話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

合同籠球マネージャー

さばりん

第30話 相手コーチと船木さん

バス停から7、8分歩いたところで県立浮島高校へ到着した。

俺たちは正門から入り、体育館へ到着する。体育館では浮島高校バスケ部の男子部員、女子部員がそれぞれ練習試合前のアップを開始してるところであった。

「大樹、ちょっとこっちに来てくれ!」

相沢さんに呼ばれ、バッシュに履き替えた俺は相沢さんの元へ急いで向かう。

「あぁ、そんなに急がなくていいよ!危ないから」

俺に気を使ってくれている。中年の白髪交じりの髪にぽっちゃりと太った優しい顔つきをした真ん丸の顔の方が相沢さんの隣にいた。

「こちらが、浮島高校顧問の持田もちださんだ」
「浮島高校顧問の持田と申します」

持田さんという男性は、丁寧に俺にペコリと頭を下げる。

「川見高校女子バスケットボール部コーチの瀬戸大樹せとだいきと申します。本日はよろしくお願いいたします」

持田さんが顔を上げる。

「いえいえ、こちらこそインターハイ前という重要な時期にこのような場を設けて頂き大変嬉しく思っております。」

俺は持田さんと握手を交わす。

「こちらこそ、女子の練習試合も組んでいただき、ありがたく思っております」

浮島高校とは選手時代に何度か練習試合をさせてもらっているので持田さんを何度か見たことはあったが、試合中の大きな指示を出している印象とは違い温厚そうなその性格に少し驚いた。やはり人間の印象って時と場合によって変わるものだな…とつくづく感じる。

「集合!」

持田さんが集合の合図をかけると一斉に部員たちがこちらへ駆け寄ってきた。

「今日の対戦相手の相沢監督と瀬戸コーチだ」
「気を付け、礼!」
「よろしくお願いします!」

俺たちに一斉に大きな声であいさつをしてくる。

「いえいえ、こちらそこ、どうぞよろしく」
「よろしくお願いします」

相沢さんって毎日こんな感じで部員たちに囲まれながら指示を出していたのか…と部員たちの人数に圧倒されつつ改めて相沢さんの偉大さを実感した。

「柏木、船木。それぞれ更衣室に案内してやってくれ。」
「はい、わかりました」

柏木といわれて出てきた少々髪の毛が長めの黒髪の170センチほどの男子。そして、船木と呼ばれて返事を返していた身長150センチほどで、おかっぱの髪を揺らしている少女が部員の方へ向かっていき。更衣室へと案内していく。
俺と相沢さんは体育館の横にある、一室へ案内される。
体育館につながっている3畳間ほどの細長い部屋には長机といくつかのパイプいすが置いてあり、体育教師が使うのであろう本などが散乱していた。

相沢さんはパイプ椅子に座りリラックスしている様子だった。
一方で、俺は部屋の様子をキョロキョロとしながら落ち着かない様子であった。

「お茶でもどうぞ」

持田さんが湯気だっている温かいお茶を差し出してくる。

「いただきます…」

俺は慣れない手つきでお茶をすする。

「いやー直接言うのが申し遅れましたが、インターハイ出場おめでとうございます」
「いえいえ、どんでもございません」

持田さんと相沢さんはインターハイ出場の話を始める。

「私も見に行きましたが、第4クォーターのあの大逆転は素晴らしいものでした」
「いえいえ、あれは私ではなくここにいる瀬戸をはじめ、選手たちのおかげですよ。本当に何もしていないです」

相沢さんは謙遜しながら持田さんと話を続ける。

「それにしても…瀬戸くんは残念でしたな…その怪我でインターハイは…」

持田さんが同情するように、俺の膝を見ながら語り掛けてきた。

「いえ、相沢さんのおかげでコーチとしてインターハイに連れていってくれますし。何より、僕にも新しい目標が今は出来たので、気にしてはないですよ」

俺がそう言うと持田さんは事前に相沢さんからそのことを聞いていたようであった。

「そうらしいね、君はすばらしい選手だった。相手からしたらとても厄介で止めるのが難しいようなプレイヤーだった。だから、君は指導者としてもその素質を存分に発揮できると思うよ」
「ありがとうございます」

相手監督からそのように褒められたことがなかったので、少々気恥しさもあったが。俺は、感謝の意をこめてお礼を言った。

「今日もいいゲームができることを期待していますよ」
「はい、こちらそこよろしくお願いします」

俺たちがそんな会話をしていると扉をノックする音がする。

「はい」

持田さんが返事をすると。さきほど更衣室へ案内をしていた船木さんという女の子が入ってきた。

「あの、着替え終わったみたいなんですが…荷物はどのあたりにおけばいいのかと、それとコーチからの指示がほしいとのことで瀬戸さんという方を…」
「荷物は壇上の上にまとめておいてもらえれば結構ですよと伝えておいてください」
「わかりました」

俺が持田さんに言われたことに返事を返して船木さんに向き返る。

「僕が瀬戸です。用件は僕の用から伝えておきますので、案内ありがとうございました」
「あ、いいえ」
「今日はよろしくお願いします」

俺が船木さんににっこりとほほ笑みかけると船木さんは少々恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら。

「はい、よろしくお願いします…」

と返事を返してくれた。

「船木も練習に戻っていいぞ」
「はい、わかりました、失礼します」

持田さんが船木さんにそう伝えると、船木さんは一例し、もう一度俺の顔をニッコリと笑って部屋の扉をそっと閉めた。あの子…どこかで見たことあるような…

「では、僕たちもそろそろ準備を始めますか」
「はい」

そんなことを考えていると相沢さんから声を掛けられ、俺と相沢さんは準備室から出て、各自荷物を檀上のところへ置いて戻って来た選手たちに指示を出すのであった。

「合同籠球マネージャー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く