合同籠球マネージャー

さばりん

第56話 空回り梨世のハプニング

形原と渡辺は、この一週間の練習の成果を発揮してみせた。
残るは梨世と本田だ。

本田は息が上がっているものの、まだ体をピンと伸ばして、試合に集中出来ている。まだ、大丈夫そうだなと安心する。となると最後は…
渡辺がフリースローを放つ。リングに当たり外れたものの、見事に静がリバウンドを成功させボールを回収する。

「静!」

すると、梨世が一気にゴール前へ走りこむ。
静は走りこんできた梨世にパスを送る。梨世はそのパスを受け取ると、スピードを上げ、そのままゴール前へ突っ込んだ!左足を踏み込んでジャンプすると相手選手は3人がかりで梨世を止めにかかる。梨世は空中で思いっきり左手からボールを離した。勢いに乗ったボールはゴールボードに当たり、そのまま・・・リングにかすりもせずに、大きく跳ね返って転がっていった。

「力みすぎだバカ!」
「はぁ」
「あはは…」

倉田と黒須まで苦笑していた。
浮島高校のボールとなり全員が自陣に戻る。
相手は速攻に持っていこうとしたものの、本田の厳しいチェックに合い、中々責めることが出来ない。
その後、全員が自陣についてハードワークを徹底して浮島高校を攻め込ませない!

相手の攻撃は機能不全に陥り、24秒オーバータイムギリギリになったところで、投げやりにシュートを放った。ボールはリングに当たり跳ね返り、落ちてきた。そのボールをリバウンドしようと、必死に形原が手を伸ばした。
しかし、無情にも形原の手を弾いたボールは、合同チームのベンチの方へと転がってくる。
相手ボールか…そう思った時だった。梨世がベンチの前までものすごいスピードで駆け寄って来て、すでにコートの外に出かかっていたボールをジャンプしてキャッチする。

「梨世!」

すると本田が走りこんでいた。梨世は本田が走っている方へ体勢を崩しながら本田へパスを送る。
その時、俺は梨世がボールを必死に追いかけているを見て、瞬時に体が反応して片足で、必死に梨世が追いかけているボールの方へ向かっていた。
危ない!梨世はこのままだとベンチのパイプ椅子に激突する。

「間に合え!」

そう叫びながらパスをして体のバランスを崩した梨世を、俺の体で必死に受け止めた。
そのまま俺たちは、ベンチのパイプ椅子にぶつかり、椅子がひっくり返るのと同時に俺たちもひっくり返った。
梨世から、本田はパスを受け取ると一目散にゴールへ向かってドリブルを仕掛けていく。
相手選手をバックターンで一人かわしてシュートへ持っていく。相手選手も懸命に手を伸ばすが、本田はレイアップシュートを打つと見せかけて、空中でボールをおなかの横あたりで抱えてゴールを通り過ぎる。ゴールを一度通り過ぎて、再びゴールへ右手を伸ばしてボールを放った。
本田の見事なダブルクラッチシュートが決まる。ナイスシュートという黒須達の声と共に俺は目をあけた。

「いたたたたぁぁ…」

俺は痛めている膝の痛みに耐えながら、梨世を受け止めているのを確認する。よかった、無事みたいだ。俺が安心していると、なにか柔らかいものに右手が触れていることに気づく。
俺はその柔らかいモノをもう一度さわる。

「あんっ」

すると甘い声が梨世から聞こえるのがわかった。もしかして…これって…
俺は受け止めたときに梨世を抱き寄せたところまではよかったのだが、吹っ飛んだ勢いで、右手で梨世の控え目な美乳を鷲掴みにしており、左手では梨世の白くスラーっとした太ももをズボンの中に食い込む形で直につかんでいたのだ。

「いやぁ…くすぐったい…」

梨世が俺の腕の中で悶えている。

「あなたたら…試合中まで夫婦漫才やらないでもらえるかしら」

ベンチにいた倉田が冷たい目線でこちらを見てくる。
状況を把握した俺はすぐに倉田に反論する。

「ち、違うんだよ、それは不可効力で…」

再び腕に力を入れてしまう。

「あっ!」

梨世はエロ可愛い喘ぎ声を出した。

「早く離してあげたら?」

黒須が言ったように、抱き寄せていた両腕をパッと離してあげると、梨世は俺の方にクルっと向き替えり、顔を真っ赤に赤面しながら俺の頬をめがけて渾身のビンタをお見舞いした。

「いってっぇ!!」

俺が悶絶していると梨世は立ち上がり。

「変態!試合中に私の胸揉むなんて何考えてんのよ!」

梨世は恥ずかしそうに胸を両手で押さえながら顔を真っ赤にしながら俺に言う。

「いやぁ、だからあれは不可抗力で…」

梨世はプンスカ!っと怒ったような表情を見せたかと思うと、そのまま俺の方から体の向きをコートの方へ向けて、試合に戻っていく。
しかし、再びこちらを振り返ると…

「エッチ」

と言い残して、コートへと戻っていったのであった。

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