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合同籠球マネージャー

さばりん

第2話 戦友の親友

左膝ひだりひざ強烈きょうれつな痛みが降りかかった。

「あぐぅ…」

声が出せないような強烈な痛みに俺はその場へ倒れこんだのと同時に、今日一番の大きな歓声が会場に響く、どうやら俺が放ったスリーポイントシュートは見事に決まったみたいだ。
そして、次第に会場にどよめきが起こりだす。

「大樹!!」
「大樹!!」

航一こういち梨世りよが同時に叫ぶ。

「ピッ!レフリータイム」

審判が笛を鳴らして試合を止め、俺の様子を確認しにくる。

「大樹くん!」

審判やチームメイト達だけでなく、相手選手までもが一目散いちもくさんに俺の元へ駆け寄ってくる。

「おい、しっかりしろ大樹!」
「大樹大丈夫?」

航一や梨世、チームメイト達の声が聞こえるが、俺は痛みがひどく膝を抑えうずくまったまま受け答えも動くことすらも出来なかった。

「誰か運ぶの手伝ってくれ」

航一が声をかけると、後輩たち数名が俺に近づく。

「大樹、立てる…?」

心配そうに梨世が声をかけてきた。

「ぐっぅ、いやっ無理そう…」

必死になんとか受け答えをすると、梨世は心配そうな表情から引き締まった顔つきに変わり、後輩たちにコートの外へ運ぶように指示を出して、アイシングの準備をするためその場を離れた。

「しっかり…つかまれ」

航一が力を入れて俺の体を無理やり立ち上がらせる。

「反対側持ちます」

後輩が肩を貸してくれた。
そして、俺は航一と後輩に肩を貸してもらいながらコートから会場の外へ運ばれた。
会場の外にあるホールへ出ると、間もなくして梨世が会場の外からこちらへ向かってくる。

「うちのお父さんが正面に車用意してくれたから今すぐ病院に」
「いや、多分大丈夫・・・痛みもさっきよりは・・・イッ!!」
「無理しないで…こんなに腫れてるのに…ひとまずはアイシングで膝を冷やして、少しは痛みが引くはずだから。」
「…わかった」

俺は観念したように航一達に壁にもたれかかる形で座らせてもらい、梨世が用意してくれた氷水がたっぷりと入ったアイシング用の袋を膝に当て、タオルでしばって固定してくれる。袋が膝に触れた瞬間冷たっ!という衝動しょうどうを我慢する。冷たさと負傷からくる二つの痛みと、太もものあたりを触られていくすぐったい気持ちを抑えている間に梨世はあっという間に応急処置の手当てを終え、その場から離れた。それを意図したかのように梨世のお父さんが車から降りてこちらへ向かってきた。

「大樹くん大丈夫かい、立てるかい?」

梨世のお父さんは俺の体を力強く持ち上げて肩を貸してくれる。
隣で様子を見ていた航一が声をだす。

「手伝います!」
「いや、いいよ航一くん、君は試合がまだ残ってるだろ」

そうだ、今は試合中なのだ、航一はこんなところでぼけっとしている暇はない。

「試合に戻れ航一、俺はもう平気だから…」
「そうよ、大樹は任せて試合に戻って!」

おそらく俺のシュートが決まり残り時間約35秒スコア75対77といったところか。

「わかりました…では」

航一は梨世のお父さんに会釈をしてその場を立ち去ろうとしたのだか、振り返り俺の方を真っ直ぐなひとみで見つめてきた。

「ナイスシュート大樹、あとは俺に任せろ」

航一はこぶしを俺の方へ突き出してきた、俺は驚きながらも航一のほうを見ると、トレードマークのヘアバンドに汗をにじませ、疲れている様子も見せずにまなざしは真剣そのものであり、なおかつ笑顔でもあった。それは、小学校の時から共にバスケを続けてきた戦友として本当に頼もしかった。戦友そして親友として、バスケを心から楽しんでいるものだからこその笑顔だったのであろう。そこには、必ず勝って大樹と一緒に全国大会へ出場するという強い思いが込められているようにも感じられた。

俺はその姿を見て安心した。だから、少し照れくさかったが痛みをこらえながら笑顔で拳を航一へ突き出した。


二人が拳をかわし終えると航一はすぐに試合会場へと消えていくのであった。

これが、俺の最後の選手生活になるとも知らずに・・・

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