合同籠球マネージャー

さばりん

プロローグ

午後の生徒会室。私は淡々と目の前の書類を片づける。

「会長お先に失礼します。」
「お疲れ様。夏休みもよろしくね。」

今日は終業式。明日から夏休みのため、生徒たちは午前中には多くの生徒が帰宅していった。他の役員のみんなもいつも頑張ってもらっているので今日くらいは早めに帰宅させた。

しばらく作業を続けてようやく書類を一通り片づけ終わる。

「さてと…」

ようやく一人の時間がやってくる。いつもであれば一人の時間が至福のひとときであったのだが、今はただの退屈な時間となってしまった。
いつもであればすぐにでも体育館に瀬戸君の姿を覗きに行くのだが、もう瀬戸君はバスケ部にはいないのだから…

インターハイ予選決勝、私は観客席から応援をしていた。第4クォータ残り時間40秒、スコアは72対77の5点差瀬戸君が放った3ポイントシュートが見事に決まり。点差は2点、観客席のボルテージは最高潮に達していた。
しかし、会場がざわめきだす。
コートに再び目を向けると、そこには膝を抱えながら倒れ込んでいる瀬戸君の姿があった。

私は一瞬何が起こったのか分からず、頭が真っ白になった。仲間に連れられて会場を後にする瀬戸君を私はただ茫然と観客席で見つめていることしかできなかった。

結局この後、試合は大塚君の3ポイントシュートが決まりタイムアップ、劇的な勝利で見事川見高校男子バスケットボール部は、インターハイ出場の切符を掴んだ。

私が瀬戸君の状態を耳に挟んだのはそれから3日後のことだった。

膝の靭帯断裂、バスケット選手としては現役を続けることが出来ないという無情なほどに現実を突きつけられたような内容だった。

そんなことを思いだしていると、コンコンと生徒会室のドアがノックされる。

「どうぞ。」

私は一言声を掛けて入室を促した。そこに現れたのはバスケ部顧問の高橋先生だった。

「先生。どうかされました?」
「よかったまだ残ってたのね、申し訳ないんだけど夏休み前に申請してほしい書類がひとつあって。」

高橋先生は手に持っていた一枚の書類を私に手渡してくる。

私がその書類を受け取ると、そこには信じられないような内容が書かれており、私は目を大きく見開き、その書類を見つめ続けたのだった。

          

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