合同籠球マネージャー
第1話 現役最後の試合
7月中旬、セミが鳴き始め、朝から30度を超える夏の日差しが猛威を振るう中、俺瀬戸大樹は車いすを押しながら学校へと向かっていた。
学校の正門前へ到着する。
俺が通っている私立川見高校は、10年前に新設されたばかりの学校で、理数系に重点を置いた教育方針を掲げている比較的珍しい進学校である。進学校にも関わらず、文武両道を目指しているため、スポーツも活発である。
そして、今正門前の校舎の壁には、『祝川見高校バスケットボール部全国大会出場』と書かれた垂れ幕が高々と掲げられていた。
「すげぇなバスケ部、全国大会行くなんて」
「しかもラスト1分からの大逆転勝利だったらしいじゃん」
「そうそう、試合見に行ったんだけど最後に航一先輩が・・・」
会話をしている男子生徒達を尻目に俺はその垂れ幕から目を背け重い車いすの車輪を動かした。スロープを上っている途中、体育館のほうから朝練をしているバスケ部の練習が聞こえてきた。
「次!!」
「もう一本」
「切り替えろ、戻れ」
練習中の部員たちの声と共にキュッ、キュっとバッジュの音が体育館に響いている。俺も車いすの車輪の音をキュッ、キュッと鳴らし、はぁはぁと息を切らしながらスロープを登っていく。はぁはぁと同じように息を切らし一生懸命コートの中を走り回っているであろうチームメイト達…そして、俺もその中にいた。
◇
7月上旬、全国インターハイ予選県大会決勝、息を切らしながらも懸命にコートで走り回る選手たち、響き渡るボールの音と観客の声援、試合のボルテージは最高潮に達していた。
「ラスト1分!」
マネージャーの梨世(りよ)の声がコートに響く
俺は相手選手のマークを外すために右へ2、3歩移動すると見せかけ、瞬時にターンをして相手を振り切りにかかる。
相手選手はそのフェイクに完全に引っ掛かり俺は逆を取った。しかし、相手も必死に食らいつこうとしてくる。
相手を完全に抜きにかかった時、俺はドンッと膝のあたりが相手選手と接触しよろけたものの、なんとか相手を振り切りボールを持っている航一(こういち)へ声を出す。
「航一パス!」
航一は俺を真っ直ぐ見つめ、パスを出して来た。
俺は角度右45度のスリーポイントラインの位置でパスを受ける、ノーマークだ。
第4クォータ残り時間40秒、スコアは72対77の5点差、逆転するためには絶対に外せない重要なシュート、俺は緊張な顔つきながら丁寧にスリーポイントシュートを放った。
きれいなフォームで放たれたシュートは見事な放物線を描きながらリングへ一直線に向かっていった。
「決まった」
心の中でそう感じ、つい頬を緩ませた。
しかし、着地した瞬間だった。
ブチッ!
今まで聞いたことのない音、感じたことのない強烈な痛みと衝撃が俺の左膝に降りかかったのだった。
学校の正門前へ到着する。
俺が通っている私立川見高校は、10年前に新設されたばかりの学校で、理数系に重点を置いた教育方針を掲げている比較的珍しい進学校である。進学校にも関わらず、文武両道を目指しているため、スポーツも活発である。
そして、今正門前の校舎の壁には、『祝川見高校バスケットボール部全国大会出場』と書かれた垂れ幕が高々と掲げられていた。
「すげぇなバスケ部、全国大会行くなんて」
「しかもラスト1分からの大逆転勝利だったらしいじゃん」
「そうそう、試合見に行ったんだけど最後に航一先輩が・・・」
会話をしている男子生徒達を尻目に俺はその垂れ幕から目を背け重い車いすの車輪を動かした。スロープを上っている途中、体育館のほうから朝練をしているバスケ部の練習が聞こえてきた。
「次!!」
「もう一本」
「切り替えろ、戻れ」
練習中の部員たちの声と共にキュッ、キュっとバッジュの音が体育館に響いている。俺も車いすの車輪の音をキュッ、キュッと鳴らし、はぁはぁと息を切らしながらスロープを登っていく。はぁはぁと同じように息を切らし一生懸命コートの中を走り回っているであろうチームメイト達…そして、俺もその中にいた。
◇
7月上旬、全国インターハイ予選県大会決勝、息を切らしながらも懸命にコートで走り回る選手たち、響き渡るボールの音と観客の声援、試合のボルテージは最高潮に達していた。
「ラスト1分!」
マネージャーの梨世(りよ)の声がコートに響く
俺は相手選手のマークを外すために右へ2、3歩移動すると見せかけ、瞬時にターンをして相手を振り切りにかかる。
相手選手はそのフェイクに完全に引っ掛かり俺は逆を取った。しかし、相手も必死に食らいつこうとしてくる。
相手を完全に抜きにかかった時、俺はドンッと膝のあたりが相手選手と接触しよろけたものの、なんとか相手を振り切りボールを持っている航一(こういち)へ声を出す。
「航一パス!」
航一は俺を真っ直ぐ見つめ、パスを出して来た。
俺は角度右45度のスリーポイントラインの位置でパスを受ける、ノーマークだ。
第4クォータ残り時間40秒、スコアは72対77の5点差、逆転するためには絶対に外せない重要なシュート、俺は緊張な顔つきながら丁寧にスリーポイントシュートを放った。
きれいなフォームで放たれたシュートは見事な放物線を描きながらリングへ一直線に向かっていった。
「決まった」
心の中でそう感じ、つい頬を緩ませた。
しかし、着地した瞬間だった。
ブチッ!
今まで聞いたことのない音、感じたことのない強烈な痛みと衝撃が俺の左膝に降りかかったのだった。
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