話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

合同籠球マネージャー

さばりん

第35話 美優ちゃん

相沢さんがスット上に上げたボールに、タイミングよく両チームの選手がジャンプをする。
勝ったのは静。
見事にボールを弾き黒須がボールをキャッチした。

第一クォーター開始、タイマーが動き出す。
黒須には相手チームの船木さんがマークについた、どうやら船木さんもポジションはガードらしい。
黒須は相手陣内までボールをゆっくりと運んでいく。
セットポジションに梨世たちが着き、攻撃を開始する。

黒須は相手選手を振り切った梨世へのパスを選択せずに、一気にゴール前へ高めの鋭いパスを送る。
もちろんあんなに高いパスが届く選手は一人しかいない。

空中でボールを受け取った静は、しっかりと両手でボールを掴み着地してゴールの位置を確認すると。迷わずにもう一度ジャンプしてゴールへシュートを放つ。ボールはリングのボードに当たり跳ね返り、見事にゴールに吸い込まれ、幸先よく先生に成功する。

「よし、いいぞ静!」

俺が拍手を送る。

相手の浮島高校の攻撃、俺たち合同チームのディフェンスは、全員が自陣に戻って、相手を待ち構えるハーフコートのマンツーマンディフェンスを基本的に行う。

相手チームは船木さんが、ゆっくりとボールをこちらの陣内へ運んでくる。
黒須は船木さんと一定の距離を取りながらボールの出所を伺っている。

スリーポイントあたりまでボールを持ってきた船木さんに、黒須はシュートを警戒して少し距離を縮める。
その時だった、相手が近づいてくるのを待っていたかのように素早いドリブルを船木さんは開始する。
黒須は半歩反応が遅れてしまい、置いていかれそうな状態になる。
すぐさま、近くでディヘェンスをしていた渡辺がカバーへ入る。それを見逃さなかった船木さんはすぐに渡辺が付いていた選手へパスを送る。

パスを受けた選手はフリーでボールを受け取りゴール前へ一直線にドリブルをしていく。
渡辺が必死に追いかけるが、間に合わない。
今度はゴール前で静がカバーに入る。
それを見た選手は、すぐさま静がマークしていたはずの選手にパスを出した。
受け取った選手はノーマークでゴール前でのシュートを落ち着いて決めた。
あっという間に2対2の同点にされてしまった。

この後、合同チームの攻撃は失敗し、浮島高校の攻撃。
先ほどと同じように船木さんが攻撃を仕掛けて、ディヘェンスがカバーに来たところでノーマークになった人へパスを送り、ボールを回しながらノーマークの選手をゴール前で作りだす攻撃を徹底している。

またも、静がカバーに行ったところでゴール前へノーマークの選手が生まれ、シュートを放つ。これが決まり。2対4とされてしまった。

「黒須!もう少しディフェンスの時に間隔あけていいぞ!」

俺が黒須に指示を出すと、黒須はコクリと頷き攻撃に向かっていく。
今度は黒須がドリブル突破をそのまま仕掛けていった。船木さんは必死に食らいつき、突破を阻む。
黒須は一度スピードを緩めたと見せかけて、もう一度一気に抜きにかかった。しかし、船木さんはそれを完全に読んでいた。コースに入りこみ二人が衝突する形になる。

ピッ!っと笛がなる。

「オフェンス黒5番」

黒須がオフェンスファールを取られてしまった。
船木さんディフェンスも上手いな…俺は椅子に座り腕を組みながら顔をしかめる。

相手ボールになり再びのディフェンス、船木さんがボールを運んでくる。

黒須は先ほど俺が指示を出したように、先ほどより少し相手との距離を取り、抜かれないようにディフェンスをしている。
それをすぐに察した船木さんは、スリーポイントラインまで来ると迷わずにジャンプしてシュートモーションに入る。

「なっ!」

両手で構え、頭の後ろまで大きく手を後ろに反らして投げ下ろすように放たれたそのシュートは、低い弾道ながらも一直線にゴールへ向かっていき、スパッ!っという音と共に決まる。

「まさか…美優みゆちゃん」

そうだ、あの独特の構えから投げ下ろすようなスリーポイントシュート…間違えない、完全に思い出した・・・間違えなく俺が教えたシュートだ。あのシュートを教えた子は俺が知ってる限り一人しかいない…

木下美優きのしたみゆ…俺が小学生時代に一緒にバスケットをやっていた女の子。
一つ上の学年だった俺と航一はよく背の小さい美優ちゃんに遠くからのシュートが届く方法を教えてあげていたのだ。

「大樹…あの子って…」

航一も思いだしたようで俺に驚きながら顔を向けてきた。

「あぁ、おそらくというか間違えない…美優ちゃんだ」

あの独特のシュートモーションは、俺たちが当時力のなかった美優ちゃんに教えた秘伝のシュートだ。

「すげーめちゃくちゃな投げ方なのに入るんだよなあれが・・・」
「苗字も変わってたし、すごく大人びて成長してたから、さっきまでわからなかったけど、間違いない」

俺は冷や汗をかきながら、美優ちゃんを見つめる。

「梨世、黒須とディフェンスのマーク変われ!」
「おっけい!亜美ちゃんは7番ついて」
「わかった、梨世ちゃんは9番の子お願い」

ボールを運びながら、ディヘェンスのマークの確認を行う。
今後は、梨世が相手陣内へとボールを運んでいく。
すると、梨世についていたはずの相手選手が黒須に付いている。

「ぐっ!」

俺が思わずうめき声のようなものを発してしまった。
なぜならば、梨世をマークするのは…

「そちらがマークを変えるならこっちも同じ手で対抗すべし…対戦するの楽しみにしてたよ、梨世お姉ちゃん」

美優ちゃんは梨世に真っ向勝負を挑んできた。先ほどよりも強い闘争心が美優ちゃんからひしひしと伝わってくる。

「久しぶりだね、美優ちゃん…私も楽しみにしてたよ」

梨世はドリブルを突きながら対戦を待ちわびていたかのように微笑んでいた。

梨世対美優ちゃんの一対一が始まった。

「合同籠球マネージャー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く