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合同籠球マネージャー

さばりん

第10話 生徒会長の本音

「私を、キャプテンにしなさい!」

まさかの発言だった。教室全体が凍り付く。そして、梨世が口を開く。

「そういえば、私たちキャプテン決めてなかったね…」
「え?そうだったの??てっきり俺は梨世がキャプテンなのかとばかり思ってた」
「いやぁ、三人しかいなかったかったし、公式戦も出たことなかったから、なんかうやむやになっちゃって、そのままって感じで…」

渡辺が梨世と共にあははと苦笑する。

キャプテン、それはチームをまとめる大事な役目。キャプテンがチームの怒気を上げ、コーチと共に練習メニューを考え、試合中にコートの中で精神的支柱となり、苦しいときに頼りになる存在でもある。逆にキャプテンが和を乱せばチームの状況も一瞬で変わってしまう重要な役割である。通りで梨世たちの練習風景を見ていて練習に覇気がないことが多いと感じたのはそれが原因かと納得がいった。

「そうか…キャプテン決めてなかったのか…」

俺は少し困ったように考え込む。どうしようか、ここで本田をキャプテンとして部に迎え入れることで練習の密を上げることは出来るのであろうか??しかし、急に入部希望してきたやつをいきなりキャプテンとして任命するのもやはり俺の中では気が引けるというか腑に落ちない部分があった。それに先ほどから何かこいつの理由に何か違和感を感じる。

そんなことを考えていると冷たい空気を再び吹かせ、俺が感じていた違和感に答えを出したのは倉田であった。

「いきなりキャプテンに名乗りを挙げるのは横暴なのではないかしら」
「友ちゃん!?」
「なっ、別にいいじゃないキャプテンが決まっていないなら誰がやったって!」
「大体さっきから聞いていれば、興味があるのは瀬戸くんだけであって、私たち三人には全く興味のかけらも感じない、そんな人を部として迎え入れるの私はお断りよ」

倉田は冷酷な口調で本田に向かって言い放った。

「そ、それは…」

本田は中学時代共にバスケで青春の汗を流した倉田友に突き放されたような口調で言われ少しばかりショックを受けているみたいだ。

そうか、倉田が言っていることが一番腑に落ちた。興味を示したのは俺がコーチに就任したからであり、バスケが出来る環境があれば他はどうでもいいと思っている。そんなやつにキャプテンを任せることは出来ないし部に迎え入れることは出来ないと倉田は言いたいのであろう。
その見解に関しては俺も納得だった。

「そうだな…俺も他の部員との関係を築いていけないやつを部に受け入れるはいかないかな…」
「自分の高校で…」

すると、本田はうつむきながら小声で何か言いたげな様子だった。

「何?」

倉田が表情は冷たくとも少し優しく言葉を促すように催促する。

「自分の高校のバスケ部で練習して、公式戦に出たいって気持ちは私にだってある…みんなに尊敬してもらえるような…そんな選手になってチームを盛り上げていきたいの、その気持ちは変わらないし、みんなと一緒に・・同じ学校の人と同じコートでプレーを一緒にしたいって気持ちも同じくらい強く持ってる。だから、私はこの部に入りたいの」

本田は今言った言葉に嘘があるとは俺が思えなかった。なぜならば彼女はうつむきながら今にも涙を流しそうになっていたからだ。間違えなく彼女は本音をぶつけていた。自分の高校でバスケをしたいという夢を持っている人間が他にもいたことが俺はとてもうれしかった。

もしかしたら本田は、クラブチームでも孤立していたのではないだろうか…クラブチームといっても同じ学校のやつが少なくとも2,3人はいるだろう。それでも、懸命に好きなバスケットをやろうと努力してきた。その悔しさや寂しさが、本田の言葉から伝わってきた。本田もやはり、自分が通っている高校でバスケットをして試合に出たいという気持ちは人一倍強いのであろう、そんな感情が俺には感じ取れた。
それを受け取ったうえで、改めて公式戦に出場するという目標が自分の中で大きなものになった。

「そう…」

倉田が本田のその言葉を真剣に聞き終えるとふぅっと目を瞑りながら一息ついた。

「そういうことなら部員としてなら受け入れることに私に異論はないわ」

倉田が目を開き外の景色を見ながら俺に向かって言った。

「私も…本田さんが入ってくれるなら…それはそれでプラスになるからいいと思う」

渡辺も同意してくれる。
梨世は、うつむきながら泣きそうになっている本田の元へ駆け寄って優しく語り掛けた。

「香凛ちゃん、でいいよね?私たちもこの学校の部として試合に出たいと思ってる。だけどその前に大事なチームメイトとしていい関係を築きあげていきたいなーなんて私は思ってるんだけど…ダメかな?」

本田はうつむいていた顔を梨世のほうに向け、目に溜まっていた涙をぬぐうようにして梨世を見つめる。

「ううん、ダメじゃない…」
「よし、じゃあ決まりだね!」
「それから…」

本田は顔を赤らめて梨世に向かって少し恥ずかしそうに

「私のことは、香凛でいいから…」

本田は少し恥ずかしそうな表情を浮かべて答えた。

「うん、わかった」

梨世はニッコリと笑って本田に向かって笑みを浮かべて見せた。
こうして本田香凛の女子バスケ部への入部が決まった。

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