑い返して。

「うん、また一緒にやろう」

そういって美優ちゃんの頭を撫でる。
お人形さんみたいに可愛い美優ちゃんは、撫でられている間、じっと体を縮めながら気持ちさそうな表情をしている。
美優ちゃんはしばらく余韻に浸っていたが、はっ!っと現実に戻ってくると、「片づけがあるので」といって去っていってしまった。

「じぃ~」
「じぃ~」

振り返ると目の前ににらみつけてくる。梨世と静がいた。

「な…なんだよ…」
「なーんでもない。」
「別に…」

そう言い残して二人は外へ向かってしまった。

「瀬戸くん」

俺も外へ向かおうとしたところで、持田さんに呼び止められた。

「持田さん。今日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」

俺が一礼をすると、持田さんは優しく語り掛けてきた。

「これから、いいチームになっていきますよ、あなたのチームは」
「え?」

急に言われて、きょとんとしてしまい、上手く返事が返せないでいる。

「練習を初めて一週間でこのチーム力、彼女たちには大きな秘めた力を持っています。その力を引き出すことも潰してしまうことも出来るのが指導者としての大きな役割です。それを肝に銘じて今後とも強くていいチームを作っていってください」

持田さんは、俺に優しく語り掛けるように指導者としての心得を教えてくれた。俺はその言葉をありがたく受けとり。

「はい、精進してまいります」

と、もう一度頭を下げたのであった。

こうして大きな収穫と課題を持ち帰り、川見・城鶴高校女子バスケットボール合同チーム初の練習試合は幕を閉じたのであった。

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