合同籠球マネージャー
第32話 問題児とお兄ちゃん
試合開始1分で6点差を付けられ、川見高校が早くも1回目のタイムアウトを要求した。
川見高校がしたい速攻を、逆に浮島高校にやられてしまっている厳しい展開。
「これは、手ごわいな…」
俺がそんな独り言をつぶやいていると
「あの…」
一人の少女から声を掛けられた。それは船木さんだった。
「イス使いますか??」
船木さんはパイプいすを一つ俺の元へ運んで来てくれていた。どうやら松葉杖で立ちっぱなしで試合を見ていた俺に気づいて持ってきてくれたらしい。
「あぁ、ありがとう」
俺は、船木さんが持ってきてくれたパイプいすに座る。
「そっちの男子の4番は1年生?」
「え!?」
船木さんは急に質問をされて驚いたようで、手を胸の前に置きおどおどしていた。
「あぁ、ごめん急に質問しちゃって…」
俺が船木さんをなだめると少し落ち着いた。
「あ、いえ、私こそすみません。ちょっとビックリしちゃって…」
そんな会話をしていると男子コートの方から鋭い視線が注がれる。
コートの方を見ると、梨世と静がこちらを睨みつけていた。
俺は二人の視線に苦笑の笑みを浮かべる。
「えっと。男子の4番っていうと上田くんのことですよね??」
「え?あぁ、えっと名前はわからないんだけど…今4番のゼッケンで試合出てる人。」
「違うよ。上田くんは二年生です。」
「え?二年?前に練習試合やった時にあんなやついたっけな??」
俺が不思議そうに思っていると船木さんが重苦しそうに答える。
「上田くん、うちの高校でも有名な問題児で…こないだまで停学処分になってて、学校に復帰したばかりなんです…」
「そうなのか」
「部活サボる癖もあるから、今まで顔を合わせなかったのも無理ないかもしれないね…」
おかっぱの髪の毛をくるくると手でいじりながら、船木さんは俺の質問に答えてくれた。
「なるほどな…通りで初めてみる顔だと思ったわけだ…」
「あの…大樹おに…瀬戸先輩は…」
「ん?」
「あ、いや…その…先輩はどうして女子バスケ部のコーチに??」
「あ、あーまあ、俺は…怪我でバスケが出来なくなっちまったのが要因だけど…」
船木さんが、俺の話を聞き入るように前かがみになりながら熱心に耳を傾けている。
「一番は…あいつらと、バスケで経験したすべての出来事を共有してやりたい…そして、なんとしても勝たせてあげたい。そういう気持ちが一番大きかったかな」
俺はコートの向こう側にいる梨世を見ながら船木さんに語っていた。
「って、ごめんごめん。なんか変なこと言っちゃって…」
「あ、いや、私から聞いたことだから…」
「あ、そう?ならいいんだけど。」
「ホント昔から変わってないんだねお兄ちゃんは…」
「え?今なんか言ったか?」
「あ、いえ、なんでも…それでは練習に戻りますね!」
「え?あ、うん…あ、椅子ありがとうね!」
船木さんは恥ずかしそうにしながら俺のお礼も耳に入ってなかったのか、そのまま戻っていってしまった。
「??」
やっぱりどこかで見たことある気が・・・それに俺のことお兄ちゃんって…
俺が首をかしげていると、またコートの方から梨世たちの鋭い目線を感じた。
「はぁ、罪な男ね全く」
「どわっ!なんだ、びっくりした倉田か」
背後には倉田が、ため息をつきながら呆れたように俺をさげすんでみていた。
怖い怖い…やめて倉田さん俺のライフがゼロになっちゃう。
「ストレッチ終わったんだけど。なんかやっておいた方がいい?」
倉田が俺に聞いてくる。
「え?」
俺が後ろを振り返るとストレッチを終えた渡辺達が手持無沙汰と言ったようににボーっとしていた。
「じゃあ、せっかくだし2対1の練習とドリブルシュートの練習をブロックする人つけてそれぞれやってくれ」
「わかったわ」
倉田はそういうと他の四人を集合させて、練習を始める準備に取り掛かってくれた。
俺がそうこうしている間にタイムアウトは終わっており、気が付けば6対6の同点になっていた。航一が決めたのか??と思いきや、センターの筒香先輩が3連続ホームラ…じゃなくて3連続得点を決めたらしい。
ここから川見高校は遅攻で3年生中心に攻撃を組み立てていく。筒香先輩が得点を取り、高橋先輩のここぞというスリーポイントシュートなどが決まり点数を重ねていく。
しかし、相手の上田を中心とした速攻は止まることなく続き。第一クォーター終了時点で16対27と約10点差を付けられる苦しいスタートとなっていた。
第二クォーター。メンバーを変えずに望んだ川見高校の速攻攻撃が徐々に開花する。
相手のシュートが外れ、これを筒香先輩がリバウンドでボールを回収する。そのボールをすぐさま高橋先輩が受け取り、走っていた航一にパス。航一は二人に囲まれながらも、浮き球のパスをゴール前へ送る。待ち構えていた小野田先輩がノーマークでゴールを決める。
それぞ、川見高校男児バスケ部の速攻だともいえるような攻撃が炸裂するものの、遅攻になるとパスミスが散見され相手にまた速攻攻撃を食らってしまう。
第二クォーターが終了し、33対48とバスケットボールでは逆転できるギリギリの点差を言われている15点差を付けられて前半を終了した。
川見高校がしたい速攻を、逆に浮島高校にやられてしまっている厳しい展開。
「これは、手ごわいな…」
俺がそんな独り言をつぶやいていると
「あの…」
一人の少女から声を掛けられた。それは船木さんだった。
「イス使いますか??」
船木さんはパイプいすを一つ俺の元へ運んで来てくれていた。どうやら松葉杖で立ちっぱなしで試合を見ていた俺に気づいて持ってきてくれたらしい。
「あぁ、ありがとう」
俺は、船木さんが持ってきてくれたパイプいすに座る。
「そっちの男子の4番は1年生?」
「え!?」
船木さんは急に質問をされて驚いたようで、手を胸の前に置きおどおどしていた。
「あぁ、ごめん急に質問しちゃって…」
俺が船木さんをなだめると少し落ち着いた。
「あ、いえ、私こそすみません。ちょっとビックリしちゃって…」
そんな会話をしていると男子コートの方から鋭い視線が注がれる。
コートの方を見ると、梨世と静がこちらを睨みつけていた。
俺は二人の視線に苦笑の笑みを浮かべる。
「えっと。男子の4番っていうと上田くんのことですよね??」
「え?あぁ、えっと名前はわからないんだけど…今4番のゼッケンで試合出てる人。」
「違うよ。上田くんは二年生です。」
「え?二年?前に練習試合やった時にあんなやついたっけな??」
俺が不思議そうに思っていると船木さんが重苦しそうに答える。
「上田くん、うちの高校でも有名な問題児で…こないだまで停学処分になってて、学校に復帰したばかりなんです…」
「そうなのか」
「部活サボる癖もあるから、今まで顔を合わせなかったのも無理ないかもしれないね…」
おかっぱの髪の毛をくるくると手でいじりながら、船木さんは俺の質問に答えてくれた。
「なるほどな…通りで初めてみる顔だと思ったわけだ…」
「あの…大樹おに…瀬戸先輩は…」
「ん?」
「あ、いや…その…先輩はどうして女子バスケ部のコーチに??」
「あ、あーまあ、俺は…怪我でバスケが出来なくなっちまったのが要因だけど…」
船木さんが、俺の話を聞き入るように前かがみになりながら熱心に耳を傾けている。
「一番は…あいつらと、バスケで経験したすべての出来事を共有してやりたい…そして、なんとしても勝たせてあげたい。そういう気持ちが一番大きかったかな」
俺はコートの向こう側にいる梨世を見ながら船木さんに語っていた。
「って、ごめんごめん。なんか変なこと言っちゃって…」
「あ、いや、私から聞いたことだから…」
「あ、そう?ならいいんだけど。」
「ホント昔から変わってないんだねお兄ちゃんは…」
「え?今なんか言ったか?」
「あ、いえ、なんでも…それでは練習に戻りますね!」
「え?あ、うん…あ、椅子ありがとうね!」
船木さんは恥ずかしそうにしながら俺のお礼も耳に入ってなかったのか、そのまま戻っていってしまった。
「??」
やっぱりどこかで見たことある気が・・・それに俺のことお兄ちゃんって…
俺が首をかしげていると、またコートの方から梨世たちの鋭い目線を感じた。
「はぁ、罪な男ね全く」
「どわっ!なんだ、びっくりした倉田か」
背後には倉田が、ため息をつきながら呆れたように俺をさげすんでみていた。
怖い怖い…やめて倉田さん俺のライフがゼロになっちゃう。
「ストレッチ終わったんだけど。なんかやっておいた方がいい?」
倉田が俺に聞いてくる。
「え?」
俺が後ろを振り返るとストレッチを終えた渡辺達が手持無沙汰と言ったようににボーっとしていた。
「じゃあ、せっかくだし2対1の練習とドリブルシュートの練習をブロックする人つけてそれぞれやってくれ」
「わかったわ」
倉田はそういうと他の四人を集合させて、練習を始める準備に取り掛かってくれた。
俺がそうこうしている間にタイムアウトは終わっており、気が付けば6対6の同点になっていた。航一が決めたのか??と思いきや、センターの筒香先輩が3連続ホームラ…じゃなくて3連続得点を決めたらしい。
ここから川見高校は遅攻で3年生中心に攻撃を組み立てていく。筒香先輩が得点を取り、高橋先輩のここぞというスリーポイントシュートなどが決まり点数を重ねていく。
しかし、相手の上田を中心とした速攻は止まることなく続き。第一クォーター終了時点で16対27と約10点差を付けられる苦しいスタートとなっていた。
第二クォーター。メンバーを変えずに望んだ川見高校の速攻攻撃が徐々に開花する。
相手のシュートが外れ、これを筒香先輩がリバウンドでボールを回収する。そのボールをすぐさま高橋先輩が受け取り、走っていた航一にパス。航一は二人に囲まれながらも、浮き球のパスをゴール前へ送る。待ち構えていた小野田先輩がノーマークでゴールを決める。
それぞ、川見高校男児バスケ部の速攻だともいえるような攻撃が炸裂するものの、遅攻になるとパスミスが散見され相手にまた速攻攻撃を食らってしまう。
第二クォーターが終了し、33対48とバスケットボールでは逆転できるギリギリの点差を言われている15点差を付けられて前半を終了した。
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