〖真実の愛〗エピソード②~幼馴染のI子編~

YUTAKA

第七章 最後の優しさ

第七章 最後の優しさ

私は彼女の肩を優しく抱いていた。
どれぐらいの時間が経過したのかも分からない。
そして、落ち着きを取り戻した彼女が私にこう言った。

『もう会うのは今日で終わりにしましょう』
思ってもみない答えが彼女から返って来た。

『どうして?俺とは未来が見えないの?』
もう一度、彼女へ確認をしてみた。

『元カレと別れて時間が経って冷静に考えたんだけど、私だけが幸せになっちゃいけない』
『TETSUOと出会って新しい生活をするつもりだったけど、
私が背負う十字架は一生背負わなくちゃいけないって思い返したの』
真面目な彼女らしい結論だと思った!

私も正直に過去なんて関係ないって言ったけど、
いつか彼女と喧嘩をした時にそのことを言って、
余計に彼女を傷付けてしまうんじゃないかと心のどこかで私は思った!

『だから私は元カレと言う元鞘に戻ることにしたの』
本当に彼女が幸せになれる選択肢ってなんだろうと葛藤をした。

『でも、覆水盆に返らずって言葉もあるよ!』
彼女の例え言葉に私は返して言った。

『私自身が過去を忘れるなんて不可能だと知ったの』
『忘れる努力をしたけど、過去の自分を変えることなんて出来ないから』
彼女はずっと一人で苦しみの中を彷徨っていたのであろう。
私がそんな彼女に気付いてあげて、そして心を癒してあげることは出来なかったのだ。

『私の未来が幸せかどうかなんて分からない。
でもこれ以上、不幸になる人を私は作りたくないから』
それは私のことを気遣って言ってくれた、彼女の最後の優しさだと分かった。

『Ⅰ子の気持ちは痛いほど分かったよ』
彼女の苦しみなんて本当は私には分からない。
言葉では簡単に言えるが、それは彼女が背負ってきた辛い十字架なんだから。

『今までありがとう・・・さようなら』
これで良かったのかなんて答えを見つけることが出来ないまま彼女とは別れた。
それ以来、彼女とは会っていない!
でも、それから暫くして彼女から手紙を頂いた。





『過去なんて関係ないってTETSUOの言葉・・・本当に嬉しかったよ』
私も彼女が好きだった歌の様に言ってあげたかった。



『ストップ・ザ・シーズン・イン・ザ・サン♪ いつまでもこのままでいたいのさ♪』
TETSUO20代のある淡い恋であった・・・




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