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合同籠球マネージャー

さばりん

第27話 朗報

練習を終えて学校へ戻ると、俺は練習着から夏服指定の制服へ着替え、相沢さんがいる体育館へ向かった。
体育館へ向かうと、男子バスケ部が練習していた。インターハイ前ということもあり、熱の入り方が違うように感じられた。

「よしっ!集合!」

相沢さんが選手を集める。

「今日はここまでにする、明日以降も暑さが続くから体調管理には気を付けるように。以上」
「はい、ありがとうございました!」

全員が相沢さんに礼をして、後片付けを始める。
相沢さんは体育館の入り口にいる俺を見つけると、もう一度選手の方に向き直った。

「すまない、もう一回集まってくれ」

相沢さんの一声に不思議そうに選手たちが相沢さんの元へ集まってくる。だが、俺の姿を見ると全員が目の色を変えて元気にこちらへ駆け寄ってきた。

「大樹!」

最初に声をかけてきたのは航一だった。白い練習着に、赤の派手なパンツにトレードマークの黒のヘアバンドを付けていた。

「大樹、来てくれてよかった。」

次に声を掛けてきてくれたのは、3年生の高橋先輩だった、キャプテンの高橋先輩は、いつもみんなに気さくに声を掛けてくれる優しい先輩であった。

「キャプテン、どうしたんですか、みんなも」

俺は相沢さんに呼ばれただけなのに、なぜか相沢さんは部員全員を俺の前に集めた。みんなが自分の前で集まっているこの状況が理解できなかった。
すると、キャプテンがニコニコしながら背番号7番を渡してくる。

それは、俺が選手時代につけていた背番号7番であった。俺はそれを見ると驚きながらキャプテンの方に顔を向けた。

「今回のインターハイ、7番は欠番にしたんだ…だからインターハイの間、お前はそれを着ていてほしい」
「え…いや、でも・・・」
俺が困惑しながら相沢さんのほうを見ると、相沢さんは笑みを浮かべながら俺に語り掛ける。

「3年生からの提案なんだ。俺たちがインターハイに行けたのは航一と大樹がいたおかげだってね。だから、『7番は俺らが引退するまでお前に持っていてほしい』とのことだ。」

俺はキャプテンのほうに顔を再び向けると、そこには3年生の先輩たちが俺の目の前までやってきて、背番号7番のユニフォームを手渡してくる。

「俺たちはチームで、最高の仲間だ。たから、先輩として最後の命令だ。受け取ってくれ、大樹。」

キャプテンの言葉には熱い情熱がこもっていた。その7番のユニフォームを俺は無意識のままに受け取る。受け取った瞬間、俺は力のこもった何か心の奥底に眠っていたものがこみあげてくるそんな気がした。
俺は無意識のうちに涙を目に溜めていた。そして、一粒大きな水滴を一粒目から流した。

「ありがとう…ございます…」

ただ一言、それしか俺は言うことが出来なかったが、その一言に今までの感謝の意を込めて力強く、そして選手としての想いを先輩に託して感謝を伝えた。

「まだ、泣くのは早いぞ」
「え…?」

今後は航一がニコニコしながら俺を見つめている、まだ何かあるのだろうか?
俺が周りを見渡すと、今後はみんなが笑顔で笑いながら、とびっきりの何かがあるぞというような顔を浮かべながら俺のことを全員が見ていた。

「昨日インターハイのメンバー登録を行った」

相沢さんが語りだした。

「これが今回のメンバー表だ」

相沢さんは俺に見せるようにインターハイ予選のメンバー表を突き出してきた。
そこには、高橋先輩や、航一など一緒に戦ってきた奴らの名前がある。
そして、選手の一覧を見終わり、ふと下のほうを見ると…

監督  相沢貴弘
コーチ 瀬戸大樹

「…え?」

俺は信じられない光景に目を疑い、目をこすりもう一度メンバー表を見直す。
そこには、先ほどと同じようにコーチ 瀬戸大樹と書かれたメンバー表が書かれていた。

相沢さんと目が合う。相沢さんはまっすぐな瞳で俺を見つめている。

「瀬戸大樹。僕は君をコーチとしてインターハイへ同行することを命じる。僕の右腕としてしっかりと手腕を発揮してくれ」

かっこよく宣言した相沢さん。コーチとして・・・そうか…俺インターハイ、行けるんだ…

俺は心の奥に引っかかって溜まっていたものがあふれ出す。

『インターハイに行きたい』

選手生命を終えたときに唯一心残りであったインターハイ出場という目標、選手としてはかなわなかった夢が違う形であれど叶うのだから…
胸のあたりからまた何か熱いものを感じだ、俺は、今度は嗚咽をはきながら号泣していた。

「…ぉ…俺なんかで…ぃ。ぃぃんですか?」
「むしろお前しかいないと思っている。それにこいつらもベンチにお前がいてくれるだけで心強いって快く賛同してくれたよ」
「大樹を含めたこのメンバーが、川見高校男子バスケットボール部インターハイメンバーだ!」

キャプテンが言い切るとみんなが「はい!」といって頷き、俺の元へさらに近づいてくる。
俺は号泣して視界がよく見えなかったが、頭をもみくちゃにされながら「頑張ろうぜ」とか「頼んだぞ!」とか励まされている声はしっかりとき聞き取れた。だから、泣きながらも俺は大きく首を縦に振って頷いた。

俺は思わぬ形で朗報を貰うのだった。

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